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0443・餅




 夕食を終えた僕達はさっさとソファーの部屋からマイルームへと戻り、そのままログアウトする。今日は何だかんだと言って色々あったなと思いつつ、お風呂や夕食などを終わらせたら再びログイン。


 精錬作業を全て終わらせ、それが終わったら運営マーケットで必要な物を買い揃える。調べてみると意外にも色々売っており、あんこ以外にも何故か自動餅つき機なる物が売っていた。これ絶対にワザとでしょ。


 とりあえず購入し、まずはもち米を研いで水に浸していく。こういうのは爺ちゃんの家で。子供の頃にやった記憶どおりにやる。多分だけど大丈夫だし、きっと間違っていない筈。


 水に浸している間に属性武器などを作り、30分ほどで戻ってきた。1時間ぐらいの方が良かったのかもしれないが、僕が待てそうにないのでこれでいく。


 水気を切ったら布に上げ、元々作業部屋に付いている蒸し器にセットして蒸していく。ここでの作業はファルと一緒にしているのでファルも覚えてくれている筈だ。出来れば一度だけで、後はファルにやってもらいたい。


 十分に蒸しあがったら、自動餅つき機に入れて蓋をセットしたら起動。後は餅が出来るまでお任せのようだ。僕は囲炉裏部屋に戻ると、再び属性武器を作ってプレイヤーマーケットに流していく。


 調子よく作っている僕の所にファルが来た………? そうだ! 餅!!。


 僕が慌てて作業部屋にいくと、既に餅は出来ていて蓋が開いていた。ファルのジェスチャーなどで分かったが、どうやら出来上がると自動で蓋が空くらしい。へぇ、そんな風になってるんだな。


 適当に【クリーン】と【クリア】を僕とファルに使い、熱い内に丸めて丸餅にしていく。普段は角餅なんだけど、僕は形状的に丸餅の方が好きなんだよね。正月なのに”角が立ってる”お餅はちょっと……という気がするんだよ。


 そもそも鏡餅は丸いのに、何で角餅が一般的なんだろうね? 武士が云々という話を聞いた事があるけど、ウチの祖先は神官だったらしいから武士は関係ないし。僕は”角が立たない”お餅がいいね。



 ―――――――――――――――


 <料理> 丸餅 品質:9 レア度:8


 もち米を蒸して搗いて潰し、適度な大きさに纏めた物。これは丸餅なので丸い形になっている。何処かの世界にある国の西側では丸餅を、東側では角餅を食すらしいが、詳しい理由は分かっていない


 ―――――――――――――――



 丸餅を作ったからか、何故か表記が丸餅だね。もしかしたら角餅にすると変わるのかな?。



 ―――――――――――――――


 <料理> 角餅 品質:9 レア度:8


 もち米を蒸して搗いて潰し、適度な大きさに纏めた物。これは角餅なので長方形になっている。何処かの世界にある国の西側では丸餅を、東側では角餅を食すらしいが、詳しい理由は分かっていない


 ―――――――――――――――



 まあ当たり前なんだけど、餅としては何の違いも無いね。まだ温かくて柔らかいから形が変えられるけど、面倒だから全部丸餅にしてしまおう。


 さて、終わったらあんこを鍋に入れて温めていく。十分に温まったら餅を投入して少し煮る。この程度で良いよね? そもそも作りたてだからお餅が柔らかいんだし、そこまで煮なくても良い筈だ。煮すぎると溶けるし。


 後は椀に盛ったら完成。【料理】スキルを持つのはファルだけだし、僕は指示を出したり丸めただけなんだけど、それでも上手くいったようだ。



 ―――――――――――――――


 <料理> 善哉 品質:9 レア度:10


 甘い粒餡と共に餅を煮た煮物の事。何処かの世界にある国で食べられている料理であり、様々な呼び名で呼ばれるものの、だいたいは「ぜんざい」、もしくは「おしるこ」と呼ばれる


