表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
438/566

0438・50階から出る物




 厄介だろうが何だろうが、僕達は50階を進んで行く。思っている以上に敵が強いけど、それでも今まで戦ってきた相手であり慣れはある。なのでHPが上がっていようが、戦い方自体は変わらない。


 皆も強いならば強いなりに戦えるのが分かったのか、落ち着いて対処している。驚いたのは最初だけだし、その後も慌てる理由は無い。強いなら強いなりに対処の仕方を確立すればいいわけで、結局は勝てる相手だ。



 「最初こそ慌てたが、落ち着いて対処すれば十分に勝てる相手だな。それは良かったが、手に入る物が悪過ぎる。採掘すれば銅鉱石だったり黒曜石だったり、伐採すれば若木や堅木だぜ?」


 「今は採取だけど雑草やアール草も多いね。正直に言って手に入る物の質はグッと落ちたよ。それでも階層を進んできたんだから、良い物は手に入ると思うんだけど……」


 「手に入ると思って頑張るしかありませんね。そうでないと心が折れそうです。今までのように階層毎に手に入る物だけで構成されていると楽なのですが……」


 「それだとイージーガチャだから仕方ないんだろうなー……っと、俺の番か。行ってくる」


 「しっかし、良い物が手に入らないわねえ。私も大半がアール草だけど、ティロエムの原種も出たから良い物も出るのは事実みたいだし」


 「それも今までに出てるけどね。新しい物って何だろう? 誰かが出してくれれば分かるんだけど、誰も出せなさそうなのが何とも言えないなぁ……っと、今度は僕の番か」



 採取だから得られる物も僕には不要な物が多い。基本的には師匠に買い取って貰うだけだ。それでも儲かるからいいが、あまり僕にとって旨味は無いんだよね……うん?。



 ―――――――――――――――


 <食材> 稲束・もち米 品質:10 レア度:7


 米の一種でありアミロースを殆ど含まない物。天使の星の一部地域でしか栽培されておらず、基本的に市場に出回る事は無い。蒸してから臼と杵で搗こう


 ―――――――――――――――



 ………何でもち米が? しかも稲束って言われても稲架掛けする束の量ぐらいはある。これだけじゃ無理だけど、あと3つぐらい手に入れば餅を搗く事ぐらいは出来るかな? と思ってたら2つ目が手に入ったよ。ラッキー!。



 「コトブキ……なんて物を出してるのよ。それ、もち米って出てるんだけど?」


 「「「「えっ!?」」」」


 「この場所では2つだけ手に入ったよ。ほら」


 「おおー……マジでもち米だ。そういや運営マーケットにも何故か餅は無かったが、あれは手に入るから無かったのかもな」


 「それはありそうだね。それにしても臼と杵で搗くの? なんだか楽しそう」


 「意外と言ったらなんだけど、あれって大変よねえ。子供の頃にやったけど、杵って思ってる以上に重いのよ。「お前達も経験だ」とか言われて持たされたのを覚えてる」


 「僕も持たされたよ。今はもう倉庫の中だけど、昔は祖父ちゃんの家で餅搗きをやってたし。まだ臼と杵はあるんじゃないかな? 搗きたての餅って異様なほどに美味しいんだよね」


 「そうだったわね。なんか懐かしいけど、天使の星の一部地域でしか育てられてないって出てるって事は、これ本来は殆ど手に入らないんじゃない。特に悪魔の星の私達はさー」


 「だな。採取で新しく手に入るのはもち米か。レア度も7と高いし、これが当たりっぽいな」


 「当たりが食べ物なのはどうかと思わなくもないけど、料理スキルが上がりそうだから、私も頑張って出そうっと」



 そういえば新しい物もこうやって出るのか。思っていたよりも確率が高いのか、たまたま2回も出たのかは分からないけど、現に2回出てるしなぁ。ま、偶然という事にしておこう。


