0412・暗闇ダンジョン20階到達
豪雪山とバイゼル山を終わらせた僕達は、一旦師匠の家に戻って各々の作業へ。僕はマイルームに戻る前に、皆に声を掛けておき、マイルームへ戻ったら皆が優先つきで流してくれた素材を購入する。
その後、精錬作業を終わらせて青魔銀を作ったら、ユウヤにフレンドコールを行い、作った青魔銀の半分を優先つきで流した。この作業で昼に近くなり、慌ててソファーの部屋に戻った僕はファルを召喚し、昼食の手伝いに行かせる。
「やれやれ、ギリギリ間に合ったかな?」
「間に合ってない気もするけど、別に怒らないでしょ。それで、作業は終わったの?」
「ああ。何とか青魔銀を作り終わって、ユウヤにも流し終わったよ。これで後はゆっくり作業出来る。待たせてると、どうしても急がなきゃって焦るからさ。品質が下がりそうで嫌なんだよね」
「そういう事はありますね。誰かを待たせたりなどしていると焦るものですし、焦らない者も居ますが……。ラスティアは焦らないタイプでしょうね」
「いや、私だって待たせてるヤツが居れば、早くしなきゃって焦るわよ? そういう状況で焦らないのは<破滅>でしょ」
「「「「「「あー………」」」」」」
何故かここに居る全員が納得したけど、師匠がクシャミしてたりして。まあ、そんな冗談はともかく、半分残した青魔銀は帰ってきてからトンファーとヌンチャクにしよう。今は無理だね。
雑談をしているとファルが来たので、食堂に移動して昼食を始める。師匠は特に何も言わなかったので、クシャミは無かったらしい。
「今日はこれから<暗闇ダンジョン>だけど、今日中に20階かぁ……。何とか行けるかな? それとも無理かな?」
「20階ならば迷わぬ限り何の問題もあるまい。そなたらなら、厳しいのは40階辺りからではないか? 20階までは10階までと変わらん。20階以降は魔物と罠の種類が増えるぐらいだ」
「そうだけど、地図も描かずに突っ込んでるからね。キャスティは30階までじゃないかと言ってたけど、<破滅>は40階まで行けると考えるのね」
「まあ、地図を描かんでも、何度もアタックしていれば突破は出来よう。40階からは魔物も様変わりし、罠も厳しくなっていく。完全に地力が問われるからな」
「ああ、成る程。魔物の難しさね。1階から20階まで、20階から40階まで、40階以降と魔物は変わるもの。私はその辺りまでしか知らないけど」
「40階からは魔物も大変になっていく。まあ、妾の敵ではないが、今のそなたらでは厳しかろう。それでも40階まではいけるじゃろうから、そこで素材を得るようにすれば良い」
師匠は40階と言うけど、果たして本当に40階まで行けるんだろうか? そんな事を考えつつ昼食を終え、僕はソファーの部屋からログアウト。現実へと戻ったら、昼食や雑事を終わらせて再びログイン。
皆が揃ったらパーティーを組み、転移札で<暗闇ダンジョン>へ。移動したら解散してパーティーを組みなおし、レイドを組んで進んで行く。
10階まで到達したからか、入り口の転移魔法陣の奥に、もう1つ魔法陣が出現している。僕には既に出てたけど、全員が確認できているようだ。
ラスティアとキャスティいわく、あれが10階への転移魔法陣らしいので進み、その魔法陣に乗って10階へ。到着したら陣形を組み、敵を警戒したものの近くには居なかった。
とりあえず奇襲は無かったので落ち着き、皆と一緒に進んで行く。魔物は現れるものの、出てくるのは暗闇ネズミや暗闇ウサギばかりだ。20階までは魔物が変わらないと言っていたので助かる。
そう思っていたのだが……。
「うわっ、何これ!?」
「あたたたたた……これは<ブラックウェーブ>の罠よ。<暗闇ダンジョン>以外にもあったりするけど、この罠って範囲が広くて面倒なのよね」
