0486・第四回公式イベント その29
サキュバスを倒したものの塵になって消えた後には、指環しか残されていない。つまり、鍵を持つボスじゃなかったみたいだ。もしかしてこのイベント、第4エリアまであるの? 僕は第3エリアで終わりだと思ってたんだけどなぁ。
とにかく指環を拾ったら、ランドセルに入れて鑑定してみよう。
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<指環> 吸精リング 品質:10 レア度:10 耐久???
吸精女ことサキュバスの能力を秘めたリング。敵を倒す毎に僅かずつ傷を癒してくれる。傷を受けていない場合は、少しずつ魔力が回復する非常に便利な指環。壊されないように注意しよう。
防御力1 【吸精】
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思ってたよりも優秀だね? とくにHPが全快ならMPに振り分けられるっていうのが実に良い。ただし、そういう方法で回復しないと進み難い場所とかボスとか居そうだけどね。魔法でしかダメージを与えられないとか……。
とにかくボス部屋の中を探して、アイテムをゲットしよう。
………何も無かったね? 仕方ないからそのまま行くけど、ちょっとモヤモヤする。本当に有るのか無いのか分からないし、どうにも指環だけっていうのが引っ掛かる。まあ、散々調べて無かったんだから仕方ない。
とりあえず先に進もう。僕は入り口とは反対の通路へと出る。すると右に扉があり、その先は階段だった。とりあえず5階の魔法陣部屋にやっと来れたか。まずは扉に耳を当てるも音は無し。多分大丈夫だろうと思い、中へと入る。
すると前から短剣が飛んできて、僕は巨人のガントレットで弾く。前に<ミシシッピ○殺人事件>かと思った事があるけど、このやり口もそれっぽいね。まあ飛んでくる短剣なんて他のゲームにもあるだろうけど。
飛んできた短剣をランドセルに入れたものの、唯の鉄の短剣でしかなかった。手に入れても要らないし、腹立たしい罠だな。それはともかく部屋の中の物を回収しよう。
手に入ったのは骨の槍と油の樽と下級ポーション甕に鋼鉄の鎧。下級ポーション以外は要らない物ばかりだね。もちろん鋼鉄の鎧の方が防御力は高いんだけど、いつ壊れるか分からない物を使う気は無い。
それよりもサキュバスを倒さないと骨の槍も油も手に入らない方が重要だ。つまりランドセルが無ければ、ここまで来ないと吸血鬼が倒せない可能性がある。しかも油の補充はここまで来てようやくだし。そりゃ急げって言われるよ。
っと、そんな事を考えてないで、少し早いけどイベントを終えて戻ろう。パンと水を出して食べ、飢餓度と渇水度が回復したのを確認。僕は部屋の中の緑の魔法陣に乗り、囲炉裏部屋へと戻った。
訓練場に居るファルに話しかけ、少し早いもののソファーの部屋に移動する。流石に早かったからか誰も居ない。なので僕はファルに夕食の手伝いをする事と、まだ始まってないならゆっくり休んでいていい事を伝える。
そしてマイルームへと戻り、訓練場へと移動した。僕が来たので不思議に思っているセナに刀を使うと告げ、僕は囲炉裏部屋の倉庫から持ち出した木刀を持つ。ファルの作ってくれた武器の中にあった物だが、なかなかしっかりと丁寧に作られてる。
そんな刀を持ち、<イベント鬼面武者>と戦ったんだけど弱過ぎてすぐに勝利した。しかし……何かいつもの自分と違う気がするね? サキュバス戦の意識が無い間に何かあったのだろうか。
妙な感覚に陥りつつも再び戦おうかと思ったら、何故かセナが僕に挑んできた。まあ、いいかと思いつつ戦っていると、ボコボコにされたからかセナが不貞腐れてしまったみたいだ。ちょっとやり過ぎたかと思ったものの、インフォが鳴る。
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召喚モンスター:セナの【回避術・下級】に【バックステップ・大】が追加されました
召喚モンスター:セナの【歩術・下級】に【摺り足】が追加されました
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かくもあっさりとスキルがレベルアップして、新たなアクティブスキルを入手したね。【バックステップ・大】って事は、おそらく1度で大きく跳ぶんだろう。距離をとるには有利なのかな?。
