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0387・蛙対策




 物作りを追えた僕はソファーの部屋へと行き、ラスティアとキャスティとファルを呼び出す。ファルは夕食の手伝いに行かせ、僕は少しゆっくりするんだが、どうやら皆は気になってたらしく話しかけてきた。



 「言ってた運営ダンジョン、攻略できた? それとも行ってない?」


 「攻略できたわよ。とっても面倒臭い仕様というか、いちいち戻らなきゃならないのが鬱陶しかったけどね。それでも攻略は出来たわ。次の階への扉が開いてない事も確認したし、今はこれで終わりみたいよ」


 「そうですね。コトブキも第二次は終了と言っていましたし、次の第三次を待てと言っていましたから。それまでは次の階層は無しです」


 「おおー! 運営ダンジョンの攻略終わったんだ。お疲れ様! で、攻略方法は?」


 「あっさり聞くわねー、ナツは。コトブキも苦労して攻略したんだから、ちゃんと丁寧に聞いてあげないと駄目でしょ。で、攻略方法は?」


 「一緒じゃん! 何も変わってないよ! と一応ツッコんでおくけどさ、言ってる通り軽すぎない? 僕ら相当苦労したんだけどね。まあ、言ってしまうと39階から戻っていくのが正解だったよ」


 「「「「???」」」」


 「どこも北見草、三角の草、ハートの草とあるのよ。北見草は北を示している草、三角の草は次への階段の方角、ハートの草は戻る階段の方角。それぞれあるんだけど、全部使う必要があったわけ」


 「そうですね。39階まで進み、そこを北に進んだ後、戻りの階段まで戻ると白い蛙が出てきました。大きさは80センチぐらいですかね? それなりに大きな蛙で、名前は<ホワイトフロッグ・ヒーロー>でした」


 「………ヒーロー。なんだか嫌な予感がする。とっても面倒臭そうな予感が……」


 「で、それを倒した私達は上へと戻ったわ。そしてまた北へ行って戻ると、今度は<イエローフロッグ・ヒーロー>が出てきた。これを倒して上の階へと戻り、また同じ事をすると、今度は<ピンクフロッグ・ヒーロー>が出てきたのよ」


 「それを倒して36階まで戻り、また北へ行ってから戻ると<レッドフロッグ・ヒーロー>が出現。それらを倒してから40階のボス部屋へと行くと、最初は真っ暗でしたが上から光が当たり、<ブラックフロッグ・ヒーロー>がそこに居ました」


 「他の場所にもスポットライトが当たって、蛙戦隊が全部出てきたよ。それがボス戦だった。蛙戦隊は魔法防御が高く、打撃攻撃にも強いから凄く大変でさ。特にセナが全く活躍出来なかったよ」


 「そうなんだ。私メイスなんだけど、コレってマズい?」


 「打撃武器だというだけでダメージが減らされてる感じだったね。1匹1匹で出現した時は囲んでボコボコにしたから気付かなかったけど、戦隊で戦うと明らかに違ったよ。ピンクが【幻惑魔法】を使ってくるから大変なんだ」


 「【幻惑魔法】かー、それは苦戦するわね。しかも打撃武器が碌に効かないなら、武器をきちんと決めていかないと厳しくなりそう。いずれは打撃が効きにくい敵が現れると思ってたけど、遂に出始めてきたかな?」


 「刺突や斬撃は効いてたから、そういう武器であれば大丈夫だと思う。セナは【魔刃】や【闘刃】を使っても駄目だったから、武器の種類だけでダメージが減らされてる感じ」


 「そういう耐性か……。これは本格的に打撃が駄目なタイプ。私は短剣だからいいけど、魔法も打撃も駄目はシンプルに厳しい。特にナツ」


 「そうだねー。メイス以外の武器も使っておけば良かったかな? 包丁は使ってるんだけど、【短剣術】スキルなんてとってないし……。盾を手放したくないから片手斧かなぁ?」


