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0411・メンテナンス明け




 「水属性が効くのは分かったけど、水精石は豪雪山に行かないと手に入らないんだよね。一応あそこで採れる物だからさ。コツコツと溜めて加工して売りに出すしかないなー」


 「私達も出たら売るけど?」


 「それは助かるし買うんだけど、きっとそれでも需要は満たせないと思う。ま、待ってる人達には、仕方ないと諦めて貰うかな。どれだけ文句を言われても、1日に掘れる回数は決まってるしさ」


 「それはね、しょうがないよ。今は7万人? くらい居るから。その内のどれだけが<闘士>かは知らないけど、少なくとも数千人は居るんじゃないかな?」


 「うん。千とか二千ぐらいは居ると思う。それらの需要を満たそうと思えば、何回掘りに行けばいいのか分からない。そもそも毎回確定で水精石が出る訳でもないから、余計に時間が掛かる」


 「っと、そういえばスキルの内容が変わったとかあったけど、いったい何が変わってるのか確認しておかないと」


 「それよりもアップデートの時間が掛かったのは、多分だけど瀕死判定の方だと思うわよ? 瀕死判定のHPが15%から10%に変更になってたから。ちゃんとアップデート内容を読んだ?」



 そうトモエが言うので慌てて確認に行くと、確かに瀕死判定が15%から10%に変更になっていた。これも僕に対してピンポイントな変更な気がするが、【爆力】使用で即瀕死なのは変わらないっぽい。


 他には……各魔法の効果範囲などが若干変更されていたり、格闘スキルの威力の変更? それに回避スキルの修正……ねえ? 僕にそこまで関わりないのも変更されてるな。


 しかし瀕死判定の変更は大きいだろうな。根本的な部分の変更だろうし、15%ではいけない理由があったんだろうけど、いったい何かな? ……ま、考えても分かる筈ないか。それより大体は分かったから、もういいね。


 ウィンドウを閉じるのと、ファルが呼びに来るのは同時くらいだったので、僕達は食堂へと移動する。席に座って食事をしていると、半分ほど食べた辺りで師匠が来た。



 「いやいや、遅れたわ。何処かの阿呆が薬を作れと五月蝿い所為での、余計な手間をとらされたのだ。まあ、後は放っておくだけだからいいのだが」


 「最近、薬を作る事が多いけど、<破滅>の薬を必要とするって結構マズい病気でも蔓延してるの? ここアンデッドの国よね……?」


 「そうではない。今作っておるのは<剛体薬>や<強魔精水>なのだ。他にも<集点薬>も作っておるが、面倒な物を注文しおって。マリアには多少値を上げて伝えたがな」


 「またここの女王が依頼してきたの? それも強化薬ばっかりじゃない。肉体を活性化させる<剛体薬>に、魔力強化の<強魔精水>。そして集中力を高める<集点薬>とはね」


 「特に<集点薬>を求めてくるところが凄いですね。あれは修行にも使われるものですよ。強引に集中力を強化し、その集中力をもって反復練習を行わせる。それで間違っている部分を強制的に直すんです」


 「ただし、どうにもならん奴に対して使うものじゃの。大半の者は練習で矯正可能だから、いちいち高価な薬を使ったりなどせん。使う必要があるのは強固に癖がついてしまった者に限る」


 「それもまた何というか、こう、コメントし辛いですね。そこまでの癖がつく事がある事を驚くべきか、自分がなった事が無いので黙っておくべきか」


 「まあ、分かる。だがな、稀にとんでもないのがおるのだ。何度言っても間違った癖が抜けん者がな。癖付ける事も1種の才能と言えるが、反射で行えるものを修正するのは大変なのだ」


 「そこまで癖が付いていれば、修正は並大抵の苦労では出来ませんよ。反射で間違った動きをしてしまうのですから、根本的な部分の修正となります。下手な人物に教えられると、才能ある者はそうなってしまうんですよ」


