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0343・魔隠穴04




 「何か凄いレベルアップラッシュだけど、なかなか【精密魔力感知】は中級に上がったりしないのね。それに中でドールを捕まえるの忘れてたし……相当疲れてたみたい、私」


 「僕と仲間達は【精密魔力感知】や【精密魔力操作】。それに【練気感知】に【練気操作】も中級になったけど?」


 「………」


 「………」


 「あんた達、なに双子で見つめ合ってんのよ。それだけ私やコトブキが努力してたって事でしょ。トモエは何処かで諦めて、私達の後ろをついていくだけになってたんでしょうね」


 「いや、そんな………もしかして、そうなの?」


 「そうです。己の努力は裏切りません。コトブキや私達が中級に上がっているという事は、そういう事です。中級になればそれだけ範囲も広がりますから、攻略するのはそのぶん楽になるでしょう」


 「むむむむむ………」


 「まあ、トモエが頑張らない事が支配モンスターにも伝わってたんでしょうね。だから仲間達も中級にならなかった。コトブキの場合は下級でさえ無かった者達まで、下級を飛び越えて中級になってるからねえ」


 「それだけの努力を、コトブキも私達もしていたという事です。それでも、これだけ上がりやすいのが魔隠穴という場所の効果なのでしょう。制限された場所は修行の効果を高めてくれます」


 「つまり、次は頑張れという事よ」


 「………はぁ、しょうがないか。確かに疲れきっておざなりの部分はあったし、コトブキほど努力したかと言えば、多分してないんでしょうね。中級になる事が分かっただけ良かったと思いましょう」


 「という事で、町まで戻って宿を借りよう。一時的だけど正規の料金を払わなきゃいけないけどね」


 「一時的?」


 「明日はユウヤ達がログインする日だから迎えに行かないといけない。だから今日は師匠の家に帰る事になるよ? その後は攻略に腰を据える事になるだろうけど」


 「ああ、確かに迎えに行かないと五月蝿いわね。それに中級にまで上がれるんじゃ、連れて来ないと絶対に文句を言うだろうし、今日は帰るしかないか。面倒臭いけど、魔石も用意しないと」


 「僕は売らずに溜めておいた魔石でどうにかなると思う。というかユウヤの分も要るから、必要量は多そうだなぁ……」



 会話をしつつディディの町に戻り、宿に行って3人部屋をとる。宿の女性にお金を渡すと、僕達は3人部屋へと入りマイルームへ。宿の近くに待機させていたドースもマイルームへと呼び戻す。


 囲炉裏部屋で倉庫にある料理を食べ、運営マーケットでお菓子を大量に買い足しておく。その後、僕はログアウトしてリアルの方へと戻った。


 リアルで遅い食事をとった後、リフレッシュしてからログイン。生理現象の事もトモエと話したが、やはり全て出してスッキリしておく以外の解決策は無かった。


 囲炉裏部屋から宿の部屋へと戻り、宿の部屋にラスティアとキャスティを召喚し部屋を出る。宿の前でトモエと合流し、召喚モンスターと支配モンスターを呼び出したら、再び魔隠穴へ。


 入り口から中へ入るものの、下級の時とは比較にならない程に遠くまで認識できるようになっていた。これはちょっと、驚くしかない。



 「メチャクチャ遠くまで認識できるようになってるんだけど、これが当たり前なの? 幾らなんでも、ちょっとおかしい気がする」


 「流石にこれは尋常じゃないわね。【魔力感知】じゃなくて、【精密魔力感知】だからこうなるんでしょうけど……。そういえば私達も、いつの間にか【闘気感知】じゃなくて【練気感知】になってたわね?」


 「そうでしたね? 私も特別な何かをしていた訳ではないんですが、何故か【練気感知】になっていました。いったい何がどう違っていたのでしょう?」


 「とりあえずトモエが先を歩いてみなよ、【罠発見】だって持ってるんだしさ。多分その辺りが影響してるんだと思うよ。僕が前を歩いて色々調べてたんだし」


 「それはあるでしょうね。トモエも前で色々調べながら歩きなさい、それと支配モンスター達も前ね。ついでにドールも捕まえればいいわ、貴女の腕の見せ所なんだし」


 「まあ、確かにそうなんだけど………不安がっていてもしょうがないわね。女は度胸!」


 (男は度胸で女は愛嬌……じゃなかったっけ?)



 僕は口には出さずにツッコミを入れつつ、トモエと支配モンスター達に前を譲る。今までと違って遠くまで認識できる為、非常に楽で心の余裕も相当に生まれた。


 だからといって隙を見せたりなどしないが、後ろに下がった事もあって、今までの焦りなど無い。



 (本当に遠くまで分かる。今まではレトロゲームでいうところのド○クエの<たいまつ>状態か、イー○の廃坑の中って感じだったもんね。レトロゲームのプレイ配信で見た事あるけど、自分の周囲しか見えないって感じで本当に大変だった)



 後ろに居て、前についていくって楽だなぁと思うのと同時に、これじゃあスキルレベルは中級にならないだろうなと思う。僕とトモエが受けていたプレッシャーは同じじゃなかったんだね。


 まさかここまで違うとは思ってもみなかったよ。そして遠くまで分かるようになったからこそ、敵がどういう動きをしているかも分かる。普通の人は地道に視界を広げていって魔隠穴を攻略するんだろうなー。


 僕の場合は、一度目のアタックで中級に上がってしまったから一気に楽になったけど、本来なら相当大変な事なんだと思う。【魔力感知】じゃ、ここまで視界は広がらないみたいだしさ。



 「精々この半分でも視界が広がれば良い方じゃない? 下級だと殆ど変わらないのに、中級になると驚くほど変わるのよね。これが魔隠穴だけの効果なのかはイマイチ分からないけど」


 「ああ、ここだけの効果なのか、それとも普遍的に【魔力感知】とは違うのかという事ですね。そもそも私達は【精密魔力感知】ではなかったですから、これからどうなっていくかは……」


 「そう。私達にも分からないし、未知の領域なのよ。流石にアドバイス出来る事が多くないっていうか、私達でさ「キターー!!」え初めてだから……」


 「あー……おめでとう、トモエ。ドールを無事に仲間に出来たみたいだね」


 「ええ、ありがとう。<サンドドール>だけど、思っているより優秀みたい。立ち位置としては、コトブキのファルと同じで生産タイプね。休んでる間も生産してくれる仲間が欲しかったのよ」


 「これでトモエも仲間枠は埋まったから、これからは仲間を入れ替えていかなきゃね」


 「リナ、メイ、ギン、リーダ、ラム、ルーイ。そして今回のマキで7体だからね。それにしてもマネキンからとってマキって、いいのかな?」


 「マキが気にしてないんだから良いじゃない。何を装備させようかしら? ここでは弓矢を持ってる事が多いんだけど、それじゃあ安直すぎるしコストがねえ……でも、後衛から攻撃できるし」


 「そうですね。後衛からの物理攻撃という意味では、弓矢に勝る物はありません。ドールであるマキに自分で矢を作らせたらどうですか?」


 「それだ!」


 「まあ、ドールなら黙々と自分が使う矢は作るでしょうけどね。ついでに余った矢はイルに売ってあげたら? 弓矢仲間として」


 「そうね。それで強力な弓はコトブキに作ってもらおうっと」


 「まあ、【錬金術】スキルの為にも作成するのは構わないんだけど、今は前を向いて集中してよ。仲間達は戦ってるよ?」


 「え? あっ、ゴメン! ゴメン!」



 そりゃ白い目で見られるよ。マスターが遊んでるんじゃねえ。


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