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0393・鉈の使い方と戦い方




 昼食後。僕はソファーの部屋からマイルームへと飛び、魔鉄とアイストレウッドを使って鉈を作る。シグマに作った物と同じ物だから難しくも無く、まして2度目なのでパパっと作成した。


 ついでに黒魔銀でトンファーも作り、訓練場のセナに渡す。その後は鉈を持ってソファーの部屋へ。


 皆の会話に割って入り、ナツに見せて確認。ナツが納得したのでプレイヤーマーケットに流す。すぐにナツは購入し、剣帯に着けた。鉈は斧であり剣でもある。ナツはどっちのスキルを習得するんだろう?。



 「確かに。ナツはどっちかを選ばなきゃいけない。どっちも習得して悪い訳じゃないけど、どっちつかずになる可能性が高いから絞った方が良い。どっち?」


 「うーん………斧かなぁ……。だって剣って使いにくいんでしょ? そもそも使いやすいからメイスを選んだのに、これから使いにくい武器を使っても……。上手く使えるようになるとは思えないし」


 「まあ、そう思うのも分かるんだけど、使ってみなきゃ分からないわよ? 剣自体がどっちつかずな武器とはいえ、それでもナツには合ってるかもしれないんだし、とりあえず使ってから考えればいいのに」


 「………でもいい。面倒な武器はお断り」


 「まあ、それがナツだからどうしようもない。そもそも鉈だって片手斧よりは威力が出ない武器。これに関しては当たり前で、斧の方が破壊力が高いから。ナツは鉈に慣れたら片手斧も練習した方が良い。そっちの練習は重要」


 「【斧術】スキルに関わるからだね? ……それも今の内にコトブキ君に予約しておいた方がいいかな?」


 「そうだね。早めに言っておいてもらえると助かるよ。後でいきなり言われても、素材が残ってるかは分からないし。その時に素材が無くて文句を言われても困るからね」


 「じゃあ片手斧を予約しとく。出来れば使いやすいのをお願い!」


 「伐採用の斧とかは使いにくいから、シグマと同じ戦闘用の斧だね? 半月型か三日月型の刃で当たる面積の多いヤツ。あれなら刃がブレずに使いやすいと思うよ。あくまでも伐採用の斧よりは、だけどね」


 「とにかく、そろそろウェズベア森に行きましょうよ。ウェルズベアーを倒さなきゃいけないんだし」



 話していても仕方ないのでウェズベア森とカルトラス山の境に飛び。そこからウェズベア森へと入って行く。相変わらずのグリーントレントに【クリーン】を使いつつ倒し、出来る限りにおいの被害を受けないように立ち回る。


 特にナツはマシになったものの、それでも【クリーン】の効果が切れないように過剰に使用してるね。余程に嫌なんだろうけど、そうやって過剰にしていても無駄が多いと思う。MPの無駄使いをしてるとしか思えないね。



 「ナツは過剰に【クリーン】を使いすぎ。そこまでしなくても、倒せてるから大丈夫。皆のレベルも上がってるし、ギリギリじゃなければいいだけ。それより鉈を使って戦う」


 「でもさ、あのくさいのを受けるのは嫌だよ。確かに鉈は使ってないけど、まだ使わなくても大丈夫。だから私は【クリーン】を使うよ」


 「それはコトブキでもトモエでも大丈夫だし、支配モンスターや召喚モンスターでも大丈夫。早く攻撃する!」


 「はーい……」



 ナツは渋々といった表情で鉈を持ち、グリーントレントに打ち付けていく。ある程度の攻撃が終わると横にシグマが立ち、鉈に闘気を纏わせて数回叩きつけると、あっと言う間にグリーントレントを倒した。


 どうもシグマは鉈の使い方がなってないと、ナツに教える意味で横で見せたようだ。それを言うとナツが驚いている。単に見せ付けようとしたと思ったらしい。



 「いや、私レベルが低いっていうか、覚えたところだからね。だからレベルが高い場合、どれぐらいの威力なのかを見せたのかなーっと……」


 「そんな事をするほど暇じゃないと思う。シグマの使い方を見てると分かるけど、ナツは腰が入ってない。少し腰を落として、それから叩きつけるといい。どちらかというと盾で防御する事を優先してる。その所為で攻撃が手打ち」


