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0369・師匠の家に帰宅




 僕とトモエは町中の一角でマイルームへと飛び、仲間達をマイルームへと戻す。その後、町中へと再び出た僕達は適当にブラブラしながら魔力を回復し、飛べるようになったら師匠の家へと転移した。


 師匠の家を見ると、ようやく本当の意味で安堵する。トモエも同じ気分なのか「ホッ」と息を吐いた後で家へ。ソファーの部屋へと入り、僕達はダラダラと過ごす事にした。


 ラスティアとキャスティを呼び、僕達は今回の護衛任務に関する事を話していく。



 「最初から女王がついてくる話になっていたのは流石に驚くけど、女王も大変だよ。誰に継がせるかというだけで、これ程までに揉めるというか殺し合いにまで発展するなんてね」


 「それも仕方のない事ではあります。例えば次女の夫の実家は、次女を推さないと周りから何を言われるか分かりません。たとえ能力が劣っていると分かっていても、後ろ盾をしなければいけないのです」


 「もちろん欲からやっている場合も多いんだけど、面目というか家の名前を傷つけない為にやっている場合もあるって事ね。私には理解不能だけど」


 「私だって理解不能よ。むしろ能力が足りないなら自分の家で引き取る、というぐらい言えば評価されると思うけど? 潔く身を引いた方が評価が高くなるって事もあるし」


 「言いたい事はよく分かりますが、それが出来るならば貴族ではない、というところでしょうか? それが出来ないからこそ貴族なのであり、ギリギリまで欲にしがみつくのですよ」


 「確かにねえ。それが出来たら貴族じゃないって思う事はよくあるわ。あいつら本当に駄目なヤツの見本みたいだもの。意味不明な面目やら見栄で、よくあそこまで争えるものよ。欠片も理解できないわ」


 「きっと殆どの者は理解できませんよ。貴族というのは基本的に暇なのです。目が回るほど忙しい者は争っている暇などありません。争えるというだけで暇なのは簡単に分かる事」


 「その争いこそが貴族の仕事だとかホザくけどね、あいつら。頭が悪すぎて聞いてるこっちの頭が痛くなるくらいよ。そんな下らない争いをしてる暇があったら、統治をもっとしっかりやれって思うわ」


 「本当に。あの者達は自分達の立場を簡単に忘れてしまうのですよね。法衣貴族ならば領地が無いので分かりますが、争うのは領地持ち貴族ばかり。まあ、法衣貴族はその殆どが文官ですから暇ではないのでしょうが……」


 「領地持ち貴族の方が忙しい筈なんだけど、あいつら雇ってる連中に全部任せて、自分達は好き勝手してるのよね。なら貴族って何の為に居るの? って思われるのは当然でしょうに」


 「お金を払って任せるなら、国が直接雇って任せれば良いだけですからね。全ての領地を取り上げて国が貴族と同じ事をすれば、貴族なんて要らないという簡単な事も理解できないのですよ」


 「そのくせ、自分達が居なければ国は運営できないとか本気で思いこんでるのよ? アレらは本当の意味で頭が悪いのよね。自分達が不必要だと、自分達で証明してるじゃない。何故それが理解出来ないのかしら?」


 「それが理解できれば貴族ではなかろう」



 僕達が話していると師匠がソファーの部屋に来た。護衛任務の総括の筈が、いつの間にか貴族への愚痴になってたからちょうど良かった。流石にこのままだと、意味のない話で時間だけが潰れそうだったからね。



 「それで、戻ってきたのは良いが、いったい何の話をしておるのだ? 阿呆な貴族でも絡んできたか?」


 「いえ、そうじゃないのよ。ちょっとした話の流れでそうなっただけ。……ここを出発して1日目は特に何も無かったわ。向こうも混乱してただろうし、私達の場所を特定できなかったでしょうから」


 「2日目は早速襲われましたが……あれは結局どうだったのでしょう? 猪の魔物に乗った黒ずくめの魔隷師が襲ってきましたが、あまりにもマヌケ過ぎて女王ですら頭痛を感じてましたよ」


