0507・第四回公式イベント その42
隠し通路の手前に戻った僕は、改めて先へと進んで行く。そこまで強力な魔物も現れないし、<絶刀・万華>があるのでどうにでも出来る。適当に振っても大ダメージ確定だからね。もちろんそんな適当に使ったりはしないけど。
ザコを倒しつつ進んで行くと階段があったので、慎重に上りながら上の階の様子を見る。流石に8階ともなればほぼ終盤だ。罠は無いとはいえ何が起こるかは分からない。一応通路しか見えないので進むと、突然右から殴られた。
左に飛んだものの、慌てて離れつつ起き上がる。いったい何なのかと思ったら、何かの形に歪んで見えた。透明の何かが居る?。
「そこだっ!!」
動いた一瞬を狙い刀を袈裟に振ると、そこから突然現れた魔物が塵になって消える。見えたのは透明度の低い白い骸骨だ。何て厄介な魔物を作るんだ、まったく。武器を持っていなかったから良かったものの、武器を持ってたら殺されるところだったよ。
とはいえ自分の骨が透明になれるだけで、持っている物を透明化する事は出来ないんだろうとは思う。流石に透明化の魔法みたいな物を持つなら反則に過ぎるからね、自分の体が透明なだけなんだと思う。一応【リジェネレイト】を使っておこう。
それにしても見えないっていうのは厄介だなぁ。そう思いつつも何も居なさそうな通路を慎重に進み、曲がり角を曲がる。そして見えた光景に僕は心の底からウンザリした。
「通路一本に対して、どれだけ別の通路が枝分かれしてるのさ。見えるだけでも4つ、いや5つもあるんだけど?」
そう。右や左に別の通路が見えてるんだよ。この階ってもしかしたら迷路になってるんじゃ……。すっごく嫌な予感しかしない。それでも先に進まなきゃ攻略できないんだから、行くしかない。
それでもワープしながら進まなきゃいけないゲームよりはマシか。特に3Dダンジョンゲーのワープはイライラするんだよね。戻ってワープしなきゃいけないパターンとかあるし。
手前から順番に脇道に逸れて探していくんだけど、その前にランドセルから紙を取り出してふと気付く。そういえば書く物を持ってないぞ? ついでに今まで書く物なんて……ああ! 思い出した!!。
「そういや1階の手紙があったテーブル、あそこに鉛筆が置いてあったじゃん! あの時は普通過ぎてスルーしてたけど、そもそもこのイベント中では初めての筆記用具じゃないか!!」
その事を思い出した僕は全速力で第3エリアの1階まで下りる。そして手紙やランタンが置いてあった部屋に行くと、そこには鉛筆が置いてあった。良かったー、記憶は間違ってなったみたいだ。セーフ、セーフ。
僕はランドセルに鉛筆を入れると、すぐに8階まで戻る。いったい何をしているのかと思うも、やってしまった事は仕方ない。それでも最短で戻ったので、そこまで時間は掛かっていなかった。
改めて紙を取り出し鉛筆で書き始める。適当だろうと何だろうと、地図さえ作ればこちらのものだ。有るのと無いのでは天と地ほど違うからね。特に古い3Dダンジョンゲーは手書きのマップが必須だからさ。
「でも僕は初代<ゼ○ダの伝説>でも手書きのマップを作ったけどね。表ならともかく裏は厳しいんだよ。表と裏をノーミスでクリアしたのは良い思い出だね」
友哉からは若干呆れられたけど、あれ何度も何度もやり直してようやくだったんだよ。本当に大変だったんだけど、イマイチ伝わらないんだよね。特に赤のヤツがウザいんだ、あいつの所為で剣が使えなくなるからさ。
それはともかく進んで行き、行き止まりに着くと戻るを繰り返して攻略していく。敵として出てくる魔物は透明スケルトンだけだが、こいつは【ライトバレット】を当てると姿を現すのが分かった。そのうえ枝道の通路は狭いので当てやすい。
通路の真ん中で打てば僅かなダメージくらいは出るんだよ。大きめの通路なら何度か使わないといけないけど、基本こいつらはプレイヤーが近付くまで動かない。だから遠間からなら簡単に当てられる。
「……!!! カタカタ!!」
「当たってなくてもこれだもんね。まあ、分かりやすくしてあるんだろうけど、それはそれで助かるから否定はしないよ。どのみちHP全快で倒せばMPは回復するし」
<吸精リング>の御蔭でMPの回復は考えなくてもいい。数発の【ライトバレット】なら全快状態で1体倒せば全回復する。だからMPの事をいちいち考えなくてもいいんだ。本当に助かるよ。
地図を描きつつ何度も進んでは戻ってを繰り返していると、とある場所の行き止まりで光る場所を発見。地面に近い場所なので素手で叩いてみると壊れ、中から手鏡が出てきた。……これってさあ。
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<イベントアイテム> 迷宮の手鏡 品質:10 レア度:10 耐久???
