表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
505/566

0505・新しいスキルと動画




 何故か【殺意】というスキルを覚えた仲間達。そもそもそれってスキルとして覚える事かな? 後、このスキルを習得するのって良くないんじゃ……。


 何だか嫌な感じがするけど仕方ない、思い切ってラスティアとキャスティに聞いてみよう。何て言われるか怖いけどね。



 「え? 【殺意】? ……まあ、スキルとして習得する者も居るといえば居るわね。基本的には【威圧】よりも強力なスキルと言われているわ。でも、そう簡単に習得できるスキルじゃないんだけど……見て感じて使える様になったのかしら? お手本はある訳だし」


 「ですね。これ程のお手本があるのですから、試して上手くいけばスキルとして習得も可能でしょう。本来ならスキルも無しにそこまでのものを持っているのがおかしいのですが、コトブキですからねえ……」


 「何でもありとまでは言わないけど、こと殺し合いに関しては何でもありよね。情け容赦もしなければ、確実に殺しに行くし。そもそも習ったのは【剣術】というか【刀術】なのに、メインで槍を使うっていうのもどうなのかしら?」


 「リーチが長い方が有利なのは確かですし、そもそもコトブキはネクロマンサーですからね。それも、もしかしたら破滅殿以上の中身かもしれないのです。師が師なら、弟子も弟子ですよ」


 「それは本当にそう思う。破滅もコトブキも色々とブッ飛びすぎてておかしい。絶対にネクロマンサーじゃないわよ、特大級の詐欺じゃないの!」


 「詐欺って失礼だね。僕は味方が沢山居た方が、数の暴力で有利なのを知ってるだけだよ。それなら数を増やす為にネクロマンサーとかサモナーになるに決まってるじゃん。それでも殺し合いは出来るんだしさ」


 「こいつ……!」


 「最初からそのつもりでネクロマンサーになったのですか。通りで私が負ける筈です。そもそも幾ら力の制限を受けたからといって、【純潔】の天使である私がコトブキに負ける事自体あり得ないのですよ。にも関わらず負けましたからね?」


 「中身がコレなら負けても仕方ないわね。私なんて使われもせずに短剣から出たうえボッコボコよ? 中身がコレなら納得しかないわ、本当」


 「そろそろ夕食の準備を始める時間だし、ソファーの部屋に行って呼び出すから」



 僕はそう声を掛けて訓練場を出た。しっかし人をコレ扱いはちょっと酷いんじゃないかな? 言いたい事は分からなくもないけど、そんな事を言われても困るんだよね。僕は何処までいっても僕な訳でさ。


 変えられないし、変わらないんだよ。元々<BUSHIDO>で狂気をの当たりにし、それを真似ることで狂気が僕に移り、いつしかアレに出てくる人達の狂気が理解できるようになった。


 そこから更に学び続けていると僕の中にも明確な狂気が宿り、気付いたら周りの人が困るくらいの殺気と殺意を撒き散らしていた訳だ。そしてそれを天兵さんに習いつつ収めて、気付いたら立派な修羅になってました。というわけ。



 「「「「「「ふーん……」」」」」」



 ラスティアとキャスティとファルを呼び出した後、戻ってきていた皆の前で何故こうなったかの話をしている。別に大した事でもないのに何故聞きたがったんだろうね? そのうえどうでもよかったみたいな返事だし。何故かイルは何も言わないけど。



 「私はそもそも知ってた? というか想像はついてた。だって<BUSHIDO>をやり始めてから明らかにおかしくなっていったし、アレをプレイすればおかしくなるのは分かる。人間誰しも何かの影響は受ける、これは仕方ない」


 「良いも悪いもアレの影響を受けたうえ、受け入れられたなら、ああもなるでしょうね。異常なほど殺し合いしかしないゲームだし、アレが人気の無い理由も当然よ。一部にはコトブキと同じく熱狂的なファンがいるけど」


