0508・第四回公式イベント その43
難易度が高く、いつ死ぬか分からないという意味では、地雷原でタップダンスをしているのと変わらないのは事実だ。実際どんどん敵が厄介になってきてるし、透明スケルトンまで出始めたんだから当然ではあるんだけど。
「それにしても今日も遅かったわね。ギリギリじゃないけど、結構危ない時間よ? 何でここまで遅かったかは知らないけど、あんまり遅くなるのも良くないんじゃない?」
「そうなんだけどね、9階まで行ってそろそろマズいと思って戻ったんだけど、8階と9階は行くのも戻るのも時間が掛かる地形なんだよ。その所為で遅れたってわけ」
「それなら仕方ないね。私はボス前で帰ってきたよ。お昼が終わって少し休んだらボス戦ね。集中しなきゃ勝てない気がするから、ちゃんと休んでから戦うよ。死んじゃったら凄く戻されるし」
「私もそうします。自分の腕を信用できないので、出来得る限り勝率を上げたいですしね。場合によっては仮眠してから挑むかもしれません。わざわざ手順があるなんて厄介すぎますし」
「仕方ない。ああいうボスは存在する。手順以外の方法じゃ倒せないのはレトロゲームにもちょこちょこ居る。とはいえ先に倒さないと幾ら倒しても復活するよりマシ。どっかの三姉妹とか、どっかの機械とか」
「分かるけど、どっかの機械はちょこちょことあるから絞れないわね。まあ、そこはどうでもいいか」
「カンカン」
ファルが来たので食堂に行き、昼食が終わったらマイルームへ。囲炉裏部屋からログアウトして現実へと戻ると、早速キッチンへ行って昼食作りを開始する。僕が適当に作っていると、シズが下りてきて話しかけてきた。
「8階と9階が厄介ってどういう事? 今の内に送っておくから、さっさと話しなさい」
「そんなに重要な事じゃないんだけどね。8階から迷路のようになってるんだよ。で第3エリアの1階、ランタンのある部屋に鉛筆。第2エリアの1階に落ちている紙がワインで濡れている部屋がある。そこに紙があるので手に入れておくと地図が描けるよ」
「という事は地図を描かないと迷うって訳ね。何度も通らないのなら描かなくても大丈夫かしら?」
「ちゃんと描いた方が良いよ。途中で迷って戻れなくなったら凄く面倒な事になる。それなら面倒でも描いた方がマシ。その迷路の中の行き止まりに隠しアイテムがあって、<迷宮の手鏡>っていうのが手に入る」
「あー……何となく元ネタは分かったわ、いちいち突っ込まないけど。それはともかく周囲が見えるって事よね? 座標は?」
「座標は無理。代わりに近くに敵が居るかどうかが分かる機能が付いてる。ちなみに8階で出てくる魔物は透明なスケルトン。こいつは近付くまで動かないから分からない。ただ、【ライトバレット】が近くを通るだけで影響を受けて透明化が解除される」
「厄介だけど、魔法を使って姿を炙り出すしかないかー。でも<吸精リング>があるから、HPだけは満タンにしておけばいいわね。それで倒せば回復できる筈」
「僕はその方法で進んで行ったよ。特に枝道に入ると狭くなるから、そこの通路なら真ん中で放てばいい。そこなら1発撃つだけで透明スケルトンが居るかどうかは分かる」
「それなら楽そうね。手鏡を手に入れたらもっと分かりやすそうだけど、近くだけが表示されるんじゃ地図を描くしかないか」
「そういう風に作られてるんだと思うよ? 僕は10階を倒しにいかないといけないけど」
「その後は大扉?」
「まだ分からない。第4エリア10階で大扉かもしれないし、第4エリアに入ってすぐ大扉かもしれないし。そこは不明。っと、出来たから食べようか」
シズと昼食を食べた後は片付けて雑事を熟し、準備をしてから部屋に戻ってログイン。囲炉裏部屋へと帰ってきた。すぐにイベントを始めて5階からスタート。
そこから走ったり休憩したりと最速で進み、ボス扉の前へと来た。深呼吸をして落ち着き、HPやMPにスタミナを回復した後でボス扉をゆっくり開く。
中に入ると自動で扉が閉まり、魔法陣が床に出現。回転しながら上がっていくと、1体のドール剣士が現れた。剣と盾を装備している。
……あれ? ゾンビじゃないの? ここでドールとか意味が分からないなと思っていると、剣士は素早く接近し、袈裟に剣を振るってきた。僕は素早く右足を後方に下げながら半回転しつつ回避、そこから<絶刀・万華>で切り上げる。
「Giiiiii!!?!」
