0048・第一回公式イベント04
乱戦模様を呈してきたので指導どころじゃなくなったみたいだ。特にドースの上に乗っているので目立つらしく、敵プレイヤーが引っ切り無しにやってくる。まあ、当然僕が狙った通りなんだけど、些か数が多くなってきたなぁ。
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※スキル:【闇魔法】が規定のレベルに達しました
【闇魔法】に【ダークバインド】が追加されます
召喚モンスター:フォグの【土魔法】が規定のレベルに達しました
【土魔法】に【アースバインド】が追加されます
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おっ、このタイミングで魔法が追加されたか。それにしてもアンデッドしか回復出来ないとはいえ、どれだけ高レベルの魔法なんだろうね? 【ダークヒール】は。とりあえずスキルとして使うか、【ダークバインド】!!。
「うぉっ!? あのネクロマンサー、【闇魔法】使ってくるぞ! 注意しろ!!」
「はっ! クールタイムの今の内にオレがブッ殺してやるずぇぇぇ!?」
「はははは、【アースバインド】喰らってるじゃねえか! オレがもらったぁっ!!!」
「ヤラセナイ!!」
セナが前に出てくれたけど魔法陣覚えたし、【ダークバインド】もういっちょいくよ!!。
「げぇ!? 何で【ダークバインド】が使えるんだよ!! おかしいじゃねぶぇ!?!!??!」
「アータタタタタタタタ、アタァッ!!!」
「イダダダダダダダダダ、ウボァーーー!?!?!」
いやいや、<考えるな、感じろ>って言う映画俳優じゃないんだからさ、いつそのヌンチャクの使い方覚えたの? あと敵プレイヤー、そのやられ方はおかしい。明らかに使う場所を間違えてるよ。
「おおっ、凄い凄い!! 私も動けないこの人に! えいっ!!!」
「ひでぶっ!?」
「私もこいつを刺しとこうっと、急所をグサっとね!」
「あべしっ!!」
ちょっと待って、キミらも間違ってるから!! それは秘孔を突かれなきゃ駄目でしょうよ!? 片方はメイスでブン殴られて、もう片方は短剣で刺されてるだけだろうに!。
何ていうか、ノリのいい人達だなぁ。でもイベントだし、こんなものか。
「なに遊んでやがるテメェら!! このマックスボンバイェ様が、お手本を見せてやるぜ!!」
「何でそんな出オチみたいな名前使ってんだよ! 少しは出オチ感消せ、このヤロウ!!」
あの出オチ感満載な人はユウヤに任せておいて、僕達は他の奴等を倒そう。とはいえ、未だに鬱陶しくちょこちょこラスティアを殺そうと矢を射ってくる射手がいるんだよ。どこに居るのか……おそらく人混みに紛れ込んでるんだろうけど。
いったい何処に居るんだ……そいつの所為で………居た! 死ね!!!。
全力の【身体強化】を使い、ラスティアを狙っていた弓使いに石を投げる。当然狙いを過たず直撃し、一撃で弓使いを殺した。光が出ているので殺したのが分かる。鬱陶しい弓使いだったなー、本当。
確かに腕前は凄いけど、いちいち邪魔臭い。挙句に周りの連中に守らせてるしさ。……おっと、凄腕の弓使いが殺されたからか、周りの盾士の奴等が突撃してきた。とはいえユウヤの棍棒で叩き潰されてるけど。それに僕も魔法を放ってるしね。
「おい、おかしいじゃねえか!? 何であのネクロ【闇魔法】連発してるんだよ! クールタイムはどこに行きやがった!?」
「知らねえよ、そんな事! それよりちゃんと守れ! あの巨人つよごっ!?!?」
「ははははは、コトブキだけに活躍させて堪るかよ!! こう見えて【棍棒術・下級】な俺の攻撃を喰らえ! 【フルスイング】!!」
「「「がはぁっ!!!!」」」
おお! 盾士を纏めて3人吹っ飛ばした。流石は巨人族って思うけど、スキルの威力は上乗せされてるのかな? それともあの馬鹿デカイ棍棒の威力が凄い? どっちかっていうと棍棒の大きさかなぁ……。
