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0363・ゴセム村到着




 僕は馬車の中に隠れていた奴を気絶させたが、そいつが気絶している内に<煉獄の枷>を嵌める。気絶しているものの、枷を嵌められた瞬間起き上がり、いつもの声を叫び始めた。


 余程の激痛と絶望に苛まれるのだろうが、わざわざ味わいたくもないので僕は知らない。3分ほど悲鳴を上げさせた後で外し、ラスティアが尋問していく。すると素直に喋るものの、あっさりと黒幕が次女の後ろ盾だと告白した。



 「つまりルダール伯爵家だというのね? 貴方が言っている事は間違い無い? ないならば命を助けるのは吝かではありません。よく考えて話しなさい」


 「えっ……」


 「どうやら襲撃してくる暗殺者も、王女様じゃなくて女王様だとは分かっていないようね。裏の者は自分が嵌められるという危機感が無いのかしら?」


 「………ああ!!」


 「ここまでされないと気付かないなんて、意外に今の暗殺者連中ってポンコツなのかしら? こいつら支配モンスターがいないって事は、正統派の暗殺者だと思うんだけど」


 「流石に元悪魔である貴女とは比べられないでしょう。手練手管も暗殺への理解も違いすぎますよ。今の若人を相手に言っても仕方ないでしょう」


 「元悪魔………!」


 「自分達が襲った者のマズさ、理解できた? 王女を暗殺する仕事じゃなく、お前達が一網打尽にされる仕事なのよ、これは。そして恐怖に震え続ける羽目になる枷を着けられた」


 「相当の【回復魔法】か薬でないと治せませんからねえ、その恐怖は。尋常ではない枷を着けられてしまったのですが、暗殺などを行ったのが悪いというところですかね?」


 「そうだけど、また来たから後はお任せして僕達は進もうか? そろそろアットルマ町だからね」



 その一言で皆は歩きだしたので僕も進む。相変わらずなぐらい<煉獄の枷>が極悪な威力を、っと、さっきの襲撃者が影に沈んだ。連れて行かれただろうから、後は向こうにお任せしよう。


 僕達は早歩きで進んでいき、夕方までにはアットルマ町へと辿り着いた。今日もすぐに宿に行き、3人部屋と2人部屋を確保する。その後は少し町を見て回り夕食を食べ、さっさと宿へと戻った。


 2度も襲撃を受けているので、あまり安全とは言えない。危険がある以上は、どうしても早く切り上げる必要がある。3人部屋に女王を連れて行った後、部屋の中に昨日と同じメンバーを配置し、僕達は2人部屋へ。


 部屋の中にも配置したら、僕達はログアウト。その後は雑事や食事などをして、ゲームに戻る事もなく就寝。本日はここまで。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 2000年 10月31日 火曜日 AM8:19



 今日は昨日以上にいつもの時間になってしまった。まあ、そんな事を言っていても仕方ないので、早くログインしよう。


 ログインしてすぐに起き上がると、既にトモエは部屋にいなかった。おそらく女王が泊まっている部屋に行ったかマイルームだろう。そう思い部屋を出た僕は、女王の泊まっている部屋をノックする。


 中から許可の声があったので入ると、トモエも居たが微妙な顔をしている。



 「おはようございます。……トモエ、どうしたの? 何か変な顔をしてるけど」


 「昨夜、襲撃があったらしいのよ。それで大丈夫かって聞いたんだけど、襲撃者の5人は全員ボコボコにされて終了。更には宿の人にも知られず、影に沈んでいったそうよ」


 「となると親衛隊の人が近くに居たんだね。それで?」


 「いや、それでって……。近くに居たのなら助けてくれても良いじゃない? 特に夜中なんだから、一番暗殺者にとって有利で危険な時間でしょ。それなのに踏み込まれても放置はさー」