すると妙な機械音声を出しつつ、大きなダメージを受けたのか後ろに下がった。僕が半身のままドール剣士を見ていると、突然ドール剣士が赤いオーラを噴き出しながら一気に攻撃を仕掛けてきた。
先ほどに比べて速く、僕は回避をしつつ様子を見る。たった1回の攻撃で早くなったという事は。このボスおそらく後何回かは強化されるんだろう。その可能性が高い。
まだ回避するのは容易いので、攻撃のチャンスに素早く反撃を行う。
「Gyueaaaa!!?!!」
更なるダメージを受けたドール剣士は赤から青いオーラに色を変え、更に高速移動を始めた。ワープはしてこないけど、このドール剣士の方が強い。明らかに基本に則った動きをしており、<ナイトロード>のハードモードレベルの騎士ぐらいはある。
それでも僕の相手にはならない。そもそも僕は最高難易度であるデッドリーモードを完全クリアしてるしね。あの騎士達に比べればヌルいんだよ。攻撃が!!。
「aaaaaaaaa!!?!?!」
更にダメージを受けたドール剣士は青から紫色のオーラに変わり、からくり人形と変わらない速度で動き始めた。しかしこちらの方が明らかに強い。何故なら急加速と急制動に急旋回を自在に行うからだ。
これをされると動きが急激すぎて反応できない人も出てくるだろう。流石にこれ程の速さは最高難易度だけだろうが、それでも僕はきっちり回避しつつ、じっくりと敵の隙を探す。
下段の構えなのは防御優先なのと、敵は足下の防御がそこまで得意ではないからだ。どうも盾が死角になってるっぽい。その近くから攻撃を繰り出し、狭い間から敵の体へと通すように攻撃する。
それが防がれたら相手を押し込んで転倒させ、首を刎ねた。ただし相手はドールであり、多少のダメージは受けたようだが首が飛んできてくっつく。メチャクチャだと思わなくもないが、ゲームに文句を言っても始まらない。
紫色を全開にしながら襲ってくるドールに攻撃する事10度目、最後の一撃は唐竹割りになったが、<絶刀・万華>が首元どころか胴体の半ばまで入った時点で倒れた。
「Pi、Pi。GaGa、Piーーーー………」
壊れたような機械音を発した後、ドール剣士は塵になって消えていった。後に残ったのは鍵と銀の武具玉だけだ。僕は両方をさっさとランドセルに入れた。
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<イベントアイテム> 人形剣士の鍵
最後の大扉を開ける為の8つの鍵の内の1つであり、これは剣聖と謳われた人物の剣技を後世に残そうとして作られた人形の物である
弟子達の誰も師の技を継げぬ。それを理解した師は高名な人形師に依頼し、自らの技術の全てを人形に篭めた。それを元に弟子達に教えを残そうとしたが、師の亡き後、誰が継ぐかで揉め互いに殺しあってしまった。それ以降、人形は何処かに消えたと言われている。
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ついに7つ目の鍵を手に入れたか。とりあえずさっさと先へ進もう。ボス部屋から開いた新しい出口を出ると、そこには螺旋階段があった。しかしその奥には扉が無く、どうやら店はもう無いようだ。
そう考えていると後ろから足音が聞こえてきたので、僕は疑問を持ちつつも振り返った。
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※装備
絶刀・万華
竜鱗の兜
金縁眼鏡
竜鱗の鎧
魔岩巨人のガントレット
革の剣帯・鉄のナイフ・革の水筒
【リジェネレイト】の巻物
【セイントエリア】の巻物
【クリア】の巻物
キメラの脛当て
忍者の足袋
※アクセサリー
吸精リング
解明のネックレス
※ランドセル型アイテムバッグ
死竜の盾
死骨の鎧
鉄のサレット
骨の槍2
鉄のメイス
鉄の短剣
迷宮の手鏡
鋼鉄の剣2
鋼鉄の槍2
鋼鉄の盾2
鋼鉄の鎧2
銀の武具玉
光の解呪玉
パン12
大きなハム2
干し肉3
チーズ4
コップ
水甕2
ポーション甕
下級ポーション甕2
毒消しの甕
火弾の魔法紙8
水弾の魔法紙2
氷縛の魔法紙20
【ライトバレット】の巻物
【サンダーバインド】の巻物
油の樽2
荷物袋(小)
紙(複数)
鉛筆
長い棒
大きな板
ランタン
火付け棒
木の梯子
死神の鍵
骨の鍵
巨人兵の鍵
人形の鍵
吸血鬼の鍵
地獄蛙の鍵
人形剣士の鍵
※イベント限定金銭
39440エス




