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0389・隠された場所




 ある程度奥へと進んだら、僕はゴーグルを着けてみる。ここを見る事が出来るようになるのかだが、結果としては全く見える事もなく真っ暗なままだった。どうやら【夜目】や【暗視】では見えないらしい。



 「コトブキ、何をして……って、もしかしゴーグル着けてるの? で、つけた結果はどう?」


 「まったく見えないね。やっぱり魔隠穴は相当特殊な場所みたい。【夜目】や【暗視】では見えないみたいだから、根本的に【魔力感知】以外では見えないんだと思う」


 「ゴーグルってなんだ? また何かおかしな物を作ったのか?」


 「またって失礼だね。闇属性の黒魔銅を使ってツルハシを作ったら、【夜目】と【暗視】が付いたんだよ。だったらゴーグルにしたら? ってラスティアが言ったんでゴーグルにしたら、ゴーグルにも効果が付いてさ。それで今実験してるんだ」


 「そして魔隠穴の中は【夜目】や【暗視】では見えない事が分かったという訳です。レンズが付いてないですから、ゴーグルっぽい何かでしかありませんが、【夜目】や【暗視】が発動すれば十分ですからね」


 「成る程、レンズの付いてないゴーグルね。とはいえ効果が出るなら、レンズが有ろうが無かろうが如何でもいいわな」


 「それにしても、黒魔銅だと【夜目】と【暗視】が付くのね。本当に属性金属って不思議。魔銀が普通すぎるのがアレだけど、魔鉄も魔銅もおかしな効果すぎて実験が本当に大変ねー」


 「それはそうだけど、【夜目】と【暗視】なんていうものが付くなら、実験のし甲斐はあると思う。青魔銅は何が付いた?」


 「青魔銅は【耐熱(中)】だったよ。どうも熱を通しにくくなるみたい。銅なのに何故? とは思ったけど、属性金属にツッコミをいれてもしょうがないしね。こっちはブレスとか防ぐのに役立ちそうだよ」


 「あー、ドラゴンのブレスとか? とっても熱そうだもんね、想像するだけでも大変そうだし。あと、水筒に使うと冷えたままかな? 結構な便利グッズになるかも」


 「真空魔法瓶の構造でもないのに温度変化が少ないのか? 随分な属性金属だな? 真空かは別にして、2重構造にするだけでも相当の効果がありそうだ。果たしてその水筒が役に立つかどうかは知らねーけどさ」


 「敵に熱湯を撒くなら役に立つかも? 昔の合戦みたいに、塀や壁の上から熱湯を落として敵兵を倒すとか……そんなシーンがあるのかは聞かれても困るけどね」


 「ある訳ねーだろ。そもそも敵兵と……? 公式イベントなら無い事もない気がするが、そういう場合は持ち込み不可っぽいから、考えても意味が無さそうだな。たぶん」


 「そもそも【耐熱】なんだから、寒さや暑さとかから守る物に使うべき。青魔銅のプレートアーマーとか。多分だけど外の熱を受けない鎧になると思う」


 「ただし中の熱も抜けないだろうから、自分の体温でどんどん上がっていくと思うけどね? 場合によっては簡単に熱中症になるんじゃないかな。唯でさえ蒸し暑い事で有名な鎧なんだし」


 「だな。乾燥している地域だから使えたけど、熱帯地方じゃ使えなかっただろうって言われてる鎧だ。だいたい当時の戦争記録でだって、熱中症で死んだと思われる人は多いって聞くぜ?」


 「それが熱を逃がさないんでしょ? 外からの熱は来ないだろうけど、内側の熱も逃がさないって悪夢だよね。汗を掻くと湿度も凄そうだし、自分で自分を殺す鎧になるかも」


 「むう……安易にプレートアーマーにすると危ない。残念だけど優秀な次世代プレートアーマー計画は頓挫した」


 「誰目線の話で、何の計画だよ。銃が登場して廃れていったっつーの。次世代はパワードスーツだろ、あの筋力を補助してくれるヤツ。十分に次世代感が満載だろうに」


 「確かにあれも全身鎧の系譜っぽいけど、スカスカすぎて認められない。やはり全面を覆ってないと」


 「それをすると熱中症で死ぬって話じゃなかった? それはそうと掘り終わったから帰るよ。ここから戻らなきゃいけないんだからさ。それにイルはプレートアーマー着ないんだし、話してても仕方なくない?」


