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0394・首輪とゴーグルの準備完了




 それからも戦闘を続け、ナツはそれなりに慣れてきたようだ。何度か攻撃を受けているものの、【回復魔法】で治しているからか、そこまで防御重視では無くなってきている。


 盾に慣れているというか盾に比重を寄せていると、どうしても攻撃に比重を寄せ辛いのだが、ナツはそんな事もなく、徐々に攻撃と防御を上手く切り替えられるようになってきた。


 これが生来の才能なのか、それとも仲間が居るからなのかは分からない。出来ればソロでも変わらないでほしいが、回復役が居ないとなると変わるからなぁ。その時はその時だね。


 僕はと言えば、ウェルズベアーを見つければすぐに接近し、相手が立ち上がってから首元を抉りこんでいる。相変わらずだけど、これで勝てるんだから楽でいい。


 別に無理して変な倒し方をする必要もないし、そんな事をすると毛皮をドロップしなくなってしまう。僕はウェルズベアーの毛皮が欲しいのであって、肝臓が欲しい訳じゃないからね。


 皆もナツが慣れてきたからだろう、それぞれ個別にウロウロしてグリーントレントやウェルズベアーを倒し始めた。どうせこの森のグリーントレントは駆逐できないし、手当たり次第に倒して問題ないだろう。


 そうやって倒しつつ採取もしていると、結構いい時間になってきたので帰る事にした。ウェズベア森とカルトラス山の境界にある、山小屋近くの魔法陣から師匠の家に戻った僕達は、採取した物を師匠に売る。



 「ウェズベア森の薬草か。<ティロエム>、<クリュード草>、<ロッティウヌ草>。毎度思うが、グリーントレントの御蔭で有用な薬草が生えておるのは、確かに間違いの無い事実だ。だからといって、正しいとは言えぬがな」


 「森に豊かな薬草を生やす為にグリーントレントの森と化すのは、流石にやり過ぎでしょう。そんな事をし始めたら、何処どこ彼処かしこも魔物だらけになってしまいますよ。それが良いとは、とても思えません」


 「そうよねえ。そうなったら、今度は魔物の被害が凄まじい事になるでしょうね。唯でさえウェルズベアーぐらいしか残らず、他の魔物は逃げ出した者が多いのに。それでもウェルズベアーは生きていられるみたいだけど」


 「何処かから食料となる魔物が入って来ているのでしょうね。もしかしたら、それすらグリーントレントが用意しているのかもしれませんが……」


 「まあ、それはともかくとして、早く首輪を作ってきてよ。私達も【夜目】と【暗視】が欲しいからさ」



 トモエが急かすので、師匠に薬草を売った後はすぐにマイルームへと戻る。黒魔銅を作成し、ウェルズベアーの皮と組み合わせて首輪を作ったら、ユウヤに連絡をとってどちらがいいか聞く。


 ユウヤは普通のゴーグルというか、古い時代のアニメに出てくるようなゴーグルを望んだので、それを作る事になった。金属の枠にガラスのレンズが入っているヤツだね。もちろんレンズは無いんだけど。


 僕が使っているヤツはひさしが付けてあるので違うんだけど、昔懐かしのゴーグルは説明し辛い。バイク乗りの人も付けていたようなゴーグルと言えば伝わるだろうか? 言葉で伝えるのって難しいよ。


 そんな事を考えつつも、ささっと作ってユウヤに流し、残りは首輪を作って終了。ソファーの部屋に戻り、イル、ナツ、トモエにこれで良いか見せる。その間にラスティアとキャスティに渡すと2人はさっさと身に着けた。



 「あれね、思っているより違和感が無いんだけど、これは上手く作ってあるからかしら?」


 「そうではありませんか? ………首を動かしてみても、そこまで違和感はありませんね。もちろん首輪がある事は分かるのですが、これなら十分戦えるでしょうし、<暗闇ダンジョン>も進めるでしょう」


 「それは問題無いだろうけど、あそこの魔物と戦えるかどうかよね。1階からそれなりに強いから、コトブキの強さをもってしても苦戦するでしょう。いや、そう考えてると、あっさり勝つかも」


 「あそこの魔物が厄介なのは、その環境にもあります。【夜目】や【暗視】が使えるならそこまで苦戦しないのではありませんか? ただし地図を描くのが大変でしょうが」


 「あそこはね。地図を描いても地図の通りには行けないのが厳しいのよ。気付くと壁の位置とかが変わってたりするから、前回と同じ道順では突破出来なかったりするのよね」


 「えっ、何それ?」


 「階段の場所は同じなのですが、そこに繋がる順路が変わっていたりするのですよ。まるで生きているかの如く壁が動いて変わっていたりと」


 「それはまた面倒な場所だね。右から迂回して階段に行くのかと思ってたら、次は左から迂回する道に変わってたりとか? 階段の位置は変わらなくても、根本的に道順が変わったりするんだ?」


 「ええ、その通りです。何故か誰かが居る間は動かないそうなのですが、誰も見ていない間に変わるのだと研究者が言っていました。なので、どう変わっていくかは誰も観測できないと」


 「誰も見てない時っていうのが怪しいわよね。いったい誰がどうやって変えてるのか。昔から色々言われてるけど、分からないままなのよ」


 「私は悪魔の星の<暗闇ダンジョン>には入った事がありませんが、やはり同じとしか思えませんね? 何故両方の星に同じダンジョンがあるのか……。ラスティアの言うように、繋がっている可能性も考えられるでしょう」


 「仮に繋がっていたとしても、何か意味があるの?」


 「………特に無いわね? 別にゲートを使えば移動できるし」


 「普通の者はゲートに近付く事も出来ませんけどね。おかしな者が渡って揉め事を起こしても困るので、ゲートのある国は厳重に管理をしています」


 「その割にはキャスティは悪魔の星に来てるけど、それは揉め事じゃなかったと?」


 「………」


 「私を襲いに来たんだから、十分な揉め事よねえ? 結果としてみれば、同じ使い魔にまで転落してるけど。それを考えれば大天使の沙汰は妥当かしら? ゲートを使って揉め事を起こしに来た訳だし」


 「………まあ、そうかもしれませんね」


 「むしろ使い魔で良かったかもしれない? 最悪は悪魔と同じように封印されていた可能性すらある。天使が封印されるとか……」


 「大恥も大恥。名が永遠に刻まれるレベルの恥でしょうね。私達のような悪魔だと、また何かやらかしたで済むんだけど、天使だとそれじゃ済まないでしょうし?」


 「うぐっ……」


 「多くの者の規範たれ。と言いながら、やってる事が暴走じゃねえ。大天使も大悪魔も呆れてたから、そこまで大事にする気は無かったんでしょうけど、初めてのレベルの失態なんじゃないの?」


 「だからこそ使い魔をやってると考えれば、理解は出来る」


 「まあ、いいんじゃないの? どんな人だって駄目な事はあるし、それも含めて修行なんだしさ」


 「ええ! そう、そうなんですよ! 私も未だ修行中なのです、だからこそ仕方がないのであり、これからですよ! これから!!」



 あれから見ないフリしてたんだろうけど、やっぱりゲートを越えて突っ込んできたのは、思っているよりも重い罪だったんだね。まあ、ゲートなんていう監視されているものを使って、相手の星に攻め込んだとも言える訳で。


 もしかしたら戦端が開いていた可能性すらあったんだ。それを考えると使い魔に落とされても仕方ないんだろう。天使が原因の戦争なんて、大天使の面目が丸潰れだもんねえ。



 「そうなんですよ、本当に。後で気付いた時に血の気が引きました。冗談でもなんでもなく」


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