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0350・魔隠穴10




 「という事で、魔隠穴を一気に攻略したいと思う。地図を描く事は無理だけど、空気の流れで先に進める事は分かってるから、向かい風の方向に進もう」


 「向かい風の方向ねえ。つまり奥から手前に対して風が吹いてるって事か? 不思議な洞窟だな……」


 「何故か分からないけど、魔隠穴というのはそういう洞窟らしいわ。指摘しても意味無いからしないし、そういうものだと思って攻略しましょう。ツッコんだところで始まらないし」


 「それはそう。不思議パワーで奥から吹いている。それ以上考える必要は無いし、考えても無駄」


 「そうだね。それじゃ頑張って進もう!」



 気合いを入れて魔隠穴へと侵入していく僕達。入り口から中に入り、早足で進んで行く。広いらしいので早めに進んでいかないと、最奥に着くまでにどれだけ時間が掛かるか分からない。


 僕達はプレイヤーな訳で、生理現象なり何なりがあって長くゲーム中に居られない。セーフティゾーンのような場所があれば大丈夫だけど、そういった場所が魔隠穴の中にあるかどうかも分からない。


 このゲームこういうところが厄介なんだよね。マイルームに退避したら首都に飛ばされるし、そうなると攻略し直しになる。この仕様は変わってないし、何というか敢えてそうしてるんじゃないかと思う。


 そんな事を頭の中で考えつつも、皆も早足でどんどんと先に進んで行く。トモエの支配モンスターも僕の召喚モンスター達も空気の流れを確認してくれており、道を間違えずに奥まで進んでいる。


 やはり風の流れなどに関してはモンスターの方が敏感に察知するらしく、僕達では分からないような僅かな動きでも分かるようだ。


 採掘などの寄り道もせず、必死になって奥へと進む事2時間。ついに僕達は最奥に到達した。ラスティアがここだと言う以上は間違いじゃないんだろう。



 「最奥に結界陣が張ってあるなんて思わなかったよ。知ってたなら教えてほしかったんだけど?」


 「悪いんだけど、私がここに来た時には最奥に結界陣なんて無かったわよ。200年ぐらい前に攻略の仕方も貼り出されるようになったっていうし、私の知らない間に結界を張るようになったんじゃないの?」


 「まあ良いではありませんか。ここで休憩し、後は帰るだけです。採掘に来る場合は色々考えなければいけませんけど、魔隠石を採りに来るだけならそこまで難しくありませんでしたね」


 「確かにそうだけど、一切の寄り道をせず殆ど最短ルートで奥まで来てるからよ? やっぱり魔隷師とかだと楽よねえ、支配モンスターが僅かな空気の流れも教えてくれるから」


 「それは仕方ない。人間種じゃ分からなくても、他の生き物には分かりやすい。そんな事はよくある」


 「魔隠石っていうのは拾えたんだし、ちょっと早いけどお昼休憩にしようよ。結界のある場所ならマイルームに飛んでも大丈夫だし」


 「そうだな。俺も適当に早めの昼食を終わらせとくか。何か食う物ぐらいあったろ」



 皆が魔隠石を手に入れたので、僕達は一旦マイルームへと飛び昼食にした。囲炉裏部屋で適当に食事をし、それが終わったらログアウト。


 適当な食事……というかラーメンを望んだので、適当なインスタントラーメンにする。幾つかの野菜を炒めて準備し、出来たラーメンに野菜を乗せて出来上がり。そんな簡単な昼食で終わらせた。


 雑事とトイレを終わらせてログイン。プレイヤーマーケットを見ながら適当な買い物をしているとフレンドコールがあったので、魔隠穴へと転移。皆と合流したら脱出を開始する。



 「後は帰るだけで済むから気楽だけど、そうやって余裕ぶっこいてると失敗するんだよなー。だから気を引き締めるか。そういえばコトブキ気付いてるか? 奥の方は採掘場所が無い事」