「おっと、レベル独走のネクロは君だね。申し訳ないけど倒させてもらうよ。配信で見てる子達も、き……」
「戦場で長々とした話に付き合う僕じゃないよ、さっさと死ね」
突然現れた剣持ちに石を投げて殺し、次に横から突き出された槍士の槍を巻きつくように弾き上げ、【身体強化】を使って棒を全力で頭に振り下ろす。当然のように一撃で頭が潰れた。兜も被らずに出てくるから、そういう目に遭うのさ。
流石に凄惨な死体が2つ出来たからだろう、周りの連中は僕に対して攻撃してこない。ならばこちらから攻撃するだけだよ。僕は【ダークバレット】や【ダークボール】を連射して攻撃する。あまり魔力は使いたくないんだけど、闘気もあるのでスキルレベルを上げる為にも使おう。
そうやって攻撃していると押し込まれると思うのか、慌てて前に出てくるものの今度はそこを棒の餌食にしていく。フォグも横から【土魔法】で援護してくれるし、敵が集まってくるからだろう、味方も集まって乱戦状態になってしまった。今の内に少し退くか。
ドースを後ろに向かせて走らせる。僕達はドースとラスティアの背中を守るようにして退く。ある程度離れると、再び矢が飛んできた。どうやらまた弓使いが復帰してきたらしい。僕はそちらの方に注意を向けず、右の方のコソコソしているヤツに注意する。
敵と戦うフリをしながら近付いてきている奴が居るんだ。乱戦の中なんで誰が味方か分かり辛いんだけど、流石に外周に居てコソコソしている奴は怪しい。僕は周りに被害が出ない事を確認し、近くで拾った石を投擲する。
すると、すぐにこちらの射線に入らない場所に引っ込んだ。間違いなくこっちを狙いにきてたんだろうねー、今度は弓使いの攻撃を囮にする形で。いちいち面倒臭い事をしてくるけど、勝つ為と考えれば当たり前の事ではある。
向こうが引っ込んだからか、またこちらに射ってきているが、そもそも矢が届いていない。なので勿体ないからか諦めたようだ。とはいえ、僕達が離れた事に気付いたのか、さっきのプロゲーマーっぽい人達がまたやって来た。
「流石にさっきのは情けなさ過ぎるからね、本気でいかせてもらうよ!! プロゲーマーとして名が落ちるんでね!!!」
「さっきので落ちたと思うけどね、【ダークバレット】」
相手はあっさり回避したけどそれでいい、何より回避方向を誘導する為のものだし。僕の右にかわした剣持ちに対し【ダークボール】を連続で顔に発射。いきなり回避先に魔法が飛んできたからだろう、慌てて腕を前に出してクロスし、ガードするプロゲーマー。
とはいえ遅い。僕は前に走り、守る為の防具が無い股間を【身体強化】で蹴り上げる。その瞬間、相手は空中に浮き、そのまま後ろに倒れた。そして容赦なく股間を踏みつける。その2撃で相手は死亡、消えていった。
それを見て焦ったのか、槍持ちの人は急に止まって周りをキョロキョロ見ている。味方が居ない事を理解して後ろに下がろうとするが、僕は【ダークバレット】を顔面に向けて発射。相手は股間をやられると思ったのだろう、半身になりつつ顔の前に両腕を持ってきて防ぐ。
それを見た僕は前に走りつつ【ダークボール】と【ダークバインド】を使った。残念ながら【ダークバインド】は失敗したが、相手を止める事には成功。近付いた僕は【身体強化】を使って相手の足に棒を振り下ろし、前に出ている足の膝を砕く。
相手は痛みで絶叫を上げながら倒れるが、既に近くにはファルとセナが待っていた。何故か無表情な2人から「ニヤリ」という雰囲気を感じると、猛然とストンピングを開始。実に楽しそうだ。
「ごぶぇ!! がっ!! くそっ!! ごはぁ!! やめ!!! げぼぉ!! ぶげぇ!! ごっ!!?!」
ストンピングの嵐を受け死亡し、消えていった槍士。それを見ていたラスティアが微妙な表情をしている。まあ、自分がやられた事だから仕方ないか。




