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0395・属性金属の立ち位置




 首輪を3人に売り終えた僕は、まだ夕食には早いのでマイルームに戻る。今は物作りぐらいしかする事がないので、午前に手に入れてきた物を精錬したりしながら時間を潰し、それが終わると色々な武器を作り始めた。


 青魔銀の武器や黒魔銀の武器をメインにして、黒魔鉄や青魔鉄も作る。魔銅は中途半端な部分があるので、属性武器ではなく道具で使いたいんだけど……。こうなると属性結晶が不足するんだよねえ。


 魔銅で作って売った方が良いかな? そんな事を思いながらもユウヤに連絡し、必要としている魔力金属と属性金属を売る。ユウヤも属性金属を扱うのは苦戦しているらしく、そこまでの量を求めて来ないので助かるよ。


 大量に要求されると僕の練習分が無くなるからね。そんな事を考えつつも、残っている素材で物作りを行い、作った物は全てプレイヤーマーケットに流す。買う人は……多分いるでしょ。



 ―――――――――――――――


 サブ職業:錬金術師・下級のレベルが上がりました


 ―――――――――――――――



 それなりの時間になったのでソファーの部屋へと行き、ファルを呼び出して夕食の手伝いへ。女性陣の会話を聞きつつプレイヤーマーケットを調べ、精石や属性結晶が無いのを確認しつつ、掲示板を読みながら待つ。


 ファルが呼びに来たので食堂に移動し、師匠を含めて食事をしていると、属性金属の事を聞かれたので答える。



 「悩んでおったようだが、属性金属は作ったか? 悩んでいるだけでは上達せんぞ?」


 「今日は作って市場に流しました。属性結晶が無くなったので、これ以上作るのは無理ですね。金属の方は余るのですが、精石が手に入りにくいのと、属性結晶にすると更に減ってしまうので……」


 「それは仕方ない。精石とはそういう物であるし、属性結晶とはそういう物だ。だからこそ、世の多くの者が苦労をするのだからな。そんなに簡単に腕が上がらぬから、属性金属を十全に扱える者は重宝されるのだ」


 「まあ、それはそうね。錬金術師も鍛冶師もそうだけど、属性金属は基本的に扱える者の所に注文が入るのよ。多くの者が注文を受けられるレベルに無いのよねえ。仕方がないんだけど」


 「それはそれで仕方のない事ではあります。錬金術師や鍛冶師は、自分で精石を採りに行ったりしませんからね。流石に精石が採れる場所となると危険な場所が多いので、そこまで行く実力が無いのです」


 「だから誰かに採ってきてもらうのだが、そんな金がある者は多くない。パトロンが付いておるか、それとも腕が良いので工房が助けてくれておるか。だいたいはそんなところじゃな。自らの力で採りに行ったりはせん」


 「自分の手で集めて練習しようとして、死んでしまう錬金術師や鍛冶師も多いって昔聞いたし、だから殆どのヤツは手を出さないのよ。お金のある所や人の特権みたいなものね」


 「自力で採ってきて何とかする事を考えると、属性金属を扱える者は稀人の方が多くなるかもしれません。本来なら属性金属自体、なかなか手に入らない物ですから」


 「そうだったんだ。割とコトブキ君がポンポン作ってるから、ありふれた物だと思ってた。だから黒魔鉄の道具とか、黒魔銅の道具とかの効果があまり知られてないんだね」


 「そんな感じよ。とはいえ知ってるヤツは居るでしょうけどね。知ってても黙ってるヤツが多いんじゃない? 自分だけが持ってる方が有利だから、吹聴するとは思えないし」


 「本当に有用な物などは、基本的に黙ってますからね。余程の信用できる者にしか教えたりしませんし、属性金属もなかなかに高い物ですから、そこまで購入したりも無いのです」


