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0377・皆と魔隠穴へ




 2000年 11月3日 金曜日



 今日はユウヤ達がログインする日だけど、<魔石・中>は足りるかな? 属性金属にも使うし、思っているより大事なアイテムになってきてるんだよね。魔隠穴の中でも稼げるけど……。



 ―――――――――――――――


 使い魔:ラスティアのサブ職業:踊り子・下級のレベルが上がりました


 使い魔:キャスティのサブ職業:農家・下級のレベルが上がりました


 ―――――――――――――――



 ログインしてマイルームへと来た僕は、売り上げを回収してファルとキャスティの作った物を売りに出す。その後は倉庫の中の魔石などを調べ、通常の魔石を【融合】してみた。


 何となくで予想していた通り、幾つかを【融合】すると<魔石・中>へと変わったので、通常の魔石は全て【融合】してしまおう。小さい物を大量に持っていても仕方ないしね。


 それが終わったらラスティアとキャスティに声を掛け、ソファーの部屋へと転移。アマロさんとトモエが雑談していたのでマイルームへと戻り、矛を持って再びソファーの部屋へ。


 ラスティアとキャスティを呼び出した後、アマロさんに説明してプレイヤーマーケットに矛を流す。もちろんアマロさんに優先を付けて。


 アマロさんはすぐに購入し、それを持って盾と一緒に構えている。長柄なので少し扱い難そうにしているが、主に突きとして使えば良いと理解したらしい。後は叩きつけかな? 矛は無理に斬撃として使う必要は無い。



 「成る程、この武器はそういう物なんですね。それにしても矛って……神話の中に登場する武器ですよね? 何で有名な武器じゃないんでしょうか。私が知らないだけかもしれませんが、無名な武器な気がします」


 「いや、ハッキリ言ってマイナーな武器だよ。そもそも矛って結構古い武器だし、一応その進化系が槍だと言われてる。矛って元々は盾と一緒に使うんだけど、だから廃れたんじゃないかな?」


 「だからってどういう事よ?」


 「ほら、日本の戦っていうか合戦って、基本的に盾なんて持たないじゃない。古い時代は持ってたのかもしれないけど、いつの時代かに無くなってる筈なんだよ。それで矛も一緒に廃れたんじゃないかなって思ってさ」


 「盾が廃れるって珍しいわね? 普通、戦争するなら盾は必要でしょ。なんで盾を捨てるのかしら? あまりに危険過ぎるし、そういう風に変わっていく意味が分からない」


 「僕達だって古い時代の事だから知らないけど、それでも日本の合戦って基本的に弓と槍なんだよ。もしくは薙刀とか刀。もともと大きな弓を馬の上から撃つのが基本だから、手持ちの盾は無くなっていったんじゃないかな? 適当だけど」


 「大きな弓というのは、イルが持っていた和弓という弓ですか。あの大きさの弓と矢を、それも馬の上から撃つと? ……確かに手持ちの盾では貫かれるかもしれませんね。だとすれば、盾が廃れたのも分かります」


 「盾だって完全に無くなった訳じゃないよ。矢盾っていう設置して使う大型の盾はあったって聞くし、単に兵士1人1人が持つ盾が無くなったってだけ」


 「ああ、成る程。そういう事なら分からなくもないか……。だって手持ちの盾じゃ防ぐのが難しいんでしょ。持ってても無駄なら、廃れるのは普通の事よ」


 「ですね。あれほど大型の弓が当たり前なら廃れるのも頷けます。それに廃れるという事は、元々あったという事ですしね。最初から盾が無かったなら不思議ですけど、廃れたなら何らかの事情があるのは当然でしょう」


 「おはよう、今日はちょっと遅れちゃった」


 「おはよう、主にナツの所為だから私は悪くない」



 ナツとイルが来たけど、確かにいつもより遅かったね。いつもなら僕より先にログインしてるのに、今日は雑談の最中だ。それにそろそろファルが……と思ったら呼びに来た。朝食ギリギリ前のログインなんて初めてなんじゃないかな?。


