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0038・呪いの短剣の中には……




 2000年 8月1日 火曜日 AM8:22



 ログイン画面でアップデートが告知されていた。中身は細々としたものだったけど、2つ僕にとっては重大な事が。1つは一週間後の日曜日に初めてのイベントがあるらしい。そこに参加するかどうか。


 そしてもう1つの事なんだけど、どうやら称号の【破壊魔】がナーフされたらしい。といっても1戦闘ごとに1度は効果を発揮するようだ。


 まあ99個スタックして破壊力2倍は流石に反則だったか。これはナーフされても納得なので理解した。それ以外には特に無いのでログイン。昨日ログアウトした後で五條さんから着信があったので話したけど、【解体】スキルは解体道具を持ち歩かないと駄目なんだって。


 【解体】スキルを持つ本人が持たないと駄目なのか、それとも仲間が持っていればいいかは分からないそうだ。インベントリに入れたままでは効果を発揮しないらしい。知った時には膝から崩れ落ちそうになったよ。何の意味も無い事をしてたなんて。


 まあ、気を取り直して今日も一日頑張ろう。師匠の家で朝食をご馳走になり、いつも通りの中層に出発。歩きながら皆に戦闘を任せ、僕は解体道具をインベントリから出しておく。スケルトン犬を倒したけど何もドロップせず。


 何度かその後も戦闘したものの、特に増えたような感じは無し。次に麻縄を使い、ファルの背中に括りつける。ちょっと不恰好ながら革鎧の上から括りつけ、剣帯の左側に解体ナイフの鞘を固定しておく。これでどうだろう?。


 その後は中層までの道で2戦したけど、2戦ともドロップした。骨と腐った肉だったし、くっつけさせて食べさせたら終わり。結局分からないまま中層に突入。最初は熊だったので尻に石球をぶつけ、振り向いたら呪いの短剣を投げつける。


 一度しか破壊力上昇が無いなら、呪いの短剣の方がダメージ高いだろうしね。熊の口の中に直撃し、悶絶している熊を全員でボコる。あっと言う間に倒せたので、呪いの短剣の威力は相当高いらしい。



 ―――――――――――――――


 召喚モンスター:フォグのレベルが上がりました


 ―――――――――――――――



 やっぱりあの盗賊は良い物を落としてくれたようだ。そして熊からドロップが2つ出た。2つとも大きな骨だけど、ドロップが2つも出たのは初めてだ。間違いなく【解体】スキルを持つ本人が道具を持ってなきゃ効果が無い。


 骨は2つともファルが吸収したので進もう。その後も虎を倒したり熊を倒していると、剣持ちのスケルトンが居た。



 ―――――――――――――――


 召喚モンスター:ドースのレベルが上がりました


 召喚モンスター:フォグのレベルが上がりました

 召喚モンスター:フォグのレベルが上がりました


 ―――――――――――――――


 ―――――――――――――――


 <スケルトン・ファイター> アンデッド Lv8


 生前は戦士だったアンデッド。生前の技術を多少なりとも使えるので注意


 ―――――――――――――――



 生前の技術って事はスキルが使えるって事かな? どのみち壊れかけの石球を投げれば倒せるんだけど……ね!。


 狙いを外す事なく頭部に直撃した石は、そのままスケルトン・ファイターの頭蓋骨を砕き一撃で倒した。すると、太い骨が2つ落ちる。鑑定で確認すると<骸骨戦士の骨>と出ている。どうも普通の骨とは違うらしい。


 ファルが嬉々としてくっ付けている事から、何がしかの良い効果があるのだろう。それが終わったら再びウロウロを開始。熊や虎と戦いつつ、壊れかけの石球を投げていたからか残りが1個しかない。



 ―――――――――――――――


 召喚モンスター:フォグのレベルが上がりました


 ―――――――――――――――



 何かの為の保険として残しつつ、壊れていない普通の石球を投げて戦う。呪いの短剣も使っているので非常に効率が良い。そんな戦いをしていると、投げつけた短剣が折れて地面に落ちた。……あれ? 塵になって消えない?。



