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0046・第一回公式イベント02




 第一回公式イベント:大将首を獲れ!!。


 このイベントでは天使の星チームと悪魔の星チームに分かれて争う事になる。広い草原の中での戦争と考えれば分かりやすいと思う。


 大将に選ばれた人を殺されるとイベントは終了、その時点で集計される。雑兵を倒すと10ポイント、大将首は500ポイントとなる。そして戦争終了後、ポイントをアイテムなどと交換できるというイベントだ。


 プレイヤーがポイントを取得する方法は2つ。1つ目は、雑兵を殺すか大将首を獲るとポイントが手に入る。2つ目は、勝利したチーム全員に自動で1000ポイント。この2つで争う事になる。


 先ほど<荒地の魔女>が「敵を始末」と言ったのは、雑兵も殺さないとポイントが手に入らず残念な結果になるという事。そして双方の大将が発表される。天使の星の大将は、大きな剣を担いだ筋骨隆々な人だった。



 「あれは<金剛騎士団>の<仁王>じゃねーか! マジかよー、敵はプロゲーマーとか冗談じゃねえ。近付かないで雑兵狩りした方がいいな。ポイント稼がなきゃ後で交換も出来ないし」


 「今回のはそういう遊びだ。派手にブチ殺してこい! そしてアタシ達の側の大将はコイツだ!!」



 そう<業炎の魔女>が言うとステージに光が集まり、何故かラスティアが出てきた。……今まで横に居たのに一瞬で転移させられたらしい。



 「へっ!? ……ちょ、ちょっと待ちなさいよ! 何で私がそんな訳の分からない事をしなきゃいけないの! 意味分かんないんだけど!!」


 「こやつの名はラスティア、妾の弟子であるコトブキの下で使い魔になった元悪魔じゃの。かつては<悪魔>を名乗るほどに強かったが、大悪魔に封印されここまで落ちぶれた」


 「落ちぶれた言うなし! 私は確かに封印されたけど、アンタの弟子が頭おかしいだけでしょ。召喚モンスターに囲まれて戦ってたら、とんでもない石の球を投げつけてくるし、あまりの痛みに倒れたら滅多打ちにされるし!! 起き上がる事さえ出来ずに、ボコボコにされたのよ!!」


 「うむうむ。流石はコトブキじゃ、それでよい。敵など滅多打ちにして叩き潰せ、敵に情けを掛けるなど阿呆のする事よ。情けを掛けたところで、どうせ寝首を掻いてくるのだ。さっさと殺せ」


 「「「「「「「………」」」」」」」


 「他の魔女どもですら唖然としてるじゃないの! 私の方が正しいでしょうが!? アンタとアンタの弟子がおかしいのよ! いい加減に自覚しろっての!!」


 「ほんにラスティアは阿呆じゃのう。妾もコトブキも自覚してやっておるに決まっておろうが、自覚したうえで殺しておるのじゃ。そもそも敵に情けを掛けて良かったといえる者が歴史上どれだけおる? それを考えれば情けを掛ける無意味さは分かるであろう。殺し合いになったならば、殺すのが作法よ」


 「あー……アレは放っておいていいわ。私は<氷獄の魔女>リューウェ。一応まだ時間があるみたいだから、少しだけ教えておいてあげる。敵の事にも繋がるから聞きなさい」



 そうして<氷獄の魔女>が教えてくれたのは、<八魔女>と<八聖人>の事だった。悪魔の星の<八魔女>のように、天使の星には<八聖人>と呼ばれる人達が居るらしい。全てを教えてもらえたので覚えておこう。



 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼



 <悪魔の星>


 ・業炎の魔女 フラム

 ・氷獄の魔女 リューウェ

 ・荒地の魔女 フェウ・ティス

 ・暴風の魔女 ハリアト

 ・雷光の魔女 ディエンティ

 ・深淵の魔女 ク・ディヴォラ

 ・支配の魔女 サイン

 ・破滅の魔女 エンリエッタ


 <天使の星>


 ・剣の聖人 セイディアス

 ・槍の聖人 オルテー

 ・斧の聖人 アスクード

 ・槌の聖人 メイディア

 ・棍の聖人 カムラン

 ・弓の聖人 イルシエラ

 ・拳の聖人 ゼツ

 ・盾の聖人 ザ・ファドゥ



 ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲



 <氷獄の魔女>であるリューウェさんいわく、<八聖人>は<八魔女>と違って弟子をとる可能性は低いそうだ。理由はプライドが高いかららしい。何とも言い難い理由でガックリきたよ。どうにも<八聖人>は自信過剰のようだ。