「ですね。踏んだものを中心にして広がりますし、ウェーブ系魔法のように貫通していくんですよ。その所為で周りの者まで被害を受けるんです。まあ、魔物も巻き込まれて被害を受けるんですけどね」
「罠を逆利用出来るって事か……。とはいえ、大したダメージにはならなさそうだから、無理に利用するのは無しだな。俺達までダメージを受けるし」
「そうだね。唯々ダメージを受けちゃうだけで、意味は無いよ。どうせ魔物を倒す際は一撃だし」
「まあね。一撃で倒してるんだから、罠で無理にダメージを与える必要がないのよ。逆に私達がダメージを受けるから損するわ」
魔物を倒しながら進んで行くものの、なかなか青い魔法陣が見つからない。そう思いつつウロウロしていると発見。11階へ。
こんな調子でウロウロしつつ15階まで進み、暗闇リスを含めた魔物を倒していると、また新しい罠を踏んだみたい。今度はトモエだ。
「ちょ!? これは……うぐぐぐ………」
「あらら、それは<ライフドレイン>の罠よ。この罠ってこんなに早く出てきたっけ? ちょっと私の記憶とは違ってる気がするけど、それは生命力の10%ぐらいが吸い取られる罠よ」
「そうです。どんな者であっても1割ぐらいは生命力を吸い取られてしまうという、考え方によっては悪辣な罠ですね」
「それって……瀕死を利用してたら、僕は死ぬね。何というか、ピンポント過ぎて笑えない」
「まあ、言いたい事は分かる。瀕死を利用した戦いをしても良かったんだろうけど、<暗闇ダンジョン>では駄目だな。この罠で死んじまう」
「本当にね。この罠を確実に発見出来るようになるまでは、<暗闇ダンジョン>で瀕死戦法はとれないよ。まだまだみたいだし、このダンジョンも通うしかないね」
「ガチャダンジョンだから、元々通わないと駄目」
「そういえば、そうか。僕達そもそもガチャをしにきてたんだったね。いつの間にかダンジョン攻略に意識が切り替わってたよ」
とはいえ今はダンジョン攻略の意識で良いんだけど。そんな話をしつつ、15階から先を攻略していく。魔物も変わらないし、妙な罠が多少出てくるようになったくらいで、特に大変な場所もなく20階に到達。
転移魔法陣を登録して、僕達は脱出の魔法陣で外へと出る。昨日より少し早い気はするものの、マイルームへと飛んで全員をマイルームに呼んだ後、僕は知らない国の首都に移動。
皆とパーティーを組んだら、転移札で師匠の家に移動し、今日の<暗闇ダンジョン>攻略は終わった。なかなか大変な場所だけど、少しずつは慣れてきたかな?。
そんな事を思いつつも師匠の家に入り、ソファーの部屋からマイルームへ。ラスティアとキャスティとファルに声をかけてから戻り、3人を呼び出したら僕がマイルームへと移動。青魔銀で武器を作成する。
トンファーやヌンチャクを作成してプレイヤーマーケットへ流すと、次々に買われていった。どうやら闘士以外も買っているらしく、クレームが入っていたが、そんな事を僕に言われても困る。
作っては流すのを繰り返していると、どうも買占めをしている連中が居るのを発見。その連中を纏めてブラックリストに入れてから流す。
何の為に安くもない武器を買い占めているのか知らないけど、どうせ碌な事じゃないだろう。買占めという行為が碌でもないんだから、考えなくても分かるね。その後は僕の所にクレームが来る事は無くなったから連中だったんだろう。
訳の分からない事をする奴等が居るなぁ、と思っていたら、トモエからメールが来た。どうやらファルが来たらしい。夕食に遅れると師匠に怒られるので、さっさとソファーの部屋に戻り、トモエに感謝を言って食堂へ。
師匠が既に居たので、本当に助かったと言える。危なかったー。




