表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
441/568

0441・幸運のハチマキ……




 ナツが参戦する前にエストが再び【ライトウェーブ】を撃ってくれたので大分マシにはなった。40階とは違い、50階からの魔物は簡単には怯んでくれないからね。ある程度HPを減らさないと怯みが発生しないんだ。


 なので【ライトウェーブ】を使って貫通させながらダメージを与えてくれないと、暗闇ソードや暗闇ヘルムから一方的に攻撃をされてしまう。ここでは【光魔法】が使える人は貴重な戦力なんだよ。


 暗闇シールドであれば生半可な魔法より、打撃系の闇属性武器の方が効く。なので暗闇ソードと暗闇ヘルムも光属性武器なら良く効く筈だ。とはいえ高いし持ち替えなきゃいけないしで、面倒臭いんだよね



 「それでも暗闇ヘルムを倒す為に持っても良いかなー、とは思ってる。特に幸運のハチマキは欲しいし。簡単には手に入らないだろうけど、それでも確率を上げるには威力の高い武器が欲しい」


 「別に魔法を上手く使えば倒せるんじゃないの? ナツは使えるでしょ。まあ、暗闇シールドが邪魔してくるでしょうけど。そこまでして欲しがると、また手に入らないかもよ」


 「いやいや、そんな事は無いから。きっと上手くいくから、……【ライトジャベリン】!」


 「おっ、上手く射線を通したな。星兜は沈んだけど気を引き締めろよナツ、まだ暗闇ソードが残ってるぞ」


 「大丈夫、大丈夫! ってキターーーー!! …………ほら見て! 幸運のハチ」



 ナツが誇らしそうに幸運のハチマキを着けて僕達の方を向いた瞬間、後ろから来た暗闇ソードに首を刎ねられた。


 だからユウヤが言ったのに、いったい何をやってるのかなぁ、もう!。



 「とりあえずナツの事は置いておくとして、戦闘を終わらせるよ。死んじゃった以上は文句を言っても始まらないからね」



 その後は無事に魔物を倒して戦闘を終了したものの、何やってんだかと言わんばかりの空気に包まれる僕達。皆が顔を見合わせて溜息を吐いた後、出発しようとしてイルが立ち止まる。



 「イル、どうかした?」


 「ナツからメールが来た。死んじゃってゴメンっていうのと、幸運のハチマキが無いみたい。多分デスペナでロストした。敵が強い場所ほど、死んだ時の耐久値の削れは大きくなる。おそらくそれが原因」


 「あーあー。せっかく手に入れたのに、手に入れた瞬間失くすとか。ある意味でナツの運の良さよね。何処かがズレてる運の良さ」


 「分かる。あの子なんかズレてるわよね? 何処がとは言い辛いけど、何処かが絶妙にズレてる感じがするのよ。普通なのにズレてるっていう、訳の分からない存在よね」


 「言葉がアレですけど言いたい事は分かります。ナツは不思議な感じがするのですよね。普通の人とはズレてるというか、絶妙にブレていると言いますか。像が重ならない感じです」


 「まあ、そういう所も含めてナツだとしか言い様がないんだよなー。昔からああだし、イルいわく変わってねーらしいし」


 「昔は不思議ちゃんって感じだったものね。猫と同じように意味不明な一点を集中して見てた事とかあるし。あれは結局、何が見えてたのかしら? いまだに不明よね」


 「メールは送れた。どうせそろそろ夕方に近いし、一気に進んで地図を完成させる?」


 「そうだね。出来れば完成してから帰りたいところだよ。敵が強い所為で50階から51階でギリギリだからさ。明日は2階層分の地図を描けないかも」


 「そこまで戦闘に時間が掛かってんのか。余裕が無いのも仕方ない強さだけどさ、こりゃ本格的に白魔銀の武器を持った方がいいな」


 「だね、僕もシグマの装備なんかを変えておこうかな? それと魔法も」



 そんな話をしながら進んでいると、突然壁から炎が噴き出した。慌てて通り過ぎたものの、半数の人数は道を戻ってしまう。当然ながら僕もその1人なんだけど、向こうに居るキャスティがこの罠について教えてくれる。



