0454・第四回公式イベント その3
4階も変わらずダンジョンというか洞窟の中みたいな場所だ。正統派のダンジョンって綺麗に整った石壁みたいな感じだけど、ここはデコボコとかがあってゴツゴツしてるんだよね。どちらかと言うと洞窟って感じ。
1階層はそこまで大きくないけど、これはきっと序盤だからだろう。途中でログアウト出来るって事は、このイベントは思っている以上に長い筈だ。そもそも8つの内の1つしか鍵を入手してないし、まだ後7つも残っている。
王冠だって4つ集めればいいだけなのにね? まあ、ドラゴ○スレイヤーとザナ○ゥで倒す前か後か変わってくるけども。それはともかくとして、出てくる魔物自体は然して強くないから楽で助かる。
どちらであろうとも頭をカチ割れば済むし、その一撃で消えてくれる。ただし魔物を倒してもアイテム類は入手できないうえ、戦えば耐久力が減る。魔物が無限湧きするなら絶対に武器が足りなくなってしまう。
こういう場合に有効なのは、無限武器を持つか敵を武器として使うかだ。無限武器というのはだいたい手足の事で、これだけはゲーム上、無限武器に分類される。それと敵を生きたまま棍棒として使うか。これも無限武器の1種と言えるだろう。
敵さえ居れば幾らでも武器として使えるからだ。しかしその反面、どんな敵でも使える訳じゃない。大きな魔物だと、そもそも持ち上がらない可能性が高いからね。そうなると武器としては使えない。
また手足も同じで、当たり前だが強力な武器じゃない。大きな魔物や硬い魔物だと手も足も出なくなる。とあるゲームでは残り回数1回のパンチは強力だけど、このゲームではそんな事は無い。って、そんな下らない話は横に置いておくとして、緊張感を持って進もう。
ときおり思考が横に逸れるのは緊張感が無くなってきている証だ。気を引き締め直して進んでいこう。そう思い角を曲がると、突然何かが飛んできた。僕は素早く右に飛び、再び角を曲がる前の位置に戻る。
飛んできた物は壁に当たって跳ね返ったみたいだが、良く見るとそれは何処かの骨だ。つまりスケルトンが自分の体の骨を投げてきたらしい。って事は、ここからは遠距離攻撃があるって事か。
敵が近付いてくる足音がしない為、向こうは待ち伏せをしているようだ。飛んできていた骨もいつの間にか消えており、どうやら無限に投げられる可能性が出てきた。流石に卑怯じゃないかな?。
考えていても仕方ないので再び角を曲がると、目の前のスケルトンが振りかぶる。僕は素早く簡易薙刀を斜めに構え、防御の姿勢をとった。スケルトンの腕が振られると骨が飛んでくるが、こちらに来るまでに距離があり、僕は余裕でそれを弾く。
そして素早くスケルトンに接近すると、頭に振り下ろしてカチ割ってやった。
「やれやれ。ここからは骨を投げてくるスケルトンか。よく居るタイプと言えなくもないけど、こういう能力値が上がったりしないゲームでは厄介だよね。しかし間違いなく脱出系ゲームの要素の方が強いよ、コレは」
運営のフェイクとも言えないフェイクかな? どちらかと言うと誘導に近いと思う。でもバトルサバイバルで脱出だとは通知されてたよね? トモエからそれを聞いたのが最初だし。つまりは想像できた訳だ、脱出系のゲームだと。
仮に想像できていたとしても、何も持ち込めないし意味はないんだけどね。心構えぐらいかな、出来たのは。
投擲スケルトンを倒し、更に進んだ先で左右に扉を発見。扉に耳をつけて確認するも、部屋の中に音は無し。とはいえスケルトンの可能性もあるので難しいところだ。ええぃ、男は度胸!。
右の扉を開けると唯の部屋で、中には甕が2つ置いてあった。それと机と椅子があり、机の上にはパンが2つ置いてある。飢餓度と渇水度を確認すると増えていたので、パン1つと水を飲む。コップに水を入れたらすぐに仕舞い、なるべく外気に触れさせない。
無いとは思うものの、放り出しておいて<腐った水>とかに変わったら目も当てられないからね。流石に色々な事を考えると、仕舞っておく方が安全だろう。
「それにしても、こんな所に休憩場所がある以上、この上がボスっぽい気がするんだよねー。丁度この上は5階だし、5階刻みでログアウトの場所が作られてるのかな? だとすると準備はしっかりしておかないと……」
おそらくボス戦が始まると逃げられないようになっている筈。逃げられるなら対策を立てられるんだけど、逃げられないなら一発勝負だ。流石に分が悪いけど、そうも言っていられない。やり直しは心に来るだろうけど、そこは諦めよう。
食事を終えた僕は、もう1つの甕を確認。すると、またもやポーションの甕だった。これを持って行けるのはランドセル所持者だけなので、気持ちは分からなくもないんだけど、僕からすれば溜まっていく一方だよ。
今回も回収して部屋を出た僕は、もう1つの扉に耳をつける。中から何も音が聞こえないのを確認し、扉を慎重に開ける。あまりの事にビックリし、大きな声を出すところだった。何故なら……。
ガシャガシャ! ガシャガシャ!! ガシャガシャガシャ!!!