 食堂に行って朝食を食べていると、師匠から属性金属の事を聞かれたので、まだ作ってないと素直に答えた。



 「相変わらずじゃの。妾に聞いておきながら、まだ作っておらんとは……随分と暢気な」


 「いえいえ、別に暢気な訳じゃありません。昨日は精石を属性結晶に変えたところで終わったんです。属性金属にするのは今日からですし、<魔石・中>も集めてこないといけません。転移札でも使うんですよ」


 「それは仕方なかろうし、修行が足りんだけ。そもそも今の時点でも、背伸びして使っておると言っても過言ではない。本来なら早過ぎる代物ではあるのだ、それでも渡したのは上手く使えという事でしかない」


 「つまり未だ強引に使っているだけだから、魔石を大量に消費するのは仕方ないって事ね。まあ、転移なんて事が出来るんだから、当然と言えば当然でしかないか」


 「一瞬で移動できるんですから、それぐらいの制約というか使い勝手の悪さは仕方ないのでは?」


 「まあね。実際に移動しようと思ったなら、ビックリする程のお金と時間が掛かるから。そういえばアマロは【魔力感知・中級】になった?」


 「いえ、まだです。聞いていた【精密魔力感知】にもなっていませんし、中級にも上がっていません。真面目にやっていなかったのでしょうか?」


 「多分だけど今までの経験じゃないかな? 僕達は様々な経験の後で魔隠穴へ行ってるからこそ、1回で中級になったんだと思うよ。4陣だとそこまでの経験はプロでも無いんじゃない?」


 「そうでしょうね。それでも私達1陣に比べれば早いとは思うわよ? それが良いか悪いかは別にして」


 「確かにそいいう部分はあるね。促成栽培っていうか、中身スカスカだと一定以上強くなれないし、何処かでボロが出る。様々な経験をしてきた人と同じにはならないし、それは仕方がない事だよ」


 「1陣から始めてるのに同じだと、なんの為に1陣からプレイしてるのか分からなくなる。そういう意味では、経験というのは上手く出来てると思う」


 「まあ、後続の人達だって同じ事は出来る。でも隠されてて分かり難く、目には見えないものだからね。色々な経験があっての今だし、それが無駄じゃないのは嬉しいよ」



 朝食を終えた僕達は、ユウヤが来るのを待つ間に魔石を取ってくる。ユウヤが来たらアマロさんを含めた4人を連れて魔隠穴へ。僕の魔力の方が多いので、僕が連れて行くのはユウヤとアマロさんに。


 全員でディディの町へと飛び、魔隠穴へと入っていく。中ではアマロさんに戦わせるのだが、矛で突きながら上手く戦っている。閉所だから心配したんだけど、そこまで長くないからか器用に扱っているね。



 「まだぎこちないから、そこまで力は乗ってないけど、それでも上手く扱えてるんじゃないか? 長柄を片手で扱うって難しいしな。あんまりなら両手でもいいと思うんだが……」


 「アマロさんが盾を手放したくないそうなんだよね。まあ、ネクロマンサーだし、盾を持ってた方が安全ではあるから気持ちは分かる。それに僕やユウヤみたいに慣れてる訳じゃないみたいだし」


 「そういう事か。それじゃあ仕方ないし、慣れてないなら余計な事は言っちゃいけないな。多少の経験はありそうだけど、俺達みたいに色んなゲームをやってきた訳じゃないなら、慣れてないのは仕方ない」


 「僕達が慣れすぎ……のような気もするけどね。色々な意味で」


 「色んなゲームがあったからなー」



 本当に色んなゲームがあったよ。……おっと、こっちにまで矢が飛んできた。流石に余裕ぶってる場合じゃないな、ちゃんと対処しよう。


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>日本の合戦って基本的に弓と槍なんだよ。 一番人殺してるの石って言われてるけどね...
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