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0400・運営さん達29




 2000年 11月3日 金曜日



 「弟君達は魔隠穴や豪雪山で素材を集めてますけど、毎日大変ですねえ。まあ、そうやって集めて物作りしないといつまで経っても上手くならないんだけど……。御苦労様と言いたくなるよ」


 「本当ねえ。とはいえ、こういったゲームでは仕方ないんだけどもね。ひたすら集めては使っての繰り返しよ。そうしないとスキルレベルが上がらないからなんだけど、それだけじゃなくて、それぞれの素材への慣れもあるし」


 「そこまで設定するから大変なんですけど、個別の人間臭さを出すにはそうするしかなかったですから。まあ、個性と言うべきなんでしょうが、それは何か違いますよね?」


 「違うわね。個性というよりは、人間臭さの方が正しいでしょう。人間だって1人1人得意な事が違う訳でね。それを再現するというか、設定しようと思えばこうなるのよ。それでもAIで制御してるだけマシよ」


 「ですねえ。………あー、分かる、分かる。何で試作機の癖に、安定してる量産機より強いのか疑問だよね。それに量産機ってマイナーチェンジを繰り返して、更に現場に合った物にしてあるし、何度もアップデートされてるんだよ」


 「そうね。にも関わらず、何故か試作機のような不安定な物が、異様な程に強かったりするのよ。……そうそう、何故かオーパーツレベルのが出来るの。アレ絶対におかしいし、設定から崩壊してない? って思うわよねえ」


 「そのうえ、後になって「実は!」って感じで明かされたりするんですよ。それ絶対に後付けだろ! っていう設定が。それで余計に設定が崩壊するんですけど、テコ入れの為には仕方ないんでしょうねー」



 ………

 ……

 …



 『プレイヤー<コトブキ>が、運営ダンジョン36階に突入しました。昨日、攻略の為の草を発見している為、おそらく40階に到達すると思われます』


 「彼は気付いてないから、真っ直ぐ行っちゃうだろうな。その結果、問答無用で殺されて終了。となると思うんだけど、気付くかな?」


 「……可能性は低そうね。冷静に考えれば<北見草>が何故あるのかに疑問を持つ筈だけど、こういう場合は大抵そのまま行っちゃうから。流石に彼も攻略を優先したいだろうし、真っ直ぐ行くんじゃない?」


 「さて、39階まで来た弟君は……っと、真っ直ぐ北に行ってる。これは偶然でもなんでもいいけど、上手く行くか? ………やっぱり、そうだよねえ。北に行って何も無かったら、真っ直ぐ次の階段へ行くよ。仕方ない!」


 「どんまい! みたいに言っても届かないわよ? それにしても惜しかったわね。あそこで戻っていれば見つけたでしょうに。少なくとも出現してるんだから、後は発見するだけだったのよねえ。本当に惜しかった」


 「あーあー、40階で殺されちゃった。弟君の3度目? 4度目? の死亡かぁ。流石にここで死亡するのも仕方ない。とはいえ、弟君なら避けられるかもと思ったんだけどなー」


 「視界が悪いし音も碌に聞こえない中で、出てきた蛙と戦えっていうのもね。そもそも一定以上北に移動しないと出現しないうえ、出てくるのは戻り階段の前なのよ。わざわざ戻る階段へ行く者が何人いるのかしら」


 「それを考えると、本当にこれを考えた人はアレだよ。本当にアレだと思う」


 「迂闊な事を言うと面倒な事になるから、アレって表現するのも分からなくはないけどね。……弟君は大人しく訓練でもするみたい。カカシ相手なら確かに調整されるとはいえ、一撃受けたら負けの中よくやるわね」


 「むしろ喜んでやってる風に見えなくもないのが何とも。他の注目プレイヤーと見比べても全く動きが違うし、彼だけ別なんですよ。動き方というか、体の動かし方というか、何か基本の部分から違う感じ」


