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0451・第四回公式イベント開始日




 2000年 11月26日 日曜日 AM7:34



 今日は第四回公式イベントの開始日だ。ただしイベントは今日から1ヶ月も続き、その間にクリアすれば良いらしい。その程度しか分かってなかったんだが、早速情報が更新されていた。


 実はまだ誰もゲームにログイン出来ていない。何故ならAM8:00からスタートであり、今日のAM0:00からログインできなくされている。どうもマイルームから飛んですぐに始められるらしく、その所為もあって制限しているらしい。


 今回の公式イベントは静かに開始するみたいで、「運営サイトで説明を読め!」としか書かれていない。まるでゲームを始めると説明も無しに始まるレトロゲームみたいだよ。だから今説明を見ているんだけど、予想していた以上に厄介だ。


 まず持ち込み禁止。これ自体は予想できていたけど、第3回と同じく装備の持ち込みも禁止にされてる。それどころか能力値すら制限を受けるみたい。全能力値は10でHPとMPは100、これでクリアしろとの事だ。当然レベルも無い。


 それだけじゃなく、なんと全てのスキルも無くすようだ。代わりに何でも出来るらしい。どんな武器を持ってもダメージが与えられるが、代わりに魔法は使用不能。当然【身体強化】や【魔刃】や【闘刃】も使えない。


 ならMPは何に使うんだろう? そこは説明が無いが、おそらくMPを使う何かはある筈。分からないものは置いておくとして、5階層ごとに黄色い魔法陣があり、これに乗る事でマイルームに戻って来れるそうだ。


 とはいえ、そこからやり直せる訳ではなく、あくまでも一時的な退避なだけ。つまり死んだら最初からやり直しとなる。そしてダンジョンから脱出する事が目的。ただし飢餓度も渇水度も上昇を続ける。


 当然ダンジョン内で食べる物や飲み物を見つけないと死亡だ。そういう意味ではサバイバルで間違い無い。しかもインベントリ使用不能というおまけまでついている。このイベントは非常に性質たちが悪いと言わざるを得ないね。


 それと、公式イベントの攻略情報を書き込むと、それだけで悪行度が爆増するのでお薦めはしないとの事。リアルでされると仕方ないが、ゲーム内の掲示板では止めろという事のようだ。まあ、ネタバレは駄目だよね。


 そして第四回公式イベントのタイトルは、<ダンジョンからの大脱出>らしい。これを見てピーンと来たのは、おそらく僕と友哉と五條さんだけだと思う。シズはもふもふゲームしか興味ないから、他のはあまりやらないんだよね。


 シズが最初に嵌まったレトロゲームは<牧場○語>だったくらいだし。僕はアレ系ダメだったから、何が面白いのかサッパリだったけどね。アレをやるなら<シムアン○>の方がまだマシだよ。


 そんな事は放り投げておくとして、大脱出というタイトルに引っ掛かりまくりなんだよね。レトロゲームに<大脱○>というゲームがあってさ、囚人で脱獄するんだったかな? 逃げ回りながら真犯人の証拠を探し出し、最後のステージで自分の無実を証明できればクリアとなるんだ。


 友哉や五條さんと一緒に、アレじゃないコレじゃないと探し回ったのは懐かしい思い出だ。だからこそ2人とも覚えている筈だし、引っ掛かってる筈。<レトロワールド>というタイトルで大脱出というぐらいなんだ、絶対に寄せてきてる。ここの運営なら。


 となると、脱出するダンジョンの中で何かを探すのかな? 例えば鍵になる物とか。それを持ってないと最後の扉とかが開かないパターンな気がする。色々考えられるけど、サバイバルを含んでいる以上は意味の無い寄り道は難しい。


 ああ、そうか。つまり何度も死んで道順を覚えろって事ね。はいはい、何となくこの公式イベントのコンセプトが分かったよ。おっと、そろそろAM8:00だ。ログインの準備をするかな。