そんな事を考えていると、ドースとシグマもこっちに来た。2体も【浄化魔法】を持ってないからここで訓練の日々なんだよね。師匠の家に置くにも限度があるし、仕方ないんだけど。
僕はドースやシグマとも訓練し、それが終わると何故かセナと再び訓練する事に。不貞腐れてたんじゃなかったのかと思うも、僕に勝つ事を目標にしたっぽいかな? まあ、付き合える時には付き合うけどね。
結局、最初の1回のみの偶然だったんだろう。まだ足りないのかは分からないが、新しいアクティブスキルをドースやシグマが覚える事はなかった。それにしても毎回負ける度に不機嫌になるのは止めてくれない?。
「「「………」」」
3体とも負けた事でムスっとしてるけど、負けは負けだからね。カカシ相手に修行を続けるといいよ。もしくは皆で戦うか。そうやって互いに実力を身につけていけばいい。
「モウヤッテル」
「そうかもしれないけど、適当に戦ってないかい? もう少し丁寧に動いてみたら? こうやって………ゆっくり動きながら自分の体を確認するんだ。何処か間違ってないか、無理に動かしてないか。可能な限り体を無理矢理に動かすんじゃなく、自然に動かした方が良い」
「シゼン?」
「自分の体に逆らうと、どこか力が必要だったり引っ掛かりがあったりするんだ。そして力で無理矢理に動かすほど動きは遅くなる。可能な限り速く動かすには、可能な限り自然に体を動かすのが大事なんだよ。力を入れるのは敵に攻撃する一瞬で良い。速さは強さだからね」
「「「………」」」
僕は考え込んだ3体をそっとしておく為に囲炉裏部屋へと移動した。漫然と修行をしていても強くはなれない。それは<BUSHIDO>で嫌というほど僕が思い知った事だ。そして相手を真似ると強くなった。
そこから前の自分と真似た自分。どこが違うかを延々と探して、正しい理を見つけたんだよ。アレは時間が掛かったけど楽しかった。VRとはいえ、人間の体をどう使えば効果的かという事を深く理解する事が出来たから。
僕だって物真似が得意だから強いって訳じゃないんだよ。様々な試行錯誤があって今がある。それは正しい筈なんだけど、あのサキュバス戦から何かが今までと違うんだよねー。それが何なのかサッパリ分からないけど。
ソファーの部屋に移動した僕は、皆が居る中で挨拶する。そしてソファーに座ると不思議がられた。
「コトブキ、ファルを呼ばなくてもいいの?」
「ファルはもう呼んであるよ。ちょっと早くに戻ってきたんで、ファルを呼び出してからマイルームに戻ってたんだ。ちょっと体の動きを確認したくてね」
「体の動き? 何故?」
「ちょっとイベント内であってさ。詳しくは言えないからこれ以上は無理だけど、そういう事で訓練場に行ってたんだ」
「そうなんだ。私は9階までのお掃除が終わったから戻ったよ。10階のボスは時間が掛かりそうだし、疲れてる時に戦っても勝てなさそうだし」
「そういえば、コトブキも9階で帰ったって言ってたわね。やっぱり第2エリアの最後だけあって、倒すのには全快してから挑むべきよね」
「それよりもコトブキ君の攻略動画がまた出てるみたいだよ。書き込みが非常に多くて追うのも大変」
「私もそれを見てからボスに挑む事にします。初見かどうかで全く違うでしょうし」
ま、それは確かにそうだろうね。僕はずっと初見だけど……。
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※装備
秘刀・千華
鉄のサレット
金縁眼鏡
死骨の鎧
巨人兵のガントレット
革の剣帯・鉄のナイフ・革の水筒・からくり手裏剣
火弾の魔法紙8・水弾の魔法紙3・氷縛の魔法紙12
【ライトバレット】の巻物
【サンダーバインド】の巻物
【クリア】の巻物
キメラの脛当て
からくりの足袋
※アクセサリー
吸精リング
※ランドセル型アイテムバッグ
死天の槍
死骨の盾
骨の槍2
鉄のメイス
鉄の短剣
鋼鉄の剣
鋼鉄の槍
鋼鉄の盾
鋼鉄の鎧
金の融合玉
光の解呪玉
パン10
大きなハム2
干し肉4
チーズ2
コップ
水甕2
ポーション甕
下級ポーション甕2
毒消しの甕
油の樽2
荷物袋(小)
紙(複数)
長い棒
大きな板
ランタン
火付け棒
死神の鍵
骨の鍵
巨人兵の鍵
人形の鍵
吸血鬼の鍵
※イベント限定金銭
39440エス




