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0461・第四回公式イベント その8




 2000年 11月27日 月曜日 AM8:19



 今日は第四回公式イベントが始まって2日目だ。既に10階のボスは倒したから、今日は螺旋階段を上がって新しいエリアに突入だ。


 ログインした僕はファルの作った物をプレイヤーマーケットに出し、売り上げを回収したらファルに声をかける。その後はソファーの部屋へと移動し、すぐにファルを召喚。朝食の準備の手伝いに行ってもらった。


 ソファーの部屋にはいつものメンバーが揃っているものの、何だか真剣にウィンドウを見ているようだ。いったい何をしてるんだろう?。



 「おはよう。何だか真剣にウィンドウを見ているようだけど、何かあった?」


 「おはよう。今はコトブキのプレイ動画を見てる。流石はコトブキと思うけど、聞くのと見るのでは全く違う。<百聞は一見に如かず>とはよく言ったもの」


 「おはよう。本当にイルの言う通りだよ。流れるように顎をカチ上げて、そこからのジャーマンスープレックス? は見事としか言い様がないね」


 「おはようございます。実はコトブキさんが第1エリアを攻略したので、その攻略動画があがっています。どうも運営が編集したものらしく、所々に解説がついてるんですよ」


 「もう10万回も再生されてるのよ、コトブキの動画。まだプレイヤーが10万人に達していないにも関わらずコレだもの。何度も見直している人が多いみたいね。それにしても盾が重要になってくるかー」


 「あまり詳しくは言えないけど、盾を上手く使える人は、その分だけ楽に攻略できるとは思う。ただし両手持ちの強力な武器が必要な場合もあるだろうから、必ず楽だとは限ってないだろうけど」


 「それでも盾で流すのは重要よ。守るよりも相手の隙を作る為に必要だし、そうしないとアイツには簡単に勝てそうもないのよね。次の為にもボスはもっと上手く倒さないと……」


 「あー、そう言えばアレはボスの後だったのか。それなら壊されないように頑張らないと仕方ないね」



 イベントの話をしていたらファルが来たので食堂へ。既にラスティアもキャスティも師匠も居たので挨拶し、早速食べ始める僕達。


 適当な雑談をしつつの食事も終わり、ソファーの部屋からマイルームへ。そして準備を整えたらイベントを開始する。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 魔法陣のある部屋に戻ってきた僕は、部屋を出て先へと進む。螺旋階段を上がろうと思ったのだが、その向こうに扉があった。前は気付かなかったけど、気付いた以上は調べよう。


 扉に耳をつけたその瞬間、「お客さん、入ってこられて大丈夫ですよ」という言葉が聞こえ、反射的に離れた。とはいえ声を掛けてくる以上は敵意の無い相手だと思う。なので素直に扉を開けて中へと入る。


 中は薄暗いものの安全なようで、奥に灰色の肌をした、妙に背の高いゴブリンのような者が居た。



 「久しぶりのお客さんだ、いらっしゃい。アンタもここから出たいんだろ? だったら必要な物を買っていくといい。それとも売りたい物でもあるのかい?」


 「そうだね、売りたい物はある。買ってくれるならだけど」


 「そいつぁ申し訳無いが見てからさ。品も見ずに買う事はできないね」


 「確かにそれはそうだ。今出すよ」



 そう言って、僕は木の棍棒と簡易薙刀と簡易ポールハンマーを出す。更にポーション甕が1つと水甕を1つ出した。



 「碌な物を持ってないね、お客さん。まあ二束三文でいいなら買うけどねぇ。この中ではポーションの入った甕が当たりか。全部で6710エスってとこか」


 「その6710エスで何が買える?」


 「ま、色々だな。例えば……これが良いんじゃないか?」


 「これは、10フィート棒?」


 「ここから先に進んだ所では落とし穴とかがあるらしいから、こいつで調べながら進むといい。それとこっちの革の兜も買っとくといいよ。上から矢が飛んでくるらしいからさ。こっちに鉄のサレットもあるけど、これは10000エスするからねえ」


