0422・暗闇ダンジョン・41階まで
一応、採掘、採取、伐採と一通りやったけど、1階層につき1ヶ所ずつなんて事はないだろう。なので僕達はウロウロと歩き続けている。相変わらず落とし穴があったりトラバサミがあったりするけど、未だに見つける事が出来ない。
いったいどれだけ潜れば罠が見つけられるようになるのか。回復しつつも、先の長さにガックリとしてしてしまう。<暗闇ソード>や<暗闇シールド>の混成も、今は何とかなっている。
首を刎ねられる可能性がある以上、皆も緊張感を持って対応してくれている。だから良いけど、怖いのは慣れた後だな。緊張感が薄れた時が一番怖い。多分だけど、何人かやらかすと思う。その1人が自分にならないように気を付けよう。
更に2ヶ所ほど採掘場所を見つけて掘ったが、出てくる物は変わらなかった。この階層では、各種の精石と金や銀らしい。後はお馴染みの石だ。ハズレは必ずあり、それなりの頻度で出る。それでも精石の確率は低くないと思う。
偶然だとは思えない確率なので、おそらく当たりは金なのだろうね。その後、採取場所を見つけて採取すると新しい物を発見したが……。
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<草> 寄生草 品質:8 レア度:5
虫などに寄生して育つ植物。栄養を吸って成長し、最終的に寄生主を殺して種子を蒔く。そうして命を終えるものの、残った物には強い薬効成分がある。上位の薬の原料になる物の1つ
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ふーん、上位の薬の原料ねえ。こういうレアっぽい物まで使わないと作れないんだなぁ。とはいえ僕には関わり無いから師匠に売ってしまうんだけどね。それはともかく、今は移動を続けよう。
今度は伐採場所を見つけたけど、出てくるのはトレント系の素材ばかりだった。
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<木> サンドトレウッド 品質:7 レア度:4
サンドトレントの幹そのもの。木材としては優秀なトレウッドの中でも、砂漠地帯に住むトレントの物。高い乾燥耐性を備えた木であり、水分が簡単には減らないので扱い難い素材
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<木> ウィンドトレウッド 品質:7 レア度:4
ウィンドトレントの幹そのもの。木材としては優秀なトレウッドの中でも、高山地帯に住むトレントの物。高い風耐性を備えた木であり、木の内部の密度が高い。良い木材の1つ
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ほうほう。ウィンドトレウッドは武器の柄としても良い物だね。まあ、今は魔鉄を使うから使う量は少ないけど。それでも斧の柄とかでは使うから、これは助かるな。
グリーントレウッドは炭にする物だし、今はアイストレウッドだったんだけど、密度が高い木材の方が耐久力も高いからね。武器に使うのが楽しみだ。
皆も伐採が終わったので進もう。イルとナツはゴルドウッドが出たらしいけど、その金ピカさに微妙な顔をしてる。やっぱり趣味悪いよねえ。
「アレだな。ゴルドウッドっていうか、ゴール○ルウッド? クリスタルは渡さんぞって感じの金ピカだな」
「そんなレトロゲームの話をされても、多分だけど分かるのは僕だけじゃないかな? アイツ倒さないと船が使えないからね。勘違いでも倒すしかないね」
「まあな。あの後で飛び回れるようになるから、まずはレベル上げしに行くんだよなー、壊される前に」
「そうそう……って、そろそろ周りを警戒しようか、敵が出てきそうだし」
「おう……って、コトブキの予想通り来たな。<暗闇ソード>が4か5か。とりあえず、今まで通りだな。首に気をつけてくれよー」
「分かってるから、さっさと戦いなさいよ。盾でしょうが」
「了解だ」