 「本当にね。不幸と言うしかないんだけど、教える側にも力量が求められるのよ。にも関わらず、下手な癖に教えるバカとか居てね、それで才能が潰されていくわけ。良い指導者に会えるかも運なのよ」


 「良い指導者に会えれば才能が伸び、悪い指導者に会うと間違った事を教えられ潰される。同じ才能が有っても片方は成功者ですが、もう片方は……」


 「まさに不幸としか言えんの。まあ指導者だけではない。大きなケガをせぬとか様々な事が重ならぬと、才能は大きく羽ばたいたりは出来んのだ。まあ、食事時にする話でもなかったな」



 確かに皆が色々と考えてしまう会話内容だった。とはいえ、現実にも悪い指導者に当たった不幸なアスリートとか居るからね。その後に良い指導者に会えて伸びたなんて話も聞くし。


 朝食後、僕達は準備をして師匠の家の前へ。ユウヤが来たので魔隠穴へと移動し、いつも通りに採掘して回収していく。もはや慣れたもので、どんどんと掘っていくんだけど、ユウヤも水属性武器の事は知っていた。



 「そりゃ知ってるっての。結構話題になってたし、雑談板でも闘士板でも話題になってたからな。元々は運営ダンジョン攻略板だったみたいだけど。で、俺も水属性武器を作ろうと思ってさ」


 「なら皆からの買取で作った青魔銀は半々にしようか。あれが一番属性効果が大きいから、青魔銀で作るのが一番だと思う。トンファーかヌンチャクでいい筈だし、ユウヤならトンファーかな?」


 「そうだな。ヌンチャクは鎖部分が面倒臭い。まあ、鎖じゃなくて皮でも良いんだけどな。元々は蔓とか縄とかで木の棒を繋いでたらしいし、なら別に鎖である必要も無いだろ」


 「そういえば私、鉈を持つ必要なんてあったの? 水属性のメイスを作ってもらえば突破できるよね?」


 「ナツは駄目。そもそも闘士の中でも打撃武器オンリーに拘ってる連中ぐらい、水属性武器でゴリ押しするのは。他の連中は別の種類の武器で突破してる。今後の事を考えても2種類使えた方が有利」


 「そうだぜ。突発的に別の種類が必要になる場合もある。いきなりその状況に陥ったら、打撃オンリーじゃ死ぬしかないだろ。初見で敵の弱点属性なんて分からないんだし、その属性の武器が用意出来るわけもないんだ」


 「そうそう。そんな事を言い始めたら、全属性のメイスを持ち歩く事になるわよ?」


 「………それはヤダなー」


 「でしょ。だったら文句言わずに鉈の練習しなさい。そもそも武器1種って、仲間が絶対に居る状態じゃないと危険なのよ」


 「私、皆と居るけど?」


 「運営ダンジョン。あそこもそうだけど、ソロ専用の場所は他にもあるかもしれない。それらを考えると、複数種類の武器を使えた方が良いに決まってる」


 「まあ、それは……」


 「複数の武器を使うのが面倒臭いんだろうけど、気分転換に使ってりゃ、そのうちスキルレベルも上がるだろ。それかメイスを使わず鉈オンリーで進むとかさ。【魔刃】や【闘刃】使えばいけるだろうし」


 「それも良いかもね。メイスは腰に吊るしておいて、今から鉈だけ使いなさい」


 「えぇー!」



 皆が騒がしいので魔物が寄ってくるんだが、僕が【爆力】を使って瀕死になってるからか、敵は僕しか狙わない。そこはどうやら変わっていないようなんだが、1度攻撃を受けると僕の優先度は大きく下がるみたいだ。


 以降は殴っても僕にターゲットが変わる事は無かった。おそらく最初の一撃でかなりのダメージを受けているので、そのダメージを与えた人物に相当のヘイトが向くのだろう。


 それは分かるんだけど、今までそうなってなかった事に驚いたよ。普通のゲームでは、受けたダメージによってヘイトって変わらない? なのに違ってたみたい。


 そりゃ緊急メンテするよね。


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