0419・暗闇ダンジョン40階
朝食を終えた僕達は、まずは魔隠穴へ。いつも通りに採掘を行い、回収したら脱出。次は豪雪山へと移動。今度は採掘や伐採をしつつ素材を回収し、終わったらバイゼル山だ。
3ヶ所を回って採掘したら師匠の家へと戻る。ソファーの部屋からマイルームへと飛び、ラスティアとキャスティ以外を召喚したら精錬作業を始めた。
途中でソファーの部屋へと移動しファルを召喚。昼食の手伝いに行かせたら、マイルームへと戻って作業の続きを行う。全て終わってユウヤに半分流すのと、トモエからメールが入るのは同時だった。
ソファーの部屋へと戻ってトモエに感謝を言い、昼食を食べに食堂へ。今日は師匠が居なかったので、すぐに食事を始める。
「午後からは暗闇ダンジョン40階だけど、進めるかしらね? それとも一旦はここで停滞か。なかなか難しいところだけど、どうなるのは予想がつかないわ」
「私が知る暗闇ダンジョンとは細部が少しずつ違いますからね。私もどうなるかは分かりません。記憶と同じなら40階からはアレですし、結構大変だと思うのですが……」
「そうね。<ライフドレインの罠>が妙に早かったりとか、細部がちょこちょこ違うのよ。といっても、あれから随分と時も経ってるし、同じって事は無いのが当たり前でしょうけど」
「まずは行ってみてからですね。行ってみないと分かりませんし、そこでどうなるかです。どのみち先へと進む事が目的ではありませんし、採取活動が出来ればそれでいいのですから、そこまで無理に進む必要もありませんが」
「私達の目的はそもそもガチャ。あいつらは嫌だから突破したけど、そもそもアレらが居なければ30階でも良かった。とはいえ、先に進むほど良い物が出る以上は、先に進むべきだとは思う」
「そうですね。先に進んで良い物を手に入れるというのと、今の内に進めるだけ進んでおくというところでしょうか。これから先がどれほど大変か分かりませんが……」
僕達だって行ってみないと分からないし、実際に戦ってみないと分からない。そもそも敵の数が多いダンジョンだから、困りものなんだよね。スキルは育つけど経験値は入らないし、でも良い経験みたいなんだよなー。
【罠発見】の為にも50階まで行く気は無いし、今は40階辺りでスキル上げと素材の確保だね。
「そう。【罠発見】で罠が判別できるようにならないといけないのよね。50階以降に行ったところで、罠が発見できなければ危険すぎるし……やっぱり40階で止まらざるを得ないわ」
「トモエの言う通りではあるんだけど、でも先に進めば進むほど良い物が出てくるんだよね? どっちが良いかは難しいところだと思う。だって50階以降の方がスキルも上がりやすいかもしれないし」
「それは分かる。でも、それ以前に罠でさえ発見できない以上、それより強力な罠は危険すぎ。まずは1つ1つ熟せるようになっていくのが良い。一気に進もうとすると、だいたい失敗する」
「まあ、ここで話してても仕方ないし、向こうに行ってからじゃないかな? 罠のダメージもバカにならないし、僕としては【罠発見】を鍛えてからだと思うけどね」
「んー………」
ナツはGを警戒……じゃなくて、嫌な虫を警戒してるのかな? 流石に魔物が強力な所なら、素直に強い魔物が出てくるだろうし、それは見た目で攻めてくる魔物じゃないだろう。そういう理由なら分からなくもない。
昼食を終えた僕達は準備をし、師匠の家の前で合流したら暗闇ダンジョンへ。現地で解散したら、召喚してパーティーを組み、皆とレイドを組んだら一番奥の魔法陣へと進む。これが40階への魔法陣か。
乗って移動した先で警戒するも、周囲に敵は無し。今回は持参した紙と書く物で地図を描いていく。あまり得意じゃないけど、何となく分かる地図で十分だと言われてる。そんなもので良いのかと拍子抜けしたけど。
陣形を組んで進んで行くと、早速初めてのモンスターが現れた。
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<暗闇ソード> 特殊魔物 Lv64
暗闇ダンジョンにのみ生息する特殊な魔物。全身が黒く、非常に見え辛いのが特徴。とても厄介な魔物であり、群れの数が多い。無機物なので気配が無く、生ある者を追い駆けて切り刻み、刺し殺そうとしてくる。生物的な弱点や急所がないので注意しよう
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「なにあれ? 剣が浮いてる? ……何だか真っ黒で凄く見づらい」
「この系統かー、あるあるだけど厄介よねえ。鑑定では弱点や急所が無いってなってるけど、剣なんだから無くて当然だし、今までの魔物とは違ったタイプ」
「むしろゴーレムとかドールと同じタイプじゃないか? とにかく戦ってみなきゃ分からないが、思っている以上に厄介かもしれねーから、気を引き締めて戦うぞ。こいつレベル60超えてるし」
ユウヤの言う通り、この魔物はレベル60を超えてるんだよね。いきなりグンっと上がったんだけど、師匠が40階からは魔物が強いって言う筈だよ。
3体しか出てきていないので早速セナが攻撃に行ったんだけど、ヌンチャクに纏わせた【闘刃】でもダメージしか与えられないみたい。向こうの刃とぶつかって「ギィン!」って音がして弾かれただけ。
そこから考えるに、ここの魔物は思っている以上に厄介だ。今までなら首を刈って終わりだったのに、それが通用しない。ある意味で普通のRPGの如く、正面から殴り合いをする必要がある。
むしろ打撃系として攻撃した方が有利かもしれない。そう話すと、セナは【闘刃】の形を変え鈍器のようにして叩く。これが良かったのか、「ドゴッ」と音がして良い感じのダメージが入ったらしく、敵が少し後退した。
セナもチャンスだと思ったんろう、一気に畳み掛けようとして、左から別の<暗闇ソード>が襲ってきた。慌てて魔力を通したトンファーで受けたけど、あの<暗闇ソード>、セナの首を刎ねようとしてたな?。
今までこっちがやってきた事を、今はやり返されている気分だ。皆も猛烈に戦いにくそうにしている。魔法も駆使して何とか勝ったけど、これが10体近くも現れたら厳しいな。
「皆、おつかれ。予想以上に苦戦したっていうか、首を刎ねたり弱点を攻められない相手は厳しいね。今まではそうやって戦って済んできたけど、弱点や急所の無い相手がこれほど厄介だとは思わなかったよ」
「おつかれー。<破滅>も言ってたでしょうけど、ここからは地力が問われるのよ。弱点や急所が無い以上は簡単に敵を倒せないからね。ここを突破するには、十分な実力をつけてからの方が良いわ」
「おつかれさまです。十分な実力も然る事ながら、慣れというのも必要ですよ。こういう削り合いをしなければいけない相手というのは、慣れてくるとまた変わります。今は慣れていないので、余計に大変でしょう」
「おつかれー。成る程と思うけど、アレは慣れたらどうにかなるのか疑問だわ。いきなり首を刈りにくるからな。冗談じゃなく厳しい。そのうえフワフワ浮いてる癖に、しっかり力の篭もった斬撃なんだぜ? 意味が分からねえ」
「確かにそうだったね。予想以上に40階から先の難易度は高そうだ。剣だけが飛んで襲ってくるから、人型相手とは全く違う厄介さがある。剣だけだと、どう動くかが非常に分かり辛い。行動の予測がここまでし辛いとは思わなかったよ」
足腰の動きとか筋肉の動きで大凡の軌道は分かるんだけど、こいつら武器のみで動くからなぁ……。ある意味で反則だよ。