 「猪の魔物に乗って襲ってくる魔隷師のう……。流石にマヌケ過ぎんか、そいつら? あまりにも滑稽であるし、そんな暗殺者は物語の中にしかおらんぞ」


 「本当にね。暗殺者が派手な事してどうすんのよって感じ。あまりにも酷かったけど、そいつら暗示を掛けられてたっぽいのよね。昔の暗殺組織でも同じ事をする奴等は居たし、そういう技術は残ってるんでしょう」


 「成る程のう。暗示を掛けられておったのなら分からぬではない。一度入ってしまうと、なかなか自らの力で解く事は出来ぬと聞く。妾のようなネクロマンサーだと別だがな」


 「そうなの?」


 「アンデッドはマスターと繋がっているが、同時に独立しておる存在だ。それ故にマスターがおかしくなると分かるのだ、その精神がな。魔隷師のように完全に個として別ならば仕方ないが、ネクロマンサーは違う」


 「ふむ………もしかしてコトブキの召喚モンスターが、コトブキに似てくるのはそれが理由ですか?」


 「アレはアレでまた別だと思うが……まあ、その解釈で間違ってはおらん。もちろん厳密には違うのだが、繋がっておって独立しているという所が重要なのだ。これはサモナーも同じだがな」


 「ふーん。天使の星の根性なしどもね。いや、<破滅>とコトブキがおかしいと言えばそれまでなんだけど、召喚モンスターを嗾けて逃げ惑うという印象しかない連中よ。実際、戦った相手は全部そうだったし」


 「で、あろうの。基本的にサモナー、テイマー、魔隷師、ネクロマンサーは近接戦闘に弱い。しかし、それは近接戦闘の実力を磨かぬからだ。どれだけ努力しても弱いままという訳ではない以上、妾からすれば近接戦闘の努力を怠るのが悪いとしかならん」


 「どうしても召喚モンスターなどに頼ってしまう気持ちは分かりますけどね。鍛える為には前に出なければいけませんが、マスターは後ろで全体の指示を出すのが普通です。貴女とコトブキがおかしいのですよ」


 「己の手でブチ殺さないと気が済まないものねえ。それが<破滅>なんだし、その弟子も同じだし。とはいえ、マスターであるネクロマンサーがしぶとく生き残るという意味では正しいんだけど」


 「正しいというか、本来ならば理想系ですよね。敵に回した場合、最も厄介な形です。問題はネクロマンサー本人が前に出てしまう事なんですよねー」


 「前に出るっていうか情け容赦なく殺しに行く? ま、ネクロマンサーの話は横に置いといて、その後は何度か襲撃を受けて王都まで着いたわ。途中であったのは、馬車ごと突っ込んできたくらい?」



 音が鳴ったから「何だろう?」と思ったら、ユウヤが魔銅のフライパンを売りに出してた。当然、僕の優先付きで。


 さっさと購入し、ユウヤにお礼のメッセージを送っておく。師匠とトモエはこっちを見てきたので分かったらしいが、ラスティアとキャスティは気付いていない。


 やっぱり師匠は特別なNPCだね。



 「王都では<ホワイト・デス>を呪心紋で縛っていた魔隷師が相手でしたが、【生命力操作】で生命力を注ぐ事で解除しました。<ホワイト・デス>は一声吠えて去っていきましたね」


 「ほう。あの<白い悪夢>が相手でよう生き残ったのう。ま、呪心紋なぞ付けられておっては、真の実力は発揮できまい。その魔隷師も何を考えておるのやら……」


 「とにかく強い者なら何でも良かったのでしょうね。どれだけ強い者を従えても、自分が弱いから煉獄の枷を喰らうのよ」


 「アレは酷かったですねー、いつも通りではあるんですけど」



 師匠のスケルトン・クラフターが呼びに来たけど、ファルを呼び出すのを忘れてた。謝った後で食事に行き、終わったらマイルームへと戻る。


 ラスティアとキャスティは師匠と話をするらしいので放っておき、僕はさっさとログアウトした。明日からようやく魔隠穴に行って素材を集められる。


 そろそろ属性金属にも手を出さないとなぁ……。


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