表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
341/565

0341・魔隠穴02




 僕達は魔隠穴を少しずつゆっくりと進んで行く。この洞窟は思っているよりも厄介であり、【罠発見】が久しぶりに活躍している。魔法陣を敷いた罠なのだが、近付くと反応し魔法が発動する。



 「ストップ、近くに罠があるから潰しておく。……あれは、【ファイアバレット】かな? それにしても厄介な場所だし、死人が出るのも分かるよ。物凄く面倒臭い。正直に言って、最年少での攻略って凄いよ」


 「ふっふっふっふっ。そうでしょ、そうでしょ! ここを最年少、僅か11歳で攻略するって凄いのよ。しかも私1人だったし! ……まあ、来たくて来た訳じゃなく、暗殺組織に放り込まれただけなんだけどね」


 「貴女が壊滅させた暗殺組織ですか?」


 「そうよ。生きる為に役に立つ事とか教えてくれたけど、孤児だった私を拾って使い潰すだけだった組織だもの。しかも生きて抜けられないし……。なら、自由になる為には潰すしかないじゃない?」


 「まあ、そうですね。その組織の者達も思わなかったでしょう、後の【色欲】の悪魔を育てているとは。もし知っていれば解放していたと思いますけどね」


 「甘いわね。あいつらがそんな事を考える筈が無いわ。むしろ【色欲】の悪魔が自分達の手駒だとアピールして、更に自分達の組織を大きくしようとした筈。欲を掻きすぎるような連中だから、悪魔になる前の私に潰されるのよ」



 2人は会話しながらも余裕だけど、僕達にはそこまでの余裕は無い。ラスティアはここを突破した事があるし、キャスティは似た経験があるんだろう。だから慣れているというか経験があるおかげだと思う。


 僕達は初めてだ。だからなのか思っているよりキツい。何がキツいかって言えば、想像していたよりも集中しないと周囲の把握すら儘ならないんだ。


 それに、目が見えない所為で遠くを認識出来ない。一歩進むと、いきなり前に敵が居たりする所為で、余計な心労というかプレッシャーを感じている。この魔隠穴の中では、かなりの神経を使わなきゃ進む事すら出来ない。



 「コトブキ、大丈夫? 私、段々頭が痛くなってきた。ここって思っているよりも厳しいっていうか、この環境が相当大変。暗闇がこれほど苦しいとは思わなかったわ」


 「僕も予想以上に大変で困ってるよ。罠はあるし進むと急にゴーレムが出てくるし、パペットやドールは矢を射ってくるしさ。ずっと緊張しなきゃいけないから、既に結構疲れてる」


 「あんた達、疲れてるなら体の力を抜きなさい。こういう場所で一番大事なのは全力を出さない事なのよ。どうしても全力で行こうとする奴は多いんだけど、常に気を張ってたって、上手く行く訳じゃないのよ?」


 「そうですよ。私も目を瞑って生活したり、戦闘を行うという修行をした事がありますが、一番大事なのは無理をしない事です。それが当たり前であり自然になれば、当たり前の事として出来るようになります」


 「そこに至るまでには時間が掛かるけどね。私は最年少で突破したけど、これはひたすら走って攻略しただけよ。正直に言って逃げ回ったという方が正しいの。攻略できなければ、組織から殺される可能性もあったから」


 「………ふーーーっ、ちょっと休憩しよう。意識を切り替えなきゃ駄目だ。このままだと変わらないまま進んで疲れ果てそう」


 「まあ、良いんじゃない。この環境に慣らすのなら、それなりに通う事になると思うし、時間が掛かるのはコトブキでも変わらないわ。環境に適応するって難しいもの」


 「確かに。だからこそ修行になるんですし、成し遂げれば大きく成長できるんですけどね。しかし、悪魔の星にこんな都合の良い修行の場があったとは……」


 「あー、疲れたー。頭痛ーい。罠があるから警戒しなきゃいけないし、その罠も天井にあったりするし、【罠解除】のスキルなんて無いから離れて魔法で潰すしかないし。本当にここイヤ」