 「ガン」



 イルが言っている事は正しく、それにシグマも同意したけど、あれ簡単に直るのかな? ああいうのは結構矯正するのに時間が掛かるんだけど……まあ、本人の頑張りがあれば早めに直るか。


 素人というか、経験の少ない人が陥りやすいミスではある。それでも魔法や【魔刃】に【闘刃】があったから何とかなってきたんだろうね。今の内に直しておいた方が良い。



 「それならもっと早く言ってよー! 間違ってるなんて、言われないと分からないんだからさー!」


 「それ以前の問題で、ナツはゲーム自体に慣れてない。ようやく細かい所を手直しする段階に来た。最初から手直しさせたところで、経験不足すぎて上手くいかない。まずは自分の好きにやらせるのが先。それに最初から色々言われると、ゲームが楽しくない」


 「それは本当にそうよね。横からゴチャゴチャ言われ続けるなんて単なる苦行でしかないし、それなら面白くなくて止めてたわよ?」


 「それはそうかもしれないけどさー……。まあ、とりあえず学ばないといけないんだよね?」


 「そんなに難しい事じゃないけどね。ナツは盾での防御を重視してきているから、攻撃よりも防御に重心を寄せてるんだ。だから手打ちっぽくなってる。そうじゃなくて攻撃は攻撃、防御は防御とメリハリを付けた方がいい」


 「いつでも盾が使える様にしながら攻撃している、と言えば分かりやすい? ナツが防御に寄ってるっていうのは、そういう事なの。だからこそ、攻撃の時は攻撃に力を入れるように言ってるわけ」


 「うーん。何となくは分かるけど……とりあえずやってみないと、何とも言えないかなぁ」



 再びグリーントレント。今度は【斧術】スキルを持つので、ナツに全てを任せる。僕やフォグはいつでも【クリーン】を追加で使えるようにしておき、ナツが上手く戦えるようにサポートする。


 今まではメイスだったので割と気にせずに使ってきたんだろうけど、これからは鉈も使うんだから、ちゃんと武器を意識して使う必要がある。それでも色々と練習が必要な武器よりも大分マシだ。


 案外ナツは、こうやって少しずつ色々な事を学んでいく方が良いのかもね。そんな事を考えながら、僕は追加の【クリーン】を使っておいた。



 「やぁあぁぁぁっ!!」



 ナツが振り下ろすと「ガスッ!」と音がして、それなりのダメージが入っているのかグリーントレントが死んで消えていく。盾を意識せずに攻撃に意識を向けられたのは良かったのだが、今度は攻撃に意識が寄りすぎている。


 よくある素人の失敗なので特に問題は無い。こういうのを繰り返して上達していくのであって、最初から攻防のバランス良く戦うなんて無理だ。それが出来るなら誰も苦労しない。



 「お疲れー。最後の攻撃は良かったけど、今度は攻撃を意識し過ぎだね。いきなり攻撃されると、たぶん防御できないと思う。だから少しずつ慣れていこうか」


 「うん、最後の攻撃は攻撃として良かった。でも、今までと違って盾を忘れてる。今度は盾を忘れないように攻撃に比重を寄せる練習。皆、同じ失敗をしながら上達していく」


 「あー……こんな事が続くの?」


 「だから最初からやらされたら嫌いになるって言ったのよ。ちなみに慣れれば当たり前のように出来るから、慣れるまでが面倒なだけ。それでもフォローしてもらいつつ練習できる分、私達よりマシだからね?」


 「私なんてフォローもなく自力で何とかした。敵の攻撃を受けたりしながら、必死で修正の繰り返し。それでもコトブキよりマシ」


 「僕の場合は<BUSHIDO>で殺されながらだね。ひたすら殺されながら自力で全部学んできたよ。それよりはマシ……かなぁ? アレはアレで得がたい経験だけど」


 「あんな地獄みたいな経験、ナツがしたら一発でゲーム止めるわよ」


 「うん。それは確実」


 「だろうね」



 アレはなぁ……慣れてからかな? 既にナツは嫌がってるけど。


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