 「なかなかいかつい武器を選択するわね。とはいえ剣や槍に比べたら使いやすい武器だから、ナツはそういう武器がいいのね。むしろ思い切って長柄にしてしまえばいいのに」


 「長柄って……うーん、たとえ長柄でも敵は近くない? 魔物の近くだと盾を持ってないと危ないよ?」


 「そこは回避して何とかするに決まってるでしょ。っと、呼びに来たから食事しながらね」



 ファルが呼びに来たので、皆で食堂に行く。師匠は既に居て食前酒を飲んでいたが、トモエが気にせず先程の話の続きをしていく。



 「盾を持ってるか持っていないかに関わらず、回避の仕方や立ち回り自体は考えるべきでしょ。盾を手放したくないのは分かるけど、それならアマロと同じく矛にするとかしかないわよ? 根本的に回避を学ぶべきだと思うけどね」


 「何の話をしておるのだ?」


 「今日、運営ダンジョンの40階を攻略したのですが、魔法防御が高く、更に打撃の効きにくいボスだったんです。で、ナツはメイスが主体で、どうもそれ以外に使っていないらしく……」


 「ふむ、それでは突破できぬという事か。で、盾は手放したくないと。……先ほどトモエが言っておった事は正しいが、同時に正しくはないの。無理に盾を手放させても、上手くいくかは分からん」


 「まあ、それはそうなんだけど……少なくとも打撃以外の武器は持たなきゃいけない訳だから、そこをどうすんのって話なのよ。で、盾を持つなら選択肢が狭まるから……」


 「それはそうじゃな。とはいえ鉈、斧、剣、槍、矛。色々あるが、どれかを使えば良かろう。打撃でなければ何でもいいのだからな」


 「ナツは簡単なメイスしか使ってない。お勧めは鉈か斧。刃筋を立てなきゃいけないけど、言い換えればそれだけで済む。槍もただ突き込めば済むから簡単。剣も突くだけなら簡単だけど……」


 「切るとなると途端に面倒臭いね。刃筋を立てて、相手に対して垂直に当てなきゃいけない。刀だと更に顕著に斬る動作まで必要になる。難易度はかなり上がるからお勧めは出来ないね。斧よりは鉈の方が簡単かな」


 「そうじゃの、鉈は刃が長いから使いやすい。逆に斧は強力だが、刃が狭いのと前に出ておる。重量バランスとしては良くなく、上手く敵に当てるには慣れが必要だ。槍は突くだけでいいが、しかし……」


 「両手で使わない槍の威力は、残念ながらお察しレベルだから……」


 「片手で敵に突き込むのは難しい。あまり深くは突き刺せぬだろう。となると重量でどうにかなる鉈か斧という事になる。矛なら斬撃の事も考えられているので、最悪は振り下ろせば済むのだ。それにアマロはネクロマンサーだからの」


 「常に味方が居るなら良いけど、味方がおらずソロになる場合は薦められない。師匠が言う通り、重量系の武器にした方がいいよ。ナツは運営ダンジョンを1人で攻略しなきゃいけない訳だし」


 「うーん………コトブキ君のシグマが鉈を持ってたしなー。でも斧も被るんだよね。ま、そこを考えてもしょうがないんだけど……。よし、鉈にしよう。斧って使いにくそうだし、私じゃ上手く使えないと思う」


 「斧って使ってみれば分かるんだけど、真っ直ぐ振り下ろしているように感じても、刃が変な方向に向いたりするのよ。最初は出来てても、疲れで刃の重さに負けたりして、柄が当たったりするの。昔コトブキがよく失敗してた」


 「斧の刃って子供には大変だよ? 振り下ろす際に横に逸れたり、真っ直ぐ当たらなかったりさ。そんな事が普通にあるんだよ。斧を戦闘に使うのは、慣れないと大変だからねー」


 「鉈はそこまで難しくないんだ? 私としても難しくない方が助かるよ。そもそも武器を使うのに慣れてないし」


 「慣れれば使えるんだから、慣れればいい。何故かナツは面倒臭がって慣れようとしない」


 「いや、思ってるよりも大変だし、皆に比べたら下手なんだから許してよ」



 ナツはゲームに慣れてないけど、それでも慣れてないからこそ色々な物に手を出せばいいのに。ゲームの世界でくらい色々な事に挑戦するべきだと思う。


 僕やトモエにイルやユウヤは、それを通り過ぎて今があるんだし。


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