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0371・久しぶりの魔隠穴




 2000年 11月2日 木曜日 AM8:13



 さて、本日もログインするんだけど、今日からは魔隠穴での採掘に入る。<魔石・中>の数には余裕があるけど、そこまで多くもない。それに僕しか転移札を持ってないから、全員を連れて行く必要があるんだよね。


 それと師匠に属性金属の作り方を聞いて、試しに作ってみないと……。正直に言って属性金属にあまり魅力を感じないんだけど、それでも使われている以上は有効な物なんだろう。


 今のところは作れても水属性か闇属性しか無理なんだよねー、それらの属性が活躍する所ってあったっけ? ……特に記憶にないなぁ。こういう所も作る意欲が湧いてこない部分なんだよ。


 とりあえずログインした僕はファルとキャスティが作った物を売りに出し、2人に声を掛けたらソファーの部屋へと移動。トモエとアマロさんが話していた。


 僕はファルを召喚して朝食の準備に行かせたら、ラスティアとキャスティを呼んで話を始める。



 「おはようございます。護衛依頼が終わったそうですね」


 「おはよう。トモエから聞いたの? 昨日やっと終わったんだ。それよりトモエ、ナツ達は今日ログインしない日?」


 「そうよ。……ああ、魔隠穴ね。今日は私を連れて行くぐらいで、他に連れて行く人なんていないし……アマロを連れて行っても良いけど、魔石の支払い出来る?」


 「魔石ですか? すみません、手に入った魔石は殆ど売ってお金に換えています。必要が無いので……」


 「だと思う。僕達だって必要になるまでは売ってたし、そんなものだよ。僕の魔力だけでは2人飛ばせないんで、申し訳ないけど魔石が無いと駄目かな。多少あれば後は魔力でどうにかなるけど」


 「その場合は別の物で支払いだけど、魔石って指定されないだけマシかな? 魔隠穴は【魔力感知】系と【闘気感知】系が上げられるから優秀なのよ。素材を掘りに行くだけじゃないのよね」


 「まあ、いつになったら上級まで上がるかは分からないけど、それでも上級まで上がるのは分かってるんだから通うよね。それに結構な素材も手に入るし」


 「魔物はゴーレム系だけど、慣れるとそこまで厄介じゃないかな? むしろ正確に攻撃してくるから分かりやすいって言うか、おかしな攻撃をしてこないから事故が無いのよね」


 「獣系の魔物だと妙な動きをしてきたりとかあるしね、ああいう戦いだと事故の可能性があるけど、ゴーレム系は余計な動きをしないから」


 「余計な動きが無いだけに強いと言えるんだけど、余計な動きが無いだけに読みやすいのよ。そういう意味ではトモエの言った通り、慣れれば簡単に倒せるようになるのがゴーレム系ね」


 「そうですね。あれらは硬いですけど、それだけだとも言えますし。結局はそこまで強いモンスターではありません」



 話をしているとファルが呼びに来たので、僕達は食堂へと移動。師匠が既に居たので挨拶し、僕は属性金属の作り方を聞く。



 「すみません、師匠。属性金属を作成しようと思うのですが、どうやって作ったら良いのでしょうか?」


 「属性金属か……。あれは魔力金属の他に、魔力金属を作る際に使う魔炭の板、スライムの抜け殻、魔石、そして属性結晶が必要となる。スライムの抜け殻はここでも必要だが、あれは何かを添加する際には非常に有用な素材なのだ」


 「スライムの抜け殻はともかく、属性結晶が大変な感じ?」


 「そうだの。各種精石から【抽出】した物が属性結晶となるが、質の低い物だと殆ど含まれておらん。その所為で大量に集めねば満足に属性金属も作れぬ。属性金属を作るうえで重要なのは根気だ」


 「しかも作り出したところで、持たせた属性が役に立つかどうかは定かじゃないの。魔物が好む属性の物を使った所で、碌なダメージは与えられないし」


 「そういう意味で、属性金属を使わない者も居ます。逆に弱点属性を持っていくと、戦闘は非常に楽になるんですよ。そこをどう考えるかですね。いつも行く狩場に合わせて用意するなら、属性金属は有用です」


