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0404・暗闇ダンジョン1階




 魔隠穴が終わった後、豪雪山とバイゼル山で素材を手に入れて、師匠の家に戻ってきた僕達。今は各々が自由にしているが、僕はマイルームで精錬を行っている。これだけは必須の作業だから今の内にやっておきたい。


 現在もHPが瀕死状態ではあるものの、セーフティエリアでは【背水】は発動しないらしく、能力値は上がっていない。まあ、当たり前といえば当たり前の措置なので、流石に駄目だったかーと思うくらいだけど。


 ただ発動しないからか、代わりにゆっくりとHPは回復しているみたいで、そろそろ瀕死状態から脱すると思う。僕としてはそんな事よりも精錬が重要なので、HPを見るのは止めてそろそろ集中しよう。


 ………精錬が終わったので片付け、ソファーの部屋に飛ぶと、相変わらずお喋り中の6人が一斉にこっちを向いた。ちょっと怖いので止めてほしいが、スルーしてソファーに座る。


 掲示板を読もうかなと思っているとファルが来て、昼食の時間となったので食堂へ。師匠が居たので挨拶すると、今日行くのか聞かれた。



 「ラスティアが言うので作ってやったが、<暗闇ダンジョン>へは行ったか? あそこはレベルの上がらぬ場所だから大変だろうが、良い訓練の場所でもある。経験は得がたいものだからな、行っておくがいい」


 「今日午後から行くつもりだったのですが……レベルが上がらないんですね。にも関わらず魔物が大量に出てくると……」


 「そういう場所だから仕方ないの。とはいえスキルは磨かれるので悪くはない。ま、あそこは罠が多いので、その関連のスキルも磨かれるであろう。そういったものも含めて、良い修行の場と言えるのだ」


 「そういう事ですか。気合を入れて確認しながら進んだ方が良さそうですね。流石に罠関係のスキルは殆ど使ってないので、上がってない筈ですし……」


 「ま、とにかく慎重に動く事だ。後は何度も経験する事でしか学べまい。ひたすら励め」



 やっぱり<暗闇ダンジョン>って思ってるより大変な場所なんだな。師匠がわざわざ言ってくるぐらいだから、相当な場所なんだと思うけど、今から緊張しててもしょうがない。少し落ち着こう。


 昼食後。僕達はマイルームに戻って準備を整え、完了したらソファーの部屋へ。師匠の家の前に出たら、僕1人の状態で転移札を使い<暗闇ダンジョン>へと転移した。


 そこは不思議な場所で、目の前には真っ暗な空間が広がっており、右斜め前に転移魔法陣が置かれている。右斜め後ろの方には、大きな壁と大きな転移魔法陣が見えた。どうやらお金を払って使う転移魔法陣はアレらしい。


 となると真っ暗な空間前の転移魔法陣が、<暗闇ダンジョン>の入り口なんだろう。悪魔の星はいつだって薄暗いだけなんだけど、何故か暗闇ダンジョンの転移魔法陣から先は真っ暗だ。何も見えない。


 僕は皆を呼び出すが、皆も周囲を見て戸惑っている。驚いていないのはラスティアとキャスティぐらいだ。皆が落ち着いた段階で、僕は声をかけ、<暗闇ダンジョン>への転移魔法陣に乗る。


 皆も乗って転移が始まると、すぐに周囲の風景が変わった。


 <暗闇ダンジョン>の1階。そこは真っ暗な場所ではなく、”真っ黒な”場所だった。まさかの壁が真っ黒という厄介な場所で、結局のところ非常に見づらい事に変わりは無かった。


 触った感触は石のような感じなので、単に壁が黒いだけなのだろう。それにしても、真っ黒な壁が続くダンジョンとかやってくれる。そう思っていたのは僕達だけだったようだ。



 「この黒い壁を見ると、<暗闇ダンジョン>に来たって感じがするわね。昔は松明を持って進んだりしてたのよ。私、灯り用の魔道具って持ってなかったから」


 「私も同じでしたよ。そもそも長時間使えるトレント材で松明を作れば良いだけですし、今はどうか知りませんが、昔はその方が安かったですからね。<暗闇ダンジョン>に来るのも何百年ぶりでしょうか」