 「普通は魔力金属じゃの。属性金属は倒し辛い魔物がいたり、何かしら有利に立ち回れる武器が必要な場合だ。効く相手には効き、効かぬ相手には全く効かぬ。それが属性金属だから仕方ないのだが」


 「魔物を倒すだけなら属性金属までは要らない。ついでに作ってもらうと高い事もある……。だから出回る量も少なくて、持ってる者も多くない。でも、必要な者は高くても買う?」


 「そんな感じだな、属性金属の立ち位置は。知っている者の中で金のある者は使う。己の命を考えれば強力な武器を持つのは当然であり、厄介な魔物に対する切り札と言えるであろうな。特にダンジョンなどでは」


 「ダンジョンは出てくる魔物が決まってますので、確実に有利になれます。ダンジョンでなくとも傾向は決まってますので、やはり有利になれる属性金属の武器を持っていると命の危険は減りますから」


 「でも高いから、お金を稼いでる者達しか買えないし使えない。そしてお金のある錬金術師や鍛冶師しか作れないから、余計に高くなる。ならプレイヤーが作れるようになると値段が下がる?」


 「どうかしら。そもそも稀人って稀人に売る事が多いから、そこまで下がったりなんかはしない気がするわ。それに、下がったとしてもそれなりの値段はするでしょうしね。だからそこまで安くなったりしないわよ」


 「イル、そもそも素材を採りに行く稀人と、普通の錬金術師や鍛冶師とじゃ元手が違うよ。僕達は市場の動向で値段が決まるけど、根本的な元手は全く違うからね。多分だけど、世の錬金術師や鍛冶師は、そこまで儲けが無いんじゃないかな?」


 「そうだの。普通の錬金術師や鍛冶師はそこまで儲けが無い。それでも高品質の属性武器が作れるというのは、店の名を売る事が出来るからの。他の物の売り上げにも響く。だからこそ工房が支援するのだ」


 「成る程ね。となるとコトブキはボロ儲け?」


 「ボロ儲けとまでは言えないけど、それなりに儲かってはいるね。ただ、さっきも言った通り、精石は属性結晶にすると大きく目減りするんだよ。その所為で必要な量を集めるのに苦労するんだ。それも高値になる理由だと思う」


 「そうだの。質の良い精石を手に入れるには、環境の厳しい場所に行くしかない。そういった所の精石の方が属性結晶を多く含むのでな。しかし、それだけ危険度が高い場所なので値段は更に上がるのだ。妾には関係ないが」


 「それはそうでしょうよ。<破滅>なら何処にでも採りに行けるでしょうし、何だったら天使の星にだって採りに行くでしょ。いや、転移地点を登録ぐらいしてるでしょうよ」


 「まあ、滅多に行く事はないが、幾つか登録しておる場所はあるの。ただし星を越えて転移するのは、通常の転移とは比べ物にならぬほど魔力を消費するのだ。そのうえ大天使と大悪魔に感知されるのでな、あまり多用もできん」


 「そうなのですか?」


 「うむ。あやつらは越境してきた者を全て感知しておるのだ。流石にあれら神に作られた者の感知から逃れる事は、妾でさえも出来んのでな。なので無断越境はあまり良い事とは言えん」


 「そもそも出来るのは、あんた達<魔女>ぐらいでしょうよ」



 そんな話で夕食は終わったけど、この世界の属性金属の立ち位置が分かった話だった。通りで属性金属の武器が高値になる筈だ。魔力金属と比べても妙に高いから、おかしいと思ってたんだ。


 まさか作れる人が少ない物だったなんてね。生活やら素材の入手やらを考えたら、高値になるのは当たり前の事だった。


 あと、キャスティがゲートを越えた事を大天使と大悪魔が分かっていた理由も判明したけど……。その情報はあまり意味が無いかな。僕は今のところ天使の星に行く気は無いし、行く術も無いし。


 ソファーの部屋からマイルームに戻った僕は、全員をマイルームに戻した後、さっさとログアウトした。本日はここまで。


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