 「僕の召喚モンスター達が居るから、手が出し難いんじゃない? 動ける場所も多くないし、迂闊に入ると敵に余計な隙を与えるかもしれないだろうしね」


 「そうかしら? 単に面倒臭かっただけの気もするわよ? 女王を崇拝してる人達だし、他の人を随分下に見ている可能性もあると思うけどね?」


 「流石に他国の王女様に対してそれは無いでしょ。そんな事を思ってたらマリアトゥーラさんの立場も悪くなるしね。それにラスティアとキャスティはどうだったの?」


 「私達は王女の護衛として周りに居たぐらいね。侵入者はセナ達が嬉々として潰してたわ。コトブキが居ないから<煉獄の枷>が無いでしょ? だから「しょうがない、しょうがない」って言いながら……ねえ」


 「そうです。セスは侵入者の手足を刺し貫く。セナはトンファーとヌンチャクで砕く。そんな事を全員分やってましたよ。仕方がないと言いつつ、です」


 「いや、うん、まあ。それは仕方がないんじゃない? 暗殺者を動けなくしなきゃいけないし、逃がす訳にもいかないし。そうなると四肢を潰すのが一番速いと思う」


 「まあ、そうなんだけどさー……間違いなく仕方ないって感じじゃなかったし、むしろ喜んでやってたのがねー。っと、とりあえずこんな話をしてる場合じゃないわ。そろそろ朝食に行きましょう」



 僕達は宿を出た後、近くの食堂に入り朝食を食べる。鑑定しても問題なく、毒なども特に混入していなかった。一応の確認ではあるものの、しておかないと何処かで足を掬われる可能性もあるしね。


 食事後も周囲を少々警戒しながら町を出る。やはり夜中も含めて襲撃があったとすると、王都に近付くにつれ頻度は高くなるだろう。


 今日はエストイ村とゴセム村を越えてオイク町まで行く。まだまだ王都トゥーラには着かないが、それでも近付いている事は間違い無い。そんな事を考えつつ西へと歩いて行く。


 昨日と同じく早歩きで進みつつ、こうやって進んでも大丈夫なのはゲームだからだなーと思っていると、昨日と同じく馬車が前から来た。いつでも迎撃出来るようにスタンバイしていると、馬車は何も無く通り過ぎていった。


 本来ならば当たり前の光景なのだが、今は襲撃される可能性を常に警戒しなきゃいけない。何と言うか、いちいち面倒臭いなと思う。護衛依頼ってこんなに大変なんだなぁ……。


 エストイ村で休憩した後はゴセム村へ。そこで昼食と休みをとるのだが、周囲の守りも厚くしておく必要がある。女王は不便だろうが、ここは我慢してほしい。



 「それでもトイレにあの人数は厳しいんじゃない? もちろん無防備な瞬間だから暗殺者が来る可能性は高いけど」


 「古今東西から変わりません。一番安心する瞬間は一番狙われる瞬間でもあります。トイレと体を拭いている時と就寝時。この3つは一番気をつけなければなりません。ですのでコトブキは間違っていないのですが……」


 「死ぬよりはマシだよ。何があっても、死ぬよりはマシさ」


 「まあ、そうなんだけど、それがハッキリ言える者もなかなか居ないのよねえ。コトブキならあっさり言うでしょうけど、上の者に不便をかけてるってなると、警備を緩めるって事は往々にしてあるの」


 「気持ちは分かるのですが、緩めれば緩めるだけ自分の命が脅かされると、何故か理解出来ないんですよねえ。高位貴族に多いですけど」


 「まあ、高位貴族って我儘なイメージあるし、そんな者って感じするけど? ……よし、終わった。コトブキと私は一旦向こうに戻るから、後はお願いね」


 「マカセテクダサイ」「グオ!」


 「じゃあ、僕も戻るから、後を頼むよ」


 「シンパイナイ。テキボコボコ、ツブシテホウチ」



 まあ、そうなんだろうけど、他のメンバーも「うんうん」って頷いてる。僕達にとっては普通なんだけど、女王は呆れてるみたいだ。


 夜中の襲撃の時に何かあったのかな? 一応は聞いたけど、聞いただけじゃ分からないし……もしかして拷問でもしたんだろうか?。


32話の誤字報告、ありがとうございました

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