 「じゃあ木の盾3つと鉄の剣を売るとどうなる?」


 「………これならギリギリってところだな。毎度。じゃあ、棒と鉄のサレットだ。ちょっと重いけど、頭に矢が刺さるよりはマシだからねえ」


 「流石にそれは僕も死んでしまうよ。じゃあ、ありがとう。もう行くよ」


 「命があったら、また会えるだろうさ。命があったらねえ?」



 そう言う怪しい灰色ゴブリンの店を出た僕は、螺旋階段を上がっていく。武器などが結構減ったけど、それでも<白の意思>があるだけマシだろう。次は罠があるみたいだし、どんな所なのやら。


 そう思いながらのぼると、上のエリアの地面に降り立った瞬間、螺旋階段が閉じて戻れなくなった。このパターン多いなー。とりあえず白の意思と鉄の盾を持っておこう。


 仕方なく諦め、目の前に見える通路を見る。石材で綺麗に舗装されているというか、作られている地面であり、先ほどまでの洞窟のような場所ではない。そんな通路の右に扉がある。


 なのでその扉に近付き耳をつけるも、中から音は聞こえない。慎重に扉を開けて中を確認すると、白く輝く魔法陣と緑色の魔法陣があった。それ以外にはテーブルがあるだけだ。


 中に入り、魔法陣の前にあるテーブルに近付くと、そこには紙が一枚置いてあり、置いてある紙にはこう書かれていた。



 ―――――――――――――――


 この白い魔法陣はエリア最初の記録用魔法陣です。ここで記録されると、以降はこのエリア内で死んでも記録状態から再スタートが可能となります。


 ただし重要アイテムの取り逃しには対応しておりません。その場合はお手数ですが、最初からやり直して下さい。


 ―――――――――――――――



 成る程なー。先へと進んでも死んだら最初からって訳でもないのか。しかし重要アイテムを取ってなかったら、最初からやり直し、と。おそらくは<ランドセル>と<白の意思>の事だと思うけど、他に何かあった可能性はある。


 とはいえ今は進もう。そう思い、白い魔法陣の中央に立ち記録する。これで第2エリアで死んでも、今の状態からスタートできるね。


 それ以外には何も無いので部屋を出ると。僕は10フィート棒を持って調べながら進む。罠なんて魔物よりも厄介だからね。適度に床を叩きながら進んでいくと、目の前から狼がやってきた。


 石造りの床とマッチしない魔物だけど、そんな事も言っていられない。僕は盾を構えて対峙し、狼は「グルルル……」と唸る。しかし僕が動かないと見るや、左右に跳ぶような形で向かってきた。


 そして口を開いて噛みつこうとしてきたので、カウンターで白の意思を突き刺す。当然だが突き込むのは口の中だ。更に刺さった後は捻り、確実にダメージを増やしておく。


 抜いたものの口の中を刺された事でかなり痛いのだろう、動きが鈍い。なので今度は鼻を突き刺す。これは大きなダメージを与えたらしく怯んだので、後は頭を滅多打ちにして倒した。


 やはり攻撃力が低いので、刺さる鈍器扱いが無難かな。それでも壊れない無限武器なので少々荒く使ってもいいのがありがたい。それを感謝しつつ、再び10フィート棒で気を付けながら進む。


 すると早速落とし穴を発見した。通路の真ん中が抜けたので、左右から進めば済むのだが、落とし穴の中には無数の剣が上を向いて立てられているのが見える。アレに落ちていたら死んでたかも。


 そう思うと、第1エリアより格段に難易度が高い。これはとてもじゃないけど昼までに5階到達は無理だね。ある程度進めたら、緑色の魔法陣まで戻るか。


 それでも緑色の魔法陣があるだけマシだ。最初のエリアは5階まで行かないと最初からやり直しだったし、それに比べれば1階に用意してあるだけ優しいとは言えるかな。


 そうじゃないと再スタートのボタンを押さなくちゃいけなくなる。



 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼


 ※装備


 白の意思

 鉄の盾

 鉄のサレット

 革鎧

 革の剣帯・鉄のナイフ

 革のサンダル


 ※ランドセル型アイテムバッグ


 骨の槍

 鉄のメイス

 パン6

 大きなハム

 干し肉

 チーズ

 コップ

 水甕2

 ポーション甕

 荷物袋(小)

 革の水筒

 長い棒

 死神の鍵

 骨の鍵


 ※イベント限定金銭

 40エス


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