 「昔の事を思い出すのはいいんだけど、そろそろ緊張感を持って進もうか? ここ魔物強いんでしょ?」


 「まあね。気合い入れて行きましょうか」


 「そうですね」



 僕達は緊張感を持って進んで行く。通路はそこまで狭くなく、5人が横に広がって進める程には広い。しかし【夜目】と【暗視】の御蔭で見えているとはいえ、それでも壁が黒いので暗い感じがする場所だ。


 そう思って少しずつ進んでいると曲がり角があり、その先から結構な魔力や闘気が感じられる。どうやら魔物がいるようだ。皆に話しかけると、皆も既に感知していたらしく、既に戦闘態勢に移行していた。


 僕達はゆっくりと曲がり角に近付き、そして曲がった瞬間、陣形を組んで敵を向かえ撃つ。前衛はシグマとセスとキャスティで、他は遊撃という、いつもの形だけどね。



 ―――――――――――――――


 <暗闇ネズミ> 特殊魔物 Lv48


 暗闇ダンジョンにのみ生息する特殊な魔物。全身が黒く目だけが赤いのが特徴。非常に厄介な魔物であり、群れの数が多い。体が大きいのでそこまで攻撃を当てるのに苦労はしないが、代わりに歯が大きいので気をつけよう


 ―――――――――――――――



 レベルが高いなと思うけど、同時に<暗闇ダンジョン>のみの魔物が出るんだね。まあ、レベルが上がらない魔物って事は、経験値が一切無いって事だから、そういう意味でも特殊な魔物にせざるを得ないんだろう。


 キャスティが【ライトウェーブ】を放ったが、どうやら結構効いているらしい。少なくとも暗闇ネズミの弱点は光属性っぽいね。そこは覚えておこう。他の皆も思い思いの魔法で攻撃してる。何と言っても数が多いんだ。


 体高30センチのネズミは大きい。でも、それが10匹くらい居るんだよ。この数は思っている以上に多いんだけど、それでも【闇魔法】以外は効いているようだ。ネズミに【闇魔法】は駄目で、使っても碌なダメージが出ていない。


 僕は適度に槍で攻撃しつつ、着実に敵を倒していく。皆も一斉にたかられないように動き、邪魔をしつつ分断し、着実に敵の数を減らしていった。


 結局そこまで苦労する事も無く勝利したが、思っていたよりは大変だった。そもそも1戦でこれなのだから、後どれだけ戦う事になるかを考えれば大変なのが分かる。



 「おつかれー。まさか最初の1戦目で10匹近くの群れだとは思わなかったよ。いきなりなのに数が多いし、おまけに何も落とさないで消えていくとかいう厄介仕様だとは思わなかった」


 「分かる。せめて魔石ぐらい落としなさいよ、って思うのよねえ。昔も同じように思った記憶があるわ。まだ1階だからそこまで群れてない筈なんだけど、たまたま数が多い群れに当たったみたいね」


 「でしょうね。それでも危なげなく勝ちましたし、昔と変わらず【光魔法】が良く効くようです。御蔭で楽でした」


 「それはそうでしょうよ。ここは<暗闇ダンジョン>なんだから、基本的に光属性に弱いヤツが多いのは当たり前。……だからキャスティは前に出して魔法を使わせましょう」


 「まあ、前に出て戦うのはいいんですけどねぇ……」



 キャスティが半目でラスティアを見てるけど、ラスティアは横を向いて口笛を吹いてるね。それ自体は漫画みたいなシチュエーションなんだけど、ここダンジョン内なんだよ。口笛とか止めてくれないかな?。



 「ごめん、ごめん。緊張感が足りなかったわね。確かに口笛なんて吹いてたら魔物が寄ってくるわ」



 ラスティアも理解して止めてくれたので、そろそろ進もうか。さっきの口笛では敵は集まってこなかったみたいで、少なくとも近くに敵の反応は無い。


 僕達は再びゆっくりと歩みを進めて行く。それにしても、真っ黒な壁の所為で分かり辛い場所だなぁ……。


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