 ―――――――――――――――



 そういえばお汁粉とも呼ぶんだっけ? 普通に善哉ぜんざいと言うんだと思ってたけど、何だかややこしい話なのかもしれない。あれだ、ウチのが正式名称だとか色々な所が言うヤツ。これは深く考えない方がいいね。


 さて、甘い物だからラスティアとキャスティの分も持っていくか。自分達の分が無いとなれば絶対に五月蝿いだろうからさ。椀に盛って3人分で料理は終了。インベントリに入れて持っていく。


 ラスティアとキャスティの部屋をノックし、声を掛けて入室。2人に善哉ぜんざいの入った椀とフォークを出して渡した。



 「この中に入ってる白いのが餅ってヤツ? なんだか……美味しそうには見えないわねえ。まあ、食べてみるけど、こんな物にあそこまで必死だったの?」


 「これは自分で食べるように作ったシンプルな善哉ぜんざいだからね。他に栗を入れたりとか色々入ってたりするんだけどね」


 「んー………。なかなか切れませんね、コレ。……ふむ、甘く煮た豆も別に悪くはありませんか。この白い餅というのは結局なんなのでしょう?」


 「僕達が採ってたもち米。あれを精米して洗って水に浸けて蒸したら潰すんだよ。十分に潰したら粘りが出てくっ付くから、それを纏めたのが餅と呼ばれる物だよ。つまり穀物を潰して一塊にしたもの?」


 「へー…………確かに味は悪くないかな? 甘い豆っていうのが引っ掛かるけど、味的には変でもないし。この白いのが穀物なら、別に警戒する物でもないしね」


 「おかしな物を食べたりなんてしないよ。ただ、この食べ物は太りやすいと言われてるんだ」


 「「………」」


 「別に1度食べただけで太るって事は無いよ。単に食べ過ぎたりすれば太るって事。あと、善哉ぜんざいは劇的に甘い訳じゃないのと、餅って以外にお腹に溜まるんだよね。食べやすいから幾つも食べて、その所為で太りやすいってトコかな」


 「ようするに沢山食べなければ太らない、と?」


 「そうそう。結局は食べ過ぎというか、沢山食べやすい物ほど太りやすいのは変わらない。どんな食べ物でも食べ過ぎれば太るからね。ただ、あんこ。つまり甘く煮た豆は結構な砂糖を使ってる。だから太るとも言えるかな?」


 「まあ、これを食べ過ぎるって事は無いから、別に太るって事はないわね。ただ、驚くほどに柔らかいけど」


 「ええ、それは本当に思います。信じられないほど柔らかく、しかも異様に伸びますね。穀物を潰した物と言っていましたが、ここまで伸びる物があるとは……」



 その後、多少話したら2人の部屋を出て囲炉裏部屋へと戻った。善哉ぜんざいは好まれなかったけど、甘い豆を煮た物は国によっては顔を背けられる物だ。2人が好まなかったとしても仕方ない。


 僕としては久しぶりに食べた善哉ぜんざいは美味しかったので満足だけどね。餅を作るだけのもち米は沢山あるし、次は何を作ろうかな? ……面倒だから今日じゃなくてもいいか。


 それより作る物を作って、さっさとログアウトしよう。何と言っても、手に入ったというか、持って帰ってきた素材が少なすぎるんだよね。本当に要らない物ばかりだったから。8割ぐらいは捨てたんじゃないかな?。


 残りの2割ぐらいしか有用な物は無かった。今、お金儲けの為に行くなら40階~50階を繰り返す方がよっぽど儲かる。流石に50階以上は攻略になっちゃうね。幾らなんでも役に立つ物が手に入る確率が低すぎる。


 あれが当たり前になっていく階層なんだけど、もうちょっと良い物が手に入る確率を上げてほしい。そう思うんだけど、50階から先は有用な物が出てくるんだろう。だからこそ確率を下げておかないといけないんだと思う。


 師匠が100階辺りで手に入ると言ってた、伝説級金属の素材もあるし。そんな物が手に入るなら、確率が低くて当たり前だろうしね。


 ……さて、プレイヤーマーケットに流し終わったし、そろそろログアウトしようかな。


 という事で、本日はここまで。


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