 「言いたい事は分かるけど、諦めよう。何故か召喚モンスター達も支配モンスター達も問題無いみたいで、大変なのは僕達だけみたいだからさ。むしろ居心地は良いのかな?」


 「ベツニ、ヨクナイ。デモ、ムズカシクナイ」


 「ソウデスネ。ワタシタチニトッテハラクデス。モトモト、ニタコトヲシテマスノデ」


 「似た事? ……もしかして魔力を感知して周囲を認識してた?」


 「ハイ、ダイタイソンナカンジデス」


 「何でそんな事をしてるんだい? 普通に目は見えるよね?」


 「メ、ミエル。デモ、マリョクハアク。ソッチノホウガラク」


 「エエ。ワタシタチニトッテハ、マリョクヲハアクスルホウガラクデス」


 「ふーん、今の今まで知らなかったわ。という事はあれね、私達は目に依存し過ぎって事よ。だからこそ時間を掛けて目に依存するのを減らさなきゃならないの。まずは目を瞑ってようかしら?」


 「単純だけど、こういう時は単純な方が効果はありそうだね。人間は目からの情報が7割ぐらいあるって聞くし。それがゼロになったら、他のを使ってどうにかしなきゃいけない訳で……ああ、だから疲れるのか」


 「そうね。いつもは殆ど使ってないのを使うんだから、それは疲れるわ。挙句、一番使ってた物が使えないんだし、そりゃ緊張感も凄いでしょうね。成る程、ようやく納得したわ」


 「そろそろ休憩も終えて先へ進もうか? 多分殆ど進めてないよ。予想以上に疲れ果てた所為で、おそらく入り口近くでウロウロしてるだけだったんじゃないかな? ここ、そもそも入り組んでて厄介だし」


 「おっ、コトブキは気付いた? 魔隠穴は暗闇だけじゃなく迷いやすい構造にもなってるの。遠くまで認識出来ない所為で、全体を把握し辛いし地図を描く事も出来ない。理解していないものは延々と同じ所をウロウロする羽目になる」


 「色々な意味で難易度が高いですね。だからこそ修行になるのでしょうし、だからこそ多くの者が来るのでしょう。それにしても死亡率の高い所によくもまあ……とは思います」


 「サキュリアは魔隷師が多いし、魔隷師にとって魔力の把握というのは重要らしいわよ? 高い実力を持つ為には、それだけの修行をしなきゃいけないんでしょうけどね。そして大抵の奴は諦める、と」


 「まあ、分かります。実際のところ、最奥までの突破というのは、なかなか大変でしょう。魔物も強くなっていくようですし、一筋縄ではいかないでしょうね」


 「ここまではサンド系の魔物だったけど、いつストーン系や金属系に変わるか分からないしね。それにしてもゴーレムが前衛、ドールが中衛、パペットが後衛としてキッチリ戦ってくるのは大変だよ」


 「人形系だから感情が無い所為で、前衛がどうなってても自分の仕事を熟すのよね。釣ったり、驚かせたりが無意味だから正面から突破するしかないし……。予想以上に対処がし辛い」


 「淡々としているところは逆に対処がしやすいんだけど、淡々とし過ぎなのがどうにも……。ゴーレムとは戦ったけど、人形系が揃うとこんな事になるんだなぁ」


 「支配するならドールかしら、パペットかしら? 私も1体は確保しておきたいわね。今の内にこっちに確保してレベル上げもしたいし……小さい事での有利ってあんまりないし、やっぱりドールかな?」


 「そのドールが一番出てこないんだけどね。次に出てきたらトモエに任せるよ」


 「とりあえず、頑張る」



 出てきてくれればいいけど、相変わらず感知範囲が狭い所為で、どうにも……。


 それに迷ってる可能性もあるし、そうなるとどうやって出るか……。ジャングルの時と同じく、脱出する事も出来ずにウロウロする可能性がある。


 それはちょっとマズいし、どうしようか?。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