 それからも僕達は50階を回り、幾つか新しい物を手に入れる事が出来た。



 ―――――――――――――――


 <石> 地曜石 品質:9 レア度:5


 黒曜石に似た質感の茶色い石。石としては非常に頑丈であり、かつ黒曜石のようにガラス質のようでもある。武具に利用される事もある石であり、魔力の通りも闘気の通りも良い。ただし活かせるのは石工師か錬金術師のみ


 ―――――――――――――――


 ―――――――――――――――


 <木> 怪鱗木 品質:8 レア度:5


 表面が鱗状になっている不思議な木。その強度は非常に高く、並の木材では太刀打ちできない。魔力の通りも闘気の通りも非常に良いが、芯の部分こそが最も優秀な部分なので、武具に使うには本数を集める必要がある。表面は安価な防具に利用される事が多い


 ―――――――――――――――



 思っている以上に色々出たなぁ。何だかんだと言って皆も一つずつは手に入ったけど、ナツが沼に嵌まってしまったようだ。



 「何で私だけもち米が一つも出ないの!? これっておかしいよ!! 石なんて要らないから、お餅を頂戴!」


 「ナツに物欲センサーが発揮されてる。欲しい物ほど手に入らないのは誰しもが通る道。諦めて回数を熟すしかない」


 「本当にね。物欲センサーだけはどうにもならないし、避けて通る事も逃げる事もできない。そのうえ必要数集まったら、次からはボコボコ出るのよ。嫌になるくらいにね」


 「ま、物欲センサーはどうにもならないから諦めろ。俺達をどん底に突き落とす恐怖の大王みたいなもんだ」


 「怖れるという意味では間違っていませんね。無心になったりとかしてみるんですけど、何故か全く通用しないんですよ。物欲センサーって」


 「欲しい物ほど手に入らない。確かにあるけど、物欲センサーっていうの? 稀人のあんた達は」


 「確かにありますね、手に入らない事は。簡単な依頼の筈が手に入らなくて難儀した事があります。確かに物欲を見切られている気はしないでもないですので、センサーというのが分かりませんが、言いたい事は分かります」


 「まあね。こっちの心を見透かしてるのかと思うほど手に入らない事ってあるもの。あれが物欲の所為だと言われれば、まあ分からなくもないか。それでも腹立たしいけど」


 「誰だって欲しい物が出ずに腹立たしい思いをするものだよ。ナツの場合は搗きたてのお餅が食べたいんだろうね。あれ美味しいからさ」


 「醤油も味噌も海苔もあるし、他にも色々と運営マーケットに売ってるから買っておかないといけないんじゃない? 昔、両親が芥子からしと醤油で食べてたのが凄く印象的だったけど」


 「あー、あったね。普通の食べ方には飽きたとか言って色々試してたっけ。僕はハチミツを付けたのが昔は好きだったかな、あとバター醤油」


 「食べたくなるから、止めてー! 私に聞かせないで!」


 「まあ、こっちなら太らないから食べたくなる気持ちは分かる」


 「暴飲暴食しても平気だからなー。ダイエットにはならないし戻れば普通にお腹が空くから、むしろダメージは大きいけどな」


 「仕方ないですよ、それがダイエットに有効なら問題ですし。なにより、おかしなダイエット方法で健康を損ねる人って毎年出てますから」


 「とっくに採取も終わってるんだから、そろそろ先に進もうか。もう少しで地図も完成するし、そしたら51階に行こう。もしかしたら進めば進むほど該当の階層で出る物の確率は上がるかもしれない。50階は転移ですぐ来れる階だからね」


 「その可能性はありそうだな。今はまだ50階だし、59階とかの方がもち米の出る確率は高いのかもしれないぜ。まだまだ先に進まなきゃ分からないんだから、気合い入れて進まないとな」


 「お餅、お餅、お餅、お餅、餅、餅、餅、餅、炭水化物ーーー!!!」



 確かにお餅って炭水化物の塊か。太るからあんまり食べられないんだろうし、それが物欲の原因だね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