「何でこの部屋だけ大量にスケルトンが詰まってるんだよ! おかしいでしょ、幾らなんでもさぁ!!」
僕はスケルトンから逃げ出し、角の方まで戻る。スケルトンが追いかけてきているのが分かっているので角で待ち伏せし、目の前に来たスケルトンをカチ割る。少し後ろに下がってカチ割り、また少し下がってカチ割る。
スケルトンが一気に大量に来ているので、少しずつ下がらないと危なくてしょうがない。この数だと押し潰されて終わりだ。なので雪崩れ込まれないように少しずつ後ろに下がる。
そうやって数の暴力に負けないように捌いていると、ようやく終わりが見えてきた。最後の1体に振り下ろすと、カチ割ると同時に「バキッ!」と音がして武器が壊れた。
「あー……遂に壊れたか。でもギリギリ耐えてくれて良かったよ。戦いの途中でいきなり壊れたら、後は素手かナイフだったね。骨相手に使うなら、柄頭で殴りつけるくらいかな?」
しかし簡易薙刀が無くなってしまったのは事実だ。もしボスが打撃の効かない相手なら、僕はナイフで接近戦をする羽目になる。流石にそれはマズいので、あの鉈を取りに戻ろう。無いよりはマシだ。
僕は簡易ポールハンマーを取り出し、それを持って道を戻る。そこにも理由があり、それは魔物が復活するかどうかを調べる為だ。そして今のところは復活していない。僕は3階に下りたが復活は無く、2階に下りても復活は無かった。
つまりイベントでは魔物を一度倒すと復活しない。これで確定だろう。となると魔物を倒すかどうかで変わるな。倒していった方が安全を確保できるのは間違い無い。もちろん武器に限度があるので難しいが、しかし安全は確保しておきたいし……。
走りながらも悩み、鉈を回収したら新しい棒にロープで括りつける。これでロープが無くなったので、大事に使っていこう。
再び4階に戻った僕は左右の扉の場所まで戻る。そして慎重に中を覗くと、途端に骨が飛んできた。慌てて扉の陰に隠れたけど、中には5体のスケルトンが居た。さて、どうやって倒そう?。
多少は悩んだものの、一気に接近して倒すしかないだろう。僕は簡易ポールハンマーを持ち、再び中を覗く。先ほどと同じように骨を投げてきたが扉に隠れ、「ガンゴンガンガンゴン」と鳴ったら即座に踏み込む。
スケルトンに接近してカチ割り、次のスケルトンに接近する前に離れる。スケルトンが振りかぶって投げてくるが、それを右に跳んでかわす。全てかわしたら近いスケルトンに接近してカチ割る。
それを繰り返し、ようやく全てのスケルトンを倒す事が出来た。
「投擲スケルトンは普通のスケルトンと見た目が一緒だし、厄介このうえないよ。唯一の判別方法は移動しない事だけだね」
僕はそう愚痴りながらも、部屋の中にあった木の棍棒と木の盾を持って行く。ここに来て盾の入手はありがたい。普通にゲームをするなら使わないんだけど、今は完全にソロだからね。上の階へはこの装備で行こう。
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※装備
木の棍棒
木の盾
革鎧
革の剣帯・鉄のナイフ
革のサンダル
※ランドセル型アイテムバッグ
簡易薙刀(錆びた鉈)
簡易ポールハンマー
パン
大きなハム
干し肉
チーズ
コップ
水甕2
ポーション甕2
荷物袋(小)
死神の鍵