手鏡に魔力を流すと周囲の地形とアイテム、そして魔物の有無を示してくれる。非常に便利なアイテムだが壊れるので気をつけよう。これさえあればどんな魔物でも居場所は分かる
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<デ○ープダンジョン>じゃないんだからさー、と思うも、手に入ってラッキーではある。特に魔物の位置を示してくれるのは非常にありがたい。結局は地図を描くんだけど、魔物の位置は手鏡で調べた方が手っ取り早いからさ。
何しろ通路の大きさ程度なら全て表示されるし、通路の向こう側すら見えてる。もしかしてこのアイテムを持って戻った方が良い? ……今さらだね。それに見えたところで何かがあるとは思えないしさ。
魔物だって倒せる奴等は全て倒してる。だから戻る必要はないでしょ、面倒臭いし。
地図を描きながら進み、通路上の透明スケルトンを倒していると階段を発見。他に調べる場所もなかったので9階へ。上がっていきつつ手鏡を使い、魔物の位置を特定して【ライトバレット】を放つ。
この階からは透明スケルトンと黒いゾンビが現れた。何だか10階のボスの予想が出来るね。スケルトン系のボスは出てきたんだから、次はゾンビ系なんだろう。
そんな事を考えつつも透明スケルトンには【ライトバレット】を当て、黒いゾンビは普通に切って倒す。9階も迷路になっていたが何とか全ての地図を書く事ができた。しかしそれで限界だったので、僕は急いで5階へと戻る。
元々7階までは進んでいたけど、途中で鉛筆を取りに戻った所為で時間を無駄に使ってしまった。仕方がないとはいえ急いで帰らないといけない。
素早く戻ってきた僕はパンを食べて水を飲み、飢餓度と渇水度を確認した後に緑の魔法陣に乗る。とりあえず昼食には間に合いそうで何よりだ。
囲炉裏部屋に戻ってきた僕は訓練場に行きファルに声を掛け、ソファーの部屋に移動したらファルを呼び出す。いつも通り昼食の準備に行かせると、イルが自分の横に座るように言う。
「コトブキが言ってた通り、地下は厳しい。何度かは死んでるけど、それでも難易度が高すぎる。あれを攻略するのは分かるけど、迂闊に行くと死亡回数が増えて難易度が下がる。それに対してコトブキはどう思う?」
「まあ、第二回と同じじゃないかと思うんだ。第二回はマップによって難易度が違ってたけど、終わった後の結果も違ってたわけじゃない? おそらくそういう事だと思うよ」
「やっぱりコトブキも同じ考え、となると間違ってない筈。地下で何度も死ぬ場合、最後で泣きを見る事になる。今まで以上に慎重に行く」
「でしょうね。私も物凄く慎重に進んでるわよ。正直に言ってそれでもキツいと思うけどね。コトブキのを見てると」
「コトブキ君は最高だけど私達はちょっとマシだから、何とかなるんじゃないかな?」
「ちょっとマシって凄いですね。私は結構楽だなと思ってます。最初の方で死にすぎたんでしょう」
でも楽な方が精神衛生上は良いと思う。今の僕は地雷原でタップダンスをしてるようなものだからね。
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※装備
絶刀・万華
竜鱗の兜
金縁眼鏡
竜鱗の鎧
魔岩巨人のガントレット
革の剣帯・鉄のナイフ・革の水筒
【リジェネレイト】の巻物
【セイントエリア】の巻物
【クリア】の巻物
キメラの脛当て
忍者の足袋
※アクセサリー
吸精リング
解明のネックレス
※ランドセル型アイテムバッグ
死竜の盾
死骨の鎧
鉄のサレット
骨の槍2
鉄のメイス
鉄の短剣
迷宮の手鏡
鋼鉄の剣2
鋼鉄の槍2
鋼鉄の盾2
鋼鉄の鎧2
銀の武具玉
光の解呪玉
パン12
大きなハム2
干し肉3
チーズ4
コップ
水甕2
ポーション甕
下級ポーション甕2
毒消しの甕
火弾の魔法紙8
水弾の魔法紙2
氷縛の魔法紙20
【ライトバレット】の巻物
【サンダーバインド】の巻物
油の樽2
荷物袋(小)
紙(複数)
鉛筆
長い棒
大きな板
ランタン
火付け棒
木の梯子
死神の鍵
骨の鍵
巨人兵の鍵
人形の鍵
吸血鬼の鍵
地獄蛙の鍵
※イベント限定金銭
39440エス