 「気付いてるよ。途中までは採掘場所があったのに、途中から全く見なくなったんだよね。そのぶん楽だとは言えるけど、何か不思議な感じはしないでもない。もしかしたら見つけられてないだけなのかも」


 「採掘に来るだけなら、奥まで行かなくて済むんだから楽で良い。そう考えるべき。奥にまで採掘場所を作るとクレームが来る」


 「でも、そういうのあるだろ? 無駄に2つか3つ、不便な所に採掘場所とかが用意されてたりするんだよ。で、そこの方が良い物が採掘できたりするってパターン。あるある何だから調べるだろ、普通」


 「分からなくもないけど、無かっただけ良いと思うべき。毎回毎回、最奥まで行くのは時間の無駄でしかない。それが無いだけ良心的」


 「まあ、それはなー。っと、また銀鉱石か。鉄も出るけど、銀も出るなあ。コトブキは魔銀を作ってみたか?」


 「いや、まだ。流石に魔力に対して極めて強い魔銀はねえ……正直に言うと微妙に思ってる。これが盾に使うなら良いんだよ。でも武器には使えないらしいんだ」


 「魔銀って言ったところで銀だからねえ。普通の銀よりは使えるけど、それでも魔銅よりは落ちるし、武器に使えるかは微妙なライン。だから使わない方が無難なのよ。ただし防具には効果を発揮するわ」


 「ただし効果を発揮するのは魔法に対する防御のみです。物理的な攻撃に対してはそこまで何ですが、代わりに魔法に対する防御力は極めて高い。そういう金属なのです」


 「何というか、使えるけど使い所に困るって感じか……。無理して使うかは微妙だなぁ」


 「でも魔力を流せば優秀なんじゃないの?」


 「魔力を流しても鉄並の強度しかないのよ。それでも元の銀に比べれば優秀なんだけどね」


 「一長一短って感じかしら? あんまり使えそうな感じはしないけど……」


 「魔銀はそれ単体では役に立たないのですが、属性金属にすると化けるのです。属性効果が最も強くなるのが魔銀でして、属性効果が一番弱いのが魔鉄なのです。属性金属に関して、魔鉄は殆ど使われません」


 「ああ、そっちなんだー。魔銀には魔銀の使い道がしっかりあるんだね」


 「そう考えると魔金ってどうなんだ? 金なんて手に入った事は無いぜ?」


 「金は難しいでしょうね。手に入っても普通は売ってしまいます。わざわざ自身の技量を上げる為に、使い潰す人は……聞いた事がありません」


 「それはそうでしょうよ。普通はっていうか、常識があるなら売るわよ。技術の為に使い潰す方が非常識よ、どう考えても」


 「それでもやる奴は、やるだろうけどなー」


 「当然、期待を裏切らずにやってくれるに決まってる」


 「まあ、想像しなくても分かるわね」


 「簡単な事だよねー」



 多分僕の事を言ってるんだろうけど、使うに決まってるじゃないか。お金は一時的に得るだけ、でも技術は身に付くんだよ? ならどっちが得かと言えば、技術に決まってるじゃん。


 口には出さないけど、僕にとっては当たり前の事だし考えるまでもないね。……っと、また採掘場所だ。採掘して手に入れておかないと。


 師匠が魔纏石を採ってこいって言ってたし、僕の場合は闇精石が必要だから、なるべく掘ってゲットしておかないとね。それにしても、後は脱出だけだから本当に気楽だよ。


 風の流れは召喚モンスター達が把握してくれるし、こういうところはネクロマンサーで良かったと思えるところだね。よし、採掘終了。外へと進もう。


 流石にそろそろ入り口近くの筈なんだけど、まだかな? 行きが2時間ぐらいだったから、採掘しているとしても、帰るのにそこまで時間が掛かるとは思えないんだけどなぁ。


 もう2時間は過ぎてるし、そろそろ、まぶしっ!? ……こう、いきなり外に出ると眩しさでビックリするね。皆も目を覆ってるよ。


 光に目が慣れるまでは休憩かな?。


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