 「いや、前に着た事ある」


 「それ別ゲーだろうが。あん時は珍しく騎士装備を着けてたけどよ、結局あれ1回だけだったな。何で重装備にしたのか知らないけどよ」


 「あの頃は若かった……」


 「1年ぐらい前でしかないんだけどね? 確かに今よりは若いけど」



 そんな馬鹿話をしつつ戻る僕達。唯の素材回収に気合を入れても仕方ないし、下らない雑談であっても、していないとダレるんだよね。だから雑談しながらウロウロしてるんだけど……何あれ?。


 僕は微かに見えている物に近付くと、それは岩の突起だった。何でこれだけ見えているのか分からないが、色々触っているうちに、力を篭めると回転させられる事が判明。試しに回転させてみると……。


 ゴゴゴゴゴ……という音と共に近くの岩壁が開き、進めるようになった。試しに開いた先に行ってみると……。



 「採掘場所が3ヶ所もあるんだけど……ラスティア、知ってた?」


 「知るわけないでしょ! そもそも何でこんな隠し扉みたいなものがあるのよ。意味が分からない」


 「まあ、確かにそうですね。誰かがこの採掘場所を隠す為にこんな事を? ですが採掘場所を隠す必要なんてありますかね?」


 「分からないけど、とりあえず掘って帰りましょうよ。ここで時間を無駄に使ってもしょうがないし、さっさと掘って帰れば済むでしょ」



 皆も掘れるだけ掘ったのだが、他の採掘場所よりも10回近く多く掘れた。どうやらそういう場所らしい。御蔭で色々と手に入ったよ。精石の確率も高かったし、なかなか良い場所だったね。



 「もしかしたら、ああいう場所は他にもあるのかもな。ここって【魔力感知】越しでしか見えてないから、実際にどうなのかは分かってないしさ」


 「そうだね、案外ああいう場所が幾つかあったりするかも。僕もゴーグル着けてなきゃ見つけられなかったよ。昨日ラスティアとキャスティが言ってた<暗闇ダンジョン>じゃないけど、あの話の逆って感じだね」


 「ああ、それは確かにそうですね。<暗闇ダンジョン>だと【夜目】や【暗視】ですら見えない場所があるんだけど、魔隠穴では【夜目】や【暗視】で見える場所が僅かにあるのかもしれません。そこに隠し扉の鍵があるのは謎ですが」


 「確かにね。しっかし、昔あれだけ通った場所に隠されたものがあったなんて、意外に調べてないものよねー。自分の事だけど」


 「普通はそんなものではありませんか? それが普通になれば考える事も無くなると聞きます。ここには隠されたものなど何も無い。それが当然だと調べもしないでしょう」


 「そうだろうね。コトブキ君が妙なゴーグルを着けてないと分からなかったよ。今日の朝に聞いたスキルの方は役に立たなさそうだけど」


 「スキル?」


 「運営ダンジョンの40階。そこの初攻略で【爆力ばくりき】というスキルを貰ったんだ。HPを9割消費して、一度だけ筋力を3割増やすっていうスキル」


 「…………微妙じゃね?」


 「僕も同じ事を思ったよ。説明を読んだ瞬間、微妙だって思ったし、【昏睡眠】よりも役に立ちそうにない」


 「何だかんだと言って、高速回復するスキルと一緒にしたら駄目だろ。確かに3割程度じゃ役に立ちそうにないけどよ」



 そうなんだよねー。これで敵の防御無視とかだったら役に立つし、9割消費も分かるんだけど……。筋力が上がるだけなうえ、唯の3割アップでしかない。それもネクロマンサーの筋力値。


 もちろん運営は誰が取得するか分からないから、言っても的外れな文句なんだろうけど……それでも9割消費を活かせる種族とか職業は在るの? とは思う。


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