軽口を叩いているものの、しっかりと対処をし、危な気なく勝利したユウヤ。軽い口調ほど相手を舐めたりはしていない。まあ、危険な魔物だし、何より首を刎ねられるとなれば緊張感を持つか。
当たり前と言えば当たり前だし、そうそう緊張感を無くして惰性で動いたりはしないだろう。それからも僕達は歩き回り、40階の地図を完成させた。割と適当な地図だけど、皆はこれで問題ないと言っている。
既に分かっている青い魔法陣を使い41階へ。再び地図を描きながら進んでいき、僕達は幾つもの場所で採掘や採取や伐採をしていく。そうやって41階の地図が完成した段階で帰る事に。
少し早い時間ではあるものの、長くいて死んだら元も子もない。そう判断し、首を刎ねられる前に帰る事にしたんだ。なかなか大変で緊張感があったけど、色々と手に入った物も多い。
外へ出たらいつも通りにマイルームへ行って召喚し、ワールドに戻って何処か分からない国の首都へ。そこでパーティーを組み転移。師匠の家へと戻ってきた。
ユウヤと別れた僕達は師匠の家のソファー部屋へ。そこからマイルームへと戻り、素材を全て倉庫へと入れたら、ラスティアとキャスティとファルに声をかけてソファー部屋へ。
3人を召喚したら台所へと行き、師匠のスケルトン・クラフターに事情を説明し、師匠の所へ案内してもらった。どうやら師匠は薬を調合しているようだ。なので小さな声で話しかける。
「師匠。暗闇ダンジョンでティロエムの原種や寄生草を手に入れたのですが、買い取ってもらえますか?」
「ほう、有用な物が手に入ったか。ティロエムの原種は薬効成分が強いだけではなく、肌質の改善にも役立つ。あれはなかなか出んのだが、運が良かったな。それに寄生草か、あれもあって損は無い。スケルトン・クラフター、通常の値段で買い取っておいてくれ」
「カタ!」
僕は師匠のスケルトン・クラフターに案内された倉庫の前で、ティロエムの原種や寄生草を渡す。師匠のスケルトン・クラフターからお金を受け取った僕は、ソファーの部屋へと戻ってマイルームへ。
金や銀の精錬作業をしていると、何故かイルからメールが来たので読む。すると素材を売りたいとの事だったので、優先付きで流してもらう。それなりの量だったが全て買い、倉庫に詰めるとソファーの部屋へ。
夕食なのも書いてあったので食堂へ行き、師匠が居なかったので椅子に座り食事を始める。その後すぐに師匠が来たが、遅れた事は知られていないのでセーフというところだろう。
「今日は暗闇ダンジョン40階だったか? なかなか有用な素材などが手に入ったようだの」
「確かに手に入ったけど、その分、出てくる敵が強かったというか厄介だった。暗闇ソードは死角に入って首を刎ねようとするし、暗闇シールドは視界を塞いで邪魔をしようとするし」
「あのコンビネーションは厄介。視界を塞がれている間に背後に回られたりする。横に並んで戦うか、それとも1対1で相手をするしかない。私達は1対1を選んだ。もちろん他の人が手助けするけど」
「つまり、1対1の状態を作り出して、誰かの死角に潜ろうとしたら邪魔をするって事ね」
「成る程、そういう事か。それも悪くない方法よな。多人数の利をしっかり活かした戦い方よ。そうやって己らだけの攻略法を編み出していくのも重要な事。そうやって戦闘は安定していくのだからな」
「何だかんだと言って、全員が一定の緊張感を持って戦えましたね。首を刎ねられる可能性があるとなれば当然ですが……」
「よねえ。流石に私も緊張感を持ったわよ。首を刎ねられるって断頭台じゃないんだからさ。アレを狙ってくる魔物というのも、実際に相当珍しいのよね」
「まあ、そうだの。暗闇ソードのように、剣が勝手に動き回るというのも、魔物としては相当珍しいから当然だがな。普通はリビングアーマーのように一式揃っておるものぞ」
「そうよねえ」
剣だけ、盾だけって言うのは珍しいらしい。ダイ○モンドナイトなら、それぞれの装備だけで動き回るのにね?。
……でも、そう考えると暗闇ソードはハ○スニール? 首を刈るし分からなくもないけど。