 僕はAM8:00になったのでログインし、すぐにファルとキャスティの作った物を売りに出す。そして売り上げを回収したら倉庫に入れ、3人に声を掛けた後でソファーの部屋へ。何故か女性陣が居たが、まずは3人を呼ぶ。


 ファルはすぐに朝食の手伝いに行き、ラスティアとキャスティはトークに混ざら……ない。どういう事?。



 「神の遊戯がまた始まるんでしょ? 今回は私達の参加が認められていないみたいだし、正直に言って話題についていけないのよね。それで、コトブキは私達をどうする気?」


 「どうするもこうするも、こっちに居るしかないんじゃない? だってマイルームに居ても暇でしょ?」


 「まあ、そうですね。農地を見回るくらいしかないですが、あそこ見回る意味も無いんですよね。普通の農業と違い、作物に害を与える害虫の類が一切いないんですよ。普通ならあり得ないのですが、神の創られた空間ですしね……」


 「そんなメチャクチャだったの? それは知らなかったけど、益虫しかいないのは凄いわね。特に見回ってなくても問題は無いって事か。それは逆に暇ね」


 「普通なら他に見回る事も沢山あるのですが、あそこは最高の日当たりと温度帯なので、作物の生育環境としては良すぎるとも言えます。あれでは農家としての腕がなまってしまいますよ」


 「だったら師匠の薬草園でも手伝ったら? 前にそんな事を言ってたし」


 「そうですね。そうしましょうか」



 キャスティが納得したところで、イルから話しかけられる。何故かゲームだと呼び捨てに出来るんだけど、リアルだと五條”さん”になるんだよね。お嬢様だからかな?。



 「コトブキ、単刀直入に聞く。今回のイベントのタイトルについてどう思う?」


 「やっぱりイルも引っ掛かったんだね。今回の公式イベントは<ダンジョンからの大脱出>だ。どう考えてもレトロゲームが関わってると思う。特にここの運営だと絶対に寄せてくる筈だよ」


 「私もそう思う。ここの運営は何だかんだといって悪戯を含めて好むから、必ず寄せてくる。となると証拠じゃないけど、何かを途中で集める必要があるのは確実」


 「地上の手前に扉があるか、それともボス扉を開く為の鍵があると思う。それが普通の鍵なのか、それとも玉なのかは分からない。宝玉を嵌めると扉が開くパターンもあるからね」


 「成る程。それはあるかもしれない。とにかくスキルが全て無くなる以上は、鑑定すら不可能になる。更に食べ物も飲み物も現地調達。そのうえ鍵となる物を持っていかなければいけない」


 「挙句にインベントリは使用不能。つまり自力で持っていく必要がある。どこかにリュックとか鞄とかはありそうだけど、それを取りに行くと飢餓度や渇水度が上がる可能性もあるし」


 「罠とかで持っている食べ物が全滅するとかありそう」



 トモエとナツとアマロさんは僕とイルの話を聞いて、色々と想像しているらしく黙っている。そうしているとファルが来たので食堂に移動し、朝食の席で師匠に言われた。



 「コトブキよ。今日から神どもの遊戯に参加するのであろう? 今回は最長で一月と聞く。終わるまで妾の薬草園をキャスティに頼むがよいな?」


 「本人が望むなら構いませんが、無理矢理は困ります。まあ、先程その話をしていたので断らないとは思いますが」


 「ええ、別に構いませんよ。どうにもコトブキの居るマイルームにある農地は、害虫の害も何も無いので腕がなまってしまいます。たまにはちゃんとした農業がしたいですしね」


 「言いたい事は分かるが、贅沢な農地じゃのう」


 「ただ、限界が低い気もします。難しい野菜などの栽培は、好環境の筈なのに上手くいかないんですよね。野菜も生きていますから、甘やかされると最高にはならないのかもしれません」



 そういえばリアルのトマトにも、水分を極限まで搾るというのがあったような? 何かの動画で見た気がするし、最高の環境でも駄目なんだろうね。


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