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0391・蛙戦隊の考察




 2000年 11月6日 月曜日 AM8;21



 ログインした僕は、いつも通りにファルとキャスティの作った物を売りに出す。そのまま売り上げを回収して倉庫へ。今日も素材を回収に行くのだが、特に作るべき物が無い。


 もちろんレベルを上げるのに色々と作るべきなのだが、同じ物を作り続けてもなー、という思いがある。ハッキリ言うと楽しくない。かと言って、昨日考えていたセナの格闘武器も思いついた訳でもないし……。


 例えばトンファーの先を尖らせて円錐状にしたら刺突武器になるのかもしれないが、その場合は格闘武器でなくなる気がするんだよね。そうなると【格闘術】スキルから外れると思うんだ。


 果たしてそれをセナが使うのか? と考えたら、多分使わないだろうね。どうも格闘武器というか打撃武器に拘っている感じだし、もしかしたら進化先か何かの為には格闘武器オンリーでないと駄目なんだろうか?。


 聞いても答えてくれなさそうなんだよねー、そういう部分は。ゲーム的なヒントとか出すとマズいだろうし、セナが取りたくないなら無理に持たせるべきじゃない。それが大失敗に繋がるとか、勘弁してほしいからさ。


 結局、格闘武器は思いつかないまま、僕はラスティアとキャスティとファルに声をかけて、ソファーの部屋へと移動する。相変わらずお喋り中の4人をスルーして3人を呼び出すと、ファルを朝食の手伝いに行かせた。



 「おはよう、コトブキ君。昨日雪山を終わらせたから、今日からコトブキ君が苦労してたジャングルだよ。武器を決めてないから、どうしようか悩み中」


 「おはよう、コトブキ。私も昨日雪山を攻略した。でもジャングルはちょっと大変そうだし、武器が心許ない気はしてる。それでもナツよりはマシだけど」


 「おはようございます。皆さんやっぱり凄いですね、私なんて鳥が沢山出てくる崖の上で止まってます。鳥が沢山魔法を撃ってくるし、カラスが【光魔法】で目を眩ませて来るんですよ」


 「ああ、あそこ。大変だと思うけど、頑張るしかないわね。私も雪山は終わってるけど、今はジャングルに行ってない。ボスが強いって聞いてるから、ちょっと迷ってるのよ。迂闊に進んで誰か死ぬと困るから」


 「トモエは魔隷師だから仲間が死ぬとロストになるし、攻略の自信が無いなら止めておいた方が無難だとは思う。とにかく魔法防御が高くて、打撃攻撃に滅法強い。そのうえ必殺技まで使ってくるし」


 「「「「必殺技?」」」」


 「最初は黒蛙の槍みたいな舌が必殺技かと思ったんだけど、実はリーダーの赤蛙が必殺技を持ってたんだ。光った後、口から火の鳥を飛ばしてくるよ。セナが横っ飛びで回避して何とか無事だったけどね」


 「流石はリーダー。やっぱりレッドが必殺技を使うかボタンを押さないとダメ。それが伝統」


 「伝統は伝統だし、お約束はお約束だけどさ、その必殺技持ちのリーダーが敵なのよ。受けると間違いなくヤバいだろうし、火属性対策なんて無いし……まだ進むのは早いかなぁ」


 「もう少し待って、情報が集まってから行った方がいいかもね。僕はクリアしたからもう戦う気ないけど」


 「コトブキの仲間は復活するんだから、何回か挑戦してわた、と呼びに来たわね」



 ファルが来たので食堂に移動し、朝食を食べる。師匠からは属性金属の練習を言われたので、精錬は終わっているが、作る物を思いつかなくて困っているという話をする。



 「何でも良かろう、まずは作る事が大事なのだ。色々な物を作ってみればよい。役に立つとか強力な武器とか、そんな事は二の次よ。まずは作る、これが一番大事なのだ」


 「まあ、はい。それはそうなんですが……こう、せっかく作るなら良い物を作りたいと言いますか……」


 「気持ちは分からんではないがの、それはもっと上手くなってからであろう。今は努力をする時だ。それと、格闘武器が碌に効かなんだとか言っておったの? そういう相手に属性武器が効いたかもしれんのだぞ?」