 「グラァッ!!!」



 おっと戦闘に集中しよう。よし、いつものキャンセル入った。皆でボコるよ!!。


 ―――――――――――――――


 種族レベルが上がりました

 メイン職業:ネクロマンサー・下級のレベルが上がりました


 召喚モンスター:フォグのレベルが上がりました


 ―――――――――――――――



 ……結局滅多打ちで倒したけど、何で短剣は折れたままなんだろう? そう思っていたら折れた短剣からピンク色の煙が湧き立ち、人の姿を形作った。頭に山羊みたいな巻き角があって、背中に小さな翼が生えているうえにハート型の尻尾? ってサキュバスじゃん。どういう事?。



 「うふふふふ、やっと小さな短剣から外に出られたわ。大悪魔め、私を封印するなんて事をしてくれちゃって。今度は私が……って、早速目の前にエサが居るじゃないの? 貴方が短剣を壊してくれたのかしら? 折角だ……あら?」


 「……? この相手なんかマズそうだ。皆、ここで倒しておこう。封印されてたとか絶対に碌でもないし、善からぬ事しかしないだろうからね」


 「ちっ! お前、私の力を使わなかったようね! 切り付ければ私の力に汚染される筈なのに、お前は全く汚染されていない。しかも私の力がこの星に殆ど漏れていないなんてどうなっている!?」


 「そんなの知らないよ。皆、一気にこいつを倒すぞ!!」


 「くっ、何故こんなおかしな事になっているの!? それでも<狂性の悪魔>と呼ばれた、このラスティア様を舐めないでちょうだい!!」


 「攻めろ、攻めろ、攻めろ! 押されると多分勝てない! 一気に攻めてボコボコにするぞ!!」


 「カタ!」 「リョウカイ!」 「ブルッ!」 「ワン!」



 ―――――――――――――――


 <封印の悪魔・ラスティア> ??? Lv???


 呪いの短剣に封印されていた古代の性の悪魔。星を治める大悪魔により永きに渡って封印されていた為、全盛期の力の大半は失われている

 多くの者を堕落させ、星の文明を荒廃させようとした罪で大悪魔に封印された。しかし、本人的には多くの者と享楽に耽りたかっただけである

 寂しがり屋なだけであった為、封印に留められていた


 ―――――――――――――――



 最後の説明は要るのか? と疑問に思うけど、とにかく倒さないと駄目だろう。こっちのいう事を聞きそうにないし、従いそうにもない。そもそも相手に従うような悪魔なら封印されてないだろうしね。



 「ちぃっ!? こんな程度の者達も即座に潰せないなんて、どれほど弱っているのよ! くそ、元の力さえあれば、こんな奴等!! ガハァッ!?」


 「よっし、保険に残しておいた石球の威力はどうだ!! 皆、囲んで潰すぞ、起き上がらせるな! 滅多打ちだ!!!」


 「カタ!」 「ボコボコ!」 「ブルゥ!」 「ワン!!」


 「くそぉ!! お前ら!! こんな!! ぐぇ!! ひきょ!! がぶっ!!」



 可哀想? そんな言葉は戦場には無いね! 戦場では隙を見せたら殺されるんだよ。<BUSHIDO>じゃ、一向宗を信じる女性だって「ナムアミダブツ」って言いながら殺しにくるんだ!。


 短刀で刺し殺そうとしてきたり、喉を噛み千切ろうとしてきたりとかさ、本気でこっちを殺しにくる。あんなのを何回も経験したら、女性だからとかバカみたいな事は絶対に言わない。殺さなきゃ、こっちが殺されるからね。



 「ぐぉえ!! ご、ごんな……」



 よし、勝った! 弱ってた御蔭で何とか勝てたぞ!! ……うん? 何かの魔法陣?。



 「こ、これは……くそぉ!! 大悪魔め!! 最初からこれが目的で私を封印したな!! 悪魔である私が、魔人如きの使い魔になるなんて!!!」



 悪魔の下に出ていた魔法陣から魔力の線が伸びてきて、僕にぶつかって繋がった。その後、魔法陣が小さくなって悪魔のお腹に付き、魔法陣の真ん中にハートマークが描かれた紋様となって定着したみたい。あれが使い魔のマークかな?。



 「くぅぅぅ!! 私をボコボコにするような奴の使い魔なんて!! くそっ! くそぉぉぉっ!」


 「いや、君は僕らに手を出そうとしたんだから、反撃されるのは当たり前でしょ。何で自分だけは許されると思ってんのさ」


 「………」



 正論パンチを喰らわせたら黙っちゃったよ。喚き散らさないところを見るに、そこまで悪い奴じゃないみたいだ


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