0432・久しぶりのレアアイテム
40階。今日もここからスタートし、採取や採掘などをしながら進んで行く。既に昨日ルートを作ったので同じ道順を進みながら魔物と戦う。暗闇ソードや暗闇シールドとの戦いには慣れたものの、この辺りからが一番怖い。
皆にも声を掛けながら緊張感を持とうとするものの、しっかりと持てているかは定かじゃない。僕? 僕は問題無い。<BUSHIDO>を思い出せば緊張感などすぐにやってくる。
アレに出てくる化け物連中と同じじゃないが、それでも首を刎ねられる可能性があるとなれば緊張しない方がおかしい。問題は他の皆なんだけど、大丈夫だろうと信じるしかないね。
40階を終わらせ41階を進んでいると、本当に久しぶりな出来事が起きた。それは暗闇ソードと暗闇シールドの混成と戦った後、気を抜いた直後に起きる。
「ふぅ……うん? あれ? ドロップはこのダンジョンじゃ出ない筈……って、これレアアイテムじゃん!」
「コトブキもか!? 俺も何かレアアイテムが手に入った。でもなー……これ役に立つのか?」
「えっ? レアアイテムが手に入ったの? それってどんなの!?」
「レアアイテムは久々? 出ない時には全く出ないし、出る魔物も限られるらしい。だから出ない魔物と戦っても手に入らない、そう掲示板に書かれてた」
「ああ、見た見た。レアアイテムは持っている魔物が限定されてるってヤツね。確かにレアアイテムとして売り買いされてるのって同じアイテムばかりなのよね。ま、レアなのにポコポコ手に入るのもおかしいんだけど」
「そう考えると出ない方が普通なのでしょうか? それとも出る魔物と戦わないのが悪いのでしょうか?」
皆が色々話しているけど、僕は手に入ったレアアイテムを調べて微妙な気分になる。ちなみに僕が手に入れたのは剣で、ユウヤが手に入れたのは盾だ。でもこれ、本当にレアアイテムなんだよね?。
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<剣> 必中の剣 品質:10 レア度:10 耐久1120
必ず標的に当たるという伝説の剣。剣自体がスキルを持ち、「必中」というコマンドワードにより発動する。標的に必ず当たるが、その為に使用者の体を無理矢理に動かす。場合によっては手首や肘があり得ない方向に曲がる事もあるので注意しよう
攻撃力34 破壊力2 【必中】
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これって本当にどうなの? そうとしか思えない。試しに取り出して皆に見せると、その攻撃力の高さとは裏腹に【必中】に関して微妙な表情をしている。僕もその気持ちはよく分かる。絶対に普通に使うべき剣だ。
「そうよねえ。コレどう考えても普通に使う剣よ。これだけ耐久力の高い剣なんだもの、優秀な剣で間違いないわ。にも関わらず訳の分からないスキルが付いてるわね。っていうか、スキル付きの武器って<神の贈り物>以外に無いから当然ではあるんだけど」
「攻撃力も高いですし、本当に優秀な剣です。ただし付いているスキルを使うかと聞かれれば、絶対に使いませんね。それだけは断言します。体を無理矢理に動かされた挙句、関節の可動域を超えるとか意味が分かりません」
「本当にね。自動肉体破壊武器みたいな感じ? 何で手首とか肘が壊れるような動きをするんだか」
「最速最短で攻撃しようとする? だからあり得ない方向に向く。おそらくだけど、そういう事だと思う」
「成る程ねえ。それが一番早いから、剣が勝手にそう動くって事ね。本当に必中という物を再現するとこうなるって感じかー。そんなもの再現しなきゃいいのに」
そんな話をしていると、ユウヤが盾を取り出した。僕の必中の剣は、何の変哲もない普通の剣の見た目でしかないんだけど、ユウヤの盾はラウンドシールドで、中心に円錐の突起が付いてる。あれは何だろう?。
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<盾> 復讐の盾 品質:10 レア度:10 耐久1000
攻撃を受ければ受ける程に、攻撃の威力が上がる盾。盾そのものにスキルが付いており、「復讐」というコマンドワードにより発動する。盾の突起より光を放ち、受けたダメージをそのまま指定した相手に与える
自己修復 【復讐】
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………盾なのに破壊力減少が付いてない? って事は、普通に相手の破壊力をそのまま受けてしまうって事なのか。その代わり相手に受けたダメージを返すと。それはそれで凄いけど……って、ああ。自己修復が付いてるのはその所為か。
「分からなくもないけど扱いが難しいね。上手く使えば強力な盾だと思うけど、その反面防御には期待できない。本当に上手く使わないと大変かも。武器代わりに使うべきなのかな? 相手の防御を無視しそうだし」
「コトブキもそう思うか? 俺もそう思ってる。何ていうか、相手の防御無視で受けた分のダメージを与えそうなんだよ。となると硬い敵相手には有効な訳で……使いどころが限られるけど、上手く使うと強いよな?」
「でもコレ系って上手く使うのが難しかったりするのよねえ。上手く使えないとむしろ足を引っ張るから、無理に使わない方が良いってなるパターンになりそう」
「分かる。使うと凄く強いけど、それに引っ張られず普通に戦った方が結果的に良い。そういうパターンの装備品っぽい。コトブキの手に入れた剣のスキルの方が、シンプルに使えない分マシかも」
「必中って言っても手首や肘が変な方向に曲がるなら、誰もそんなの使いませんよね。どう考えても怪我するのは確実ですし、剣”だけ”の事しか考えられていません」
「でも剣として普通に優秀なのよねえ。コマンドワードを使わなければ問題ないんだし、本当に普通の剣として使うべき剣ね」
評価は散々だけど、僕の剣の方がマシなのは間違い無い。それでも使いようによっては使えるんだから、ユウヤの盾も上手く使えば役に立つだろう。
僕とユウヤはレアアイテムをインベントリに収納して先を急ぐ。変なところで時間を使ってる場合じゃない。そう思っていると、何故かまたもや手に入ったらしい。どうなってんの?。
「私が出たのはコレだったんだけど……」
「私はコレ。何故出たのか不明」
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<盾> 輝きの盾 品質:10 レア度:10 耐久1400
真っ白に輝く異様な程に目立つ盾。構えるだけで敵を引き寄せる事ができ、味方の被害を減らす事が出来る。盾の得意な者が使うべきであり、下手な者が使うと多くの魔物に嬲り殺しに遭うので注意
破壊力減少8 魔法攻撃減少8 【アピール】
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<剣> 閃光の短剣 品質:10 レア度:10 耐久1280
刃が付いていない為、まったく切れない短剣。ただし切れないなりに防御には使える短剣であり、この短剣自身にスキルが付いている。コマンドワード「フラッシュ」で発動し、強烈な閃光で相手の目を眩ませる
攻撃力1 破壊力1 【フラッシュ】
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「それもまた、何と言って良いのか悩むレアアイテムだね。どっちも使えるし強力だとは思うけど、その反面癖があるというか……何か出るのバラバラだね? もしかして敵の種類?」
「多分そう。私はショートソードから出た。コトブキは多分ロングソード。それにユウヤのはラウンドシールドで、ナツはタワーシールド。おそらくそれぞれが該当してると思う」
欲しければ狙うのが大変だけど、要らないならどうでもいいね。僕の剣はどうしようかな?。