 「僕は熱狂的なファンじゃないよ、単にあそこで鍛練してるだけ。そもそもあそこぐらいしか本気の殺し合いなんて出来ないしさ。仕方ないと思わない?」


 「仕方なくはないでしょ。まあ、コトブキなら仕方ないんでしょうけど、普通のヤツは殺し合いをして発散なんてしないからね?」


 「そうかな? 割と嵌まる人は多そうな気がするけど……」


 「「「「「ないない」」」」」


 「カンカン」



 ファルが来たので食堂に移動する僕達。席に着き食事を始めると、師匠が話し掛けてきたので答える。どうやら僕の表情に気づいたからみたいだけど、聞いた師匠は呆れていた。



 「流石に殺し合いをしてスッキリするなど、色々と間違っておる気もするがな。とにかく殺す、というほどトチ狂ってはおらぬようじゃが、徐々に直していった方がいいぞ?」


 「いや、そこまで狂ってはいませんから。僕とてそこまで異常ではありませんし、殺し合いが出来なければ不満が溜まるなんて事も無いです」


 「それならよいが、あまり溜め込み過ぎて暴走する事のないようにの」



 周りの皆も笑ってるからネタ的に言ってるんだろうけど、あまりこういう弄られ方は慣れてないからちょっと焦ったよ。変な誤解をされてるんじゃないかってさ。


 食事が終わったらソファーの部屋からマイルームに戻り、囲炉裏部屋からログアウトして現実へと戻る。お風呂や夕食などを終わらせたら自分の部屋に戻り、久しぶりに<BUSHIDO>を始める。


 今日は完全リアルモードの<鬼一法眼>と戦おう。今なら何か別のモノが感じ取れる気がする。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 2000年 12月3日 日曜日 AM8:22



 今日もログインしてイベントだけど、やっと第3エリアに戻ってきたから、今日から攻略の再開だ。岩が転がってくる罠の先から戻って、それから随分時間が掛かったけど、ようやくあの先に進める。


 ログインしてファルに声を掛け、ソファーの部屋へと移動してファルを呼び出す。皆は既に居たけど、なにやら真剣にウィンドウを見ている。何かあったのかな?。



 「おはよう、皆。何かあったの?」


 「おはよう、コトブキ。地下エリアの攻略動画が今日の朝早くには出てたみたい。今私達も確認してるけど、最高難易度は鬼畜すぎる。魔物の数が多すぎて、普通なら攻略不能。コトブキなら分かるけど、他の人は誰も無理」


 「これはもう人間業じゃないですよね? 何でこれだけの時間集中して戦い続けられるのか、ちょっと理解できません」


 「ああ、あそこの事ね。あれは厄介だったけど、それでも<BUSHIDO>の一向宗ステージよりはマシだよ。特に完全リアルモードの一向一揆はあんなものじゃないし」


 「あれ悪夢を見るほど酷いんだから、会話に出さないでくれる? あれはどっちもどっちだし、碌なもんじゃないわよ」


 「そうかな? 僕は一向宗がクズ過ぎるって思うけどね。カルト宗教化してるじゃん、一揆を煽って戦わせるなんてさ。キリ○ト教もイス○ム教も歴史的に同じ事をしてきてるしさ。戦うなら宗教の中の偉い人だけが戦えばいいんだよ、普通の一般人まで戦わせるなんておかしいでしょ」


 「それはそう。そもそもだけど、まともな者は誰かを殺そうとなんてしないし殺せなんて言わない。何かを殺せなんて言ってる時点で、宗教としては疑問しか持てない」


 「この話はここまでにしておきましょう。運営が聞いてる可能性が高いしね」


 「カンカン」



 丁度ファルがやってきたので話を終え、僕達は食堂に移動して朝食を食べる。話をおかしな方向に向けてしまったけど、地下エリアは地下エリアで個別の動画みたいだ。


 僕はてっきり隠しエリアとして動画は出ないもんだと思ってたけど、そうじゃないらしい。運営が何を考えているのかは知らないけど、あそこは攻略しなくてもクリアできる場所の筈。


 にも関わらず、わざわざ攻略した動画をアップする。……何か狙いがあるのかな? それとも調べない人が居るかもしれないから出したんだろうか?。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