 「属性つきのトンファーという事ですか? 魔法防御の高い蛙だったので、それが効くとは思えませんが……」


 「コトブキは勘違いしておるな。魔力に対する防御と、属性に対する防御は同じではない。お主の言うように効かなんだ可能性もあるが、だからと言って全ての属性に耐性を持つ者など滅多におらぬ」


 「成る程、その可能性があったのね」


 「そういう事ですか……。私達がそれを出来た可能性は高くありませんが、やってみる価値はありましたね」


 「ラスティア、キャスティ、どういう事?」


 「<破滅>はこう言ってるのよ、あの蛙どもは弱点があったんじゃないかって。つまり、異様に強かったのは、何かしらの弱点持ちだからよ。弱点を突くと簡単に倒せるヤツは、他の部分が妙に強かったりするからね」


 「あー……そういう事かー。僕達は【火魔法】と【水魔法】を持ってないから、それが弱点なら分からないけど、ある程度の魔法は試してみるべきだったね。闘気バインドが効かなかったから、早々に魔法はダメだと思っちゃったんだよね」


 「ああ、成る程のう。全く効かなかったとなれば、そう思い込むのも分からんではない。しかし、ちと早計であったの。様々な事を試してみねば答えなど出せまい。早くに決断した方が良い事も多いので、難しいところではあるがな」


 「少なくとも、白蛙と黒蛙には碌に【闇魔法】は効かなかった……いや、違う違う。白蛙に【闇魔法】は碌に効かなかったんだ。その後に黒蛙に闘気を篭めた【セイントバインド】を使って効かなかったから、白蛙にも闘気を篭めた【セイントバインド】を使ったんだったかな?」


 「白蛙は【光魔法】を使ってくる相手だったから【闇魔法】を使ったんでしょうけど、それが碌に効かなかったと。ピンクが【幻惑魔法】だからちょっと分からないけど、それぞれが弱点なのかしらね?」


 「つまり、あの蛙達の使う魔法がそれぞれの弱点だと? 【幻惑魔法】だけは分かりませんが、だとすると……?」


 「【火魔法】【雷魔法】【幻惑魔法】【光魔法】【闇魔法】。赤、黄、ピンク、白、黒と居たから、それぞれが対応してるんでしょうね。案外、蛙が使った魔法を他のヤツにぶつければ大ダメージだったりして」


 「それは難しいでしょう。狙った所に蛙が居るとは限りませんし、失敗も多いでしょうから回復するのも大変ですよ?」


 「元々ソロダンジョンなんだから、狙われるのは1人。ソロの場合は、案外当てやすいのかもしれない。最初にクリアしたのがコトブキなうえ、多数を連れて行けるネクロマンサーだからズレたのかも?」


 「ズレるって言われても困るけど、やたらに強かったから、何かしらのギミック持ちボスだと言われても納得するかな? 強引に突破したから大変だったんだと、そう言われても仕方がない程度には強かったからね」


 「少なくとも、その手前のボスであるジャイアントとは強さが違っていましたからね。あの蛙達はレベル45でしたけど、それが詐欺に思える程には強かったですから」


 「何かしらの弱点持ちというのは多分そうだと思うけど、何が弱点なのかしらね? 少なくとも打撃武器は弱点じゃない。それは確定してる」


 「師匠の言う通り、属性武器でゴリ押しした方がダメージは通ったかもしれないね。セナの為には魔銀で属性武器を作っておいた方がいいかな?」


 「予備として作っておいてあげたらいいんじゃない? 属性ダメージでも、碌にダメージが出ないよりはマシでしょ。それじゃ、やる気も無くなりそうだし」


 「確かに。何も効果がないと、やる気を失くす。それは間違い無い」



 僕も同じだから、少しでもダメージが出せるように黒魔銀のトンファーを作っておこう。それなら多少は戦える筈。


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