 まともな人も居るらしいが、大半が他人の話を聞かない脳筋思考で面倒な連中なんだって。語りながら段々と渋面になっていくんだから、<八聖人>というのは余程なんだろう。まあ、脳筋の相手なんて誰もしたくないよね。



 「さて、そろそろ始めるが、簡単に大将首を獲るとお前らが困るからな。よくよく考えて倒していけよ。お薦めは弱い奴からぶっ潰す事だ。今回の遊戯では3度まで死亡が許されてる。逆を言えば4度殺せば退場させられるんだよ。後は分かるな?」


 「戦争となれば可及的速やかに敵の数を減らす。これが勝つ為の道筋よ。出来得る限り素早く数を減らしなさい。でないと、殺される確率が常に付き纏うわ」


 「そうじゃぞ! 敵に容赦はするな! 見敵必殺、それを心がけよ。敵は殺せ!! ただし同士討ちには気を付けるのじゃぞ。実は同士討ちは大きなマイナスポイントじゃからの」


 「「「「「「「「「「えっ!?」」」」」」」」」」



 その瞬間、師匠達は一斉に居なくなり、ステージも消えた。最後の最後に爆弾を落としていくの止めてくれないかな? もしかしたらフレンドリーファイアの件って隠し情報かもしれない。他の七人の魔女は誰も言わなかったし。



 「おい、コトブキ! 戦いが始まったぞ! ボケッとしてないで敵を狩りに行かなきゃ駄目だろ。何で突っ立ってるんだ?」


 「ラスティアが大将首だからね。迂闊に動く訳にはいかなくなったんだよ。大将がやられたら終わるからさ。とりあえずラスティアはドースに乗っててくれる? 薙刀は馬上でも使えるから。それとドース、何かあったら逃げるようにね。ラスティアの命を最優先で」


 「ブルッ!!」


 「おー! 馬の上で薙刀を振るうって、何か武士みたいね。私も次はモフモフって決めてるけど、その次は馬にしようかなぁ……でも移動速度は変わらないから駄目か」


 「ゴブ……」


 「ああ、いやいや。別に文句を言ってる訳じゃないから、あれよ、無い物は欲しくなるって奴」


 「それは横に置いといて、連携できるなら連携しよう。トモエの仲間はスライム、グレイドッグ、ゴブリン、スネークだよね? それともゴブリナ?」


 「いや? 雄でも雌でもゴブリンなんだって。まあ雄と雌で種族名が変わったりしないよねえ。それはともかく、プル! あのラスティアっていうサキュバスにくっついちゃいなさい!!」


 「えっ、スライムを身に纏うの? 別に良いけど、珍しい事をす……あー、もしかしてアンタ<支配>の弟子? やっぱり! スライムを身に纏うのを考案したのアイツだからね。当時は頭がおかしいと言われてたけど、スライムの防御力って高いのよねー」


 「まさか師匠ばりに気にしないのが居るなんて……! 私なんて結構苦労したのに!! ぞわぞわするから慣れるまでに時間が掛かるのよ。おかげで酷い目に遭ったんだから」


 「とにかく、既に始まってるしそろそろ進もうよ。他の人達は皆いっち、何!?」



 いきなり僕達の近くに魔法陣が出現すると、ウルフマンが転移してきた。



 「くそっ!! もう殺されちまった! ……あー、大将? 前の方で敵軍とぶつかってるから気をつけてくれ。敵さんの中に弓矢の腕が凄い奴がいるんでな、俺もそいつに殺されちまった。あ、オレの名前はくまごろうな! じゃ、そういう事で!」



 その人は走って最前線へと向かって行った。行ったものの……。



 「ウルフマンでくまごろう? ネーミングセンスがおかしい」



 うん。ここに居る全員がそう思ってるよ、五條さん。


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