 「この罠は<火炎壁>といい、近くを通ると幾らでも噴き出して来ます! なので一気に走り抜けてください!!」



 何て面倒な罠だと思いつつ、出来るだけダメージを受けないようにダッシュで走り抜ける。その結果、大したダメージは受けずに済んだけど、また1つ厄介な罠を発見してしまった。


 皆も新しい罠にゲンナリしつつ進むと、今度はいきなり壁が爆発。氷の礫が大量に撒き散らされた。<爆弾壁>で飛んでくる壁の破片よりも多く、皆は結構なダメージを受けたようだ。特に近い所に居たシグマのダメージが大きい。



 「【ダークヒール】、【ダークヒール】、【ダークヒール】、【ダークヒール】。……ふぅ、これで治療は完了。とはいえシグマがここまでのダメージを受けるとはね。思っている以上に小さい破片が大量に飛んできたのが分かるよ」


 「ガン!」



 流石に罠がシャレになってないけど、それでも壁の方に盾を向けながら移動すれば大丈夫かな? 今回は初めてだから仕方ないとはいえ、次への対策は立てておかないといけない。簡単に罠が見破れるようになる訳じゃないし。


 再び魔物が現れたので緊張感を持って戦闘をし、勝利した後にアマロさんが言い出した。



 「あっ、これがレアアイテムですね。初めて手に入りました。なかなかに優秀ですけど、これネクロマンサーしか使えないんじゃ……」



 何やら意味深な事を言いつつアマロさんが取り出したのは、赤黒く明滅する兜だった。形はグレートヘルムだけど、これは確かにネクロマンサーじゃないと無理だね。



 ―――――――――――――――


 <兜> 呪印の兜 品質:10 レア度:10 耐久1250


 呪いの印が刻まれた赤黒く明滅する兜。その呪いにより攻撃した相手の魔力を奪う事が出来るが、その反面【回復魔法】と回復薬の効果を一切受け付けなくなる。尚、セーフティゾーン以外で脱ぐ事はできない

 防御力24(強化時29) 魔法防御力25(強化時30) 【魔力強奪】


 ―――――――――――――――



 「色々な意味で強力な兜だな。魔力の回復手段になるけど、町中とかの安全な場所でしか脱げない訳か。リスクとしては微妙なところだし、魔力が奪えるなら分からなくはねーなー」


 「確かにそうだね。ところでグレートヘルムって普通は十字に隙間が空いてない? 何でこのグレートヘルムは呪いっていう漢字の形に隙間が空いてるんだろう? こんなの初めて見るし、意味が分からない」


 「あれじゃね、<妖○屋敷>をリスペクトしてるんだろ。多分」


 「ああ、あのマップが呪いとかの字になってるゲーム? いや、あれをリスペクトされてもさ。懐中電灯で戦えっていうの?」


 「うん、絶対に無理だし勝てねえよな。あと、あのゲーム隠し梯子とかあって鬱陶しいし、あれも無くていいわ」


 「上を押してると何故か空中を梯子みたいに登っていくんだよね。あれも難易度が高くて、絶対に子供向けじゃないよ」


 「言いたい事は分かるけど、女の子は攫われてないから下らない話は止める。………ある女の子は首を刎ねられたけど」


 「それはそれで怖いから止めてくんねえ? 妖怪が出てくるなら<妖○道中記>か<奇○怪界>のノリでいいよ。何で微妙に怖い系なんだか」


 「あんた達どうでもいい話していないで、さっさと進むわよ。緊張感が無くなって、ナツと同じ結果になんてならないでよね?」


 「おっと、怒られたからちゃんとしようか?」


 「そうだな。油断して同じ事になったら、絶対にナツが喜ぶ。それだけは嫌だから、真面目に集中するか」



 その後、地図を完成させた僕達はさっさと脱出し、師匠の家へと戻った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