 「特に使われるのは火の属性金属じゃな。大抵の獣は火や熱を嫌がる、なので火の属性金属は使いやすいのだ。それとは逆に虫系の魔物の場合は氷属性となる。虫の大半は冷気に弱いからのう」


 「今のところは水精石と闇精石しか見つかってませんから、水属性か闇属性しか作れませんね。どちらも大して役に立たなさそうな感じかな?」


 「そうは思わん。そもそも闇属性に強い魔物というのは少ないからの、広く色々な所で使いやすいであろう。アンデッドくらいか? 闇属性に強いのは。それ以外には普通に使えよう」


 「水属性は微妙よね。水に弱い魔物って少ないし、多くの魔物にとって水は恵みだしね。むしろ道具に使った方が良いのかしら? ツルハシとか、ナイフとか」


 「温度は下がりそうですから、食材が新鮮に保たれそうですね。もしくは鉱石を掘りながら洗い流すのですか? ………それも、どうなのでしょう」


 「ま、何か使える物があるでしょ、水筒にするとか。中身が冷えたままで美味しいかもよ?」



 そういう風に考える事も出来るのか。真空断熱構造でもないのに、冷えたまま保存できるっていうのも凄いね。ただ、ゲームの中で何の意味があるのか知らないけど。


 それはともかく、属性金属の作り方は分かったから、今日から少しずつでも作っていこう。


 朝食が終わった僕は一旦ファルとラスティアとキャスティをマイルームに戻し、トモエとアマロさんを転移させる。アマロさんについてはトモエが少々負担したのと、師匠が連れて行けと言ったからだ。


 【魔力感知】系を鍛えて損はないし、一応【魔力感知・下級】らしい。闘気系は持ってないそうだから、スタンダードなネクロマンサーなんだそうだ。僕も師匠もスタンダードからほど遠いから、何だか新鮮な感じがするよ。


 僕達はディディの町で仲間達を呼び出し、魔隠穴へと進んで行く。中に入ってすぐ真っ暗になり、慌てるアマロさん。元々こういう場所だと言ったらすぐに治まったけど、ビックリし過ぎな気もする。



 「すみません、いきなり真っ暗になったのでビックリしまして。吸血鬼は夜目が効くので大丈夫だろうと思っていたら、まさか本当に真っ暗になるなんて……」


 「ああ。種族特性として夜目を持ってるって訳ね。にも関わらず魔隠穴では効かなかったと。でも効いたら修行にならないんだから、むしろ効かなくて良かったんじゃない?」


 「……成る程、そう考えると効かなくて良かったかもしれません。夜目が効いた所為で修行の効果が無いなんて嫌ですから」


 「それはねー。周りの連中は強くなってるのに、楽な自分は代わりに修行の効果が無いじゃ、通う意味も無いでしょうし」


 「できればアマロも【精密魔力操作】に変えておきたいところですね。とにかくひたすら細かく魔力を感じ取っていれば、おそらく出来るようになる筈」


 「この環境なら上手くマッチすれば出来るようになるんじゃない? 本当ならコトブキと同じく牢が一番良いんでしょうけど」


 「<散魔印>の牢ですか。そもそも脱獄できないように作られている場所ですからね、今はそんな所に用事はありませんし、無いものねだりをしても仕方ありません。心臓から魔力を練り上げる練習ですね」


 「心臓から魔力を練り上げる…………心臓から魔力をね、痛!!」


 「魔力に集中してるからコケるのよ。今は歩く事に集中した方がいいわ。それにしても綺麗にコケたわねえ、演技に思えるくらいに見事だったわ」


 「そんな事、褒められたくありません。とりあえず真っ暗な中では歩く事を優先します」



 普通はそうだと思うよ、普通は。もちろん僕は何も言わないけどね。


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