 「あー……、何となく言いたい事は分かるかな? 何というか計算された動き? それとも予定調和? 何か彼の動きってそんな風に見えるわ。自分の動きと相手の動きが分かってるっていうか、予想が出来てる?」


 「達人は相手がどう動くか予想できるって言いますけど、マジでこんな感じなんですかね? 能力値が激減してる筈なのに、安定して普通に戦えてますよ。これって地味だけど怖ろしい技術でしょ」


 「とある開発の方が大喜びしそうなデータを提供しまくってるけど、大丈夫なのかしら。向こうがとんでもない事になってないといいけど」


 「ああ、能力値が戻ったから止めるのか。まあ、仕方ないね。それにしても凄い戦いだよ。鬼面武者に勝てたのも数人居るけどさ、ここまでコンスタントに勝ち続けられるのは弟君しかいない」


 『プレイヤー<コトブキ>が属性金属の作成を始めました。魔鉄の黒と青を作成したようですが、品質は6です』


 「品質6か。セントラルは最大でも7って言ってたから、最大は出てないんだな。それでも初回から6っていうのは、流石としか言い様がないけど」


 「でもここからが大変よ? 属性金属は簡単に品質が上がったりしないわ。品質が上がる毎に威力が変わるから、当然ではあるんだけども」


 「そうなんですよね。威力の差が結構出るんで、品質10なんて今じゃ絶対に無理ですよ。それに魔力金属でコレですからねえ、聖金属や真金属になったら、品質1か作成失敗でしょう」


 「どっちもまだ無理なんだから、考慮する必要も無いでしょ。何で言葉に出したの?」


 「セントラルが<暗闇ダンジョン>なら素材をゲットする可能性があると、そう回答があったんですよ。それで調べたら、ランダムなら出る可能性があると」


 「OH………この時期に聖金属なんか持ったらマズいでしょうよ。真金属までは行ってないにしたって、聖金属もなかなかに優秀な金属なんだし、この時期はちょっとヤバ……い?」


 「どうかしました?」


 「いえ、<暗闇ダンジョン>を周知して、ランダムで手に入る事をアナウンスしたら大丈夫じゃない? あくまでもランダムガチャで手に入れたって出してしまえば。あそこは根本的にそういう場所だもの」


 「まあ、そうなんですけど。でも深い場所まで行かなきゃ良い物はでませんし、1階1階が広大なんですよね。そのうえ魔物が強くて数が多いという厄介仕様のうえ、経験値が入らないという」


 「まさにガチャの為にある場所よね。通ったところで上手くいくかどうかは分からない素材探しと、幾ら魔物と戦っても何の意味も無いという」


 「鬼のような仕様ですけど、一応経験は積めますから全くの無駄にはなりませんけどね。最初に言い出した時には笑いましたけど、アレを成立させるなんて思いませんでした」


 「往年のゲームによくある<1歩エンカウント>と、とあるゲームの<ダークゾーン>を組み合わせたダンジョンでしょ。そこに不思議○ダンジョンみたいなランダム生成ダンジョンを混ぜるって、メチャクチャなのよねえ」


 「まあ、マップのランダム化は一定のタイミングでしか起きませんから、そこは優しいんですけどね。それでも<ダークゾーン>が厳しいんですよ。とあるゲームのように落とし穴も用意してますし、他にも色々……」


 「あのゲーム私もやったし、面白かったけど……。VRで<ダークゾーン>を作ると、あんなに大変だとは思わなかったわ。冗談でも何でもなく、厳しいわよね?」


 「でも転移魔法陣で途中の階に飛べますし、そこまで大変だとは思いませんけどね。良い物を手に入れようと思えば相当大変ですけど、罠系スキルに関しては上がりますから」


 「まあ、そこは悪くないんだけどね。罠のある場所は少ないから<暗闇ダンジョン>で上げるのは分かるし、上げておかないと後で大変だもの」


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