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0331・ライダースーツ




 ファルが呼びに来たので夕食にいき、食事中に師匠が話し掛けてきた。なにやら言っておく事があるらしい。



 「コトブキ、そしてトモエ。いつでも良い訳ではないが、サインのヤツが2人に用があると言うてきおったぞ。何があるのか知らんが、行ってまいれ。おそらくサキュリアの事だろうがの」


 「今度は師匠? ……いや、違うか。サキュリアって事は、貴族か何かかしら? 明日はナツ達が来るから明後日ね。……面倒だから1ヶ月くらい後でいいか」


 「いい訳なかろうが。流石にサインのヤツがキレて襲撃してくるわ。とっとと行ってこい。面倒でもコトブキがおるのだからして、1人よりはマシであろうが」


 「確かに。コトブキを盾にすれば、おそらく大丈夫な筈……」


 「<支配の魔女>って、そんなに厄介な人なの? 僕は会った事が1度しかないけど、話した事も無いから分からないんだよね」


 「サインのヤツは、そこまでではないのだがな……」


 「師匠はそこまでなんだけど……」


 「どういう事さ?」


 「師匠が支配してる、支配モンスターが厄介なのよ。支配と言っても契約なのは知ってるでしょ? だからこそ自由意志を奪ってる訳じゃないの。だからなんだけど……」


 「簡単に言うとの、サインのヤツの支配モンスターは、サイン第一主義みたいなものなのだ。狂信者とまでは言わぬが、似たり寄ったりの部分があってのう……」


 「うわぁ……」


 「そうなのよねえ。屋敷を管理している妖精のウィッシュが特に酷くてさ、少しでも汚すと五月蝿いのよ。サイン様の屋敷を汚すとは何事だ! って感じで」


 「トモエは知らぬかもしれんが、あの妖精もそうだが、とにかくサインの支配モンスターは顔が良い男には全力で媚びる。本当に酷いくらいにの。サインと同じく面食いなのだ」


 「うぇ!? そうだったの? うわー、ないわー……。あれだけ五月蝿くて偉そうなのに、イケメンには全力で媚びるとか………ないわー」


 「コトブキだと高い確率で媚びてくるであろう。明日が駄目でも明後日ぐらいには行っておけ。コトブキを盾にすれば問題あるまい。それに、そなたら魔石は集めておるのであろう? ならば魔力も足りる」


 「それ以前に、マイルームに退避させれば、僕達のみの魔力消費で飛べます。向こうに着いてからマイルームに行って召喚すれば済みますから、いつでも飛べますね」


 「ならば伝えたからの。サインのヤツも面倒でな、伝えておかねば五月蝿い」



 そんな会話が夕食時にあった。現在はソファーの部屋からマイルームに飛び、囲炉裏部屋に居る。多少倉庫を片付けたらリアルに戻るつもりだ。



 「そろそろ毛皮も集まっただろうし、私達のジャケットを作ってくれない? ウェルズベアーのヤツ」


 「そうですね。服装としてはアレですけど、背に腹は変えられません、見た目よりも防御力優先です。特に魔法は避けるのが難しいものがありますからね」


 「2人だとアレかな、ライダースーツとかが良いんじゃない? ボタン式なら何とかなると思うよ?」


 「「?」」



 僕はライダースーツの話をした後、一旦ログアウトをしてリアルへと戻る。食事やお風呂など、諸々を終わらせたら再びログイン。


 囲炉裏部屋にはラスティアとキャスティが居たので、ウェルズベアーの皮をライダースーツにしていく。もちろんボタン部分は2重になっており、隠せるようにした形だ。



 ―――――――――――――――


 <服> ウェルズベアーの皮のライダースーツ 品質:10 レア度:5 耐久420


 ウェルズベアーの皮で作られた女性用のライダースーツ。ピッチリしているが、個々人の胸やヒップに合わせて作られており、そこまで圧迫感は無い。錬金術師が魔力を流しながら加工した一品であり、魔力抵抗を残したまま変えられるのは錬金術師か皮革師のみである

 防御力8 魔法防御力15


 ―――――――――――――――



 「あれ? 僕達のジャケットやズボンより防御も魔法防御も高いね? セナやセスはライダースーツに変えた方がいいかな?」


 「これ………多分だけど体のラインと胸の部分がモロに出るわね? ふふふふふふ、コレは私に対する挑戦と受け取ったわ。キャスティ、勝負よ!」



 そう言ってラスティアは寝室になっている部屋に行ったけど、そのラスティアを見てウンザリした顔をしているキャスティ。



 「ラスティアは何を言っているんでしょうね? 最近、私が【純潔】の天使だという事を忘れてませんか? ………まぁ。防御は高いそうですから、着ますけど」



 結局は着るんじゃん。とは言わない。


 言ったところで碌な事にはならないし、僕は粛々とキャスティの分のライダースーツを作るだけだ。何も言う必要などない。


 キャスティの分を作り終わる前にラスティアが着てきたけど、ラスティアの体に合わせたからか、ピッチリしているけど窮屈ではないらしい。まあ、その為の【錬金術】だしね。


 作り終わったのでキャスティも着に行ったけど、ラスティアは色々な方向に体を動かして確認している。捻ったり曲げたり回したり、そうして確認しているとキャスティも着てきた。



 「………うん、私の勝ちね。やっぱりキャスティは胸が大きすぎるのよ。ハーフとはいえラミアーだから仕方ないんだけど、そこがどうしてもアンバランスなところなのよねー」


 「そんな事は最初から分かりきっています。……それにしても着るまでは窮屈だと思ってましたけど、着てみるとそうでもありませんね? 何と言うか、不思議な服です。服のプレートアーマーと言えばいいのでしょうか?」


 「意外に体を捻ったりなんかしても違和感が少ないのよ。捻れない訳でも、曲げられない訳でもないし。革じゃなくて皮だからかしら」


 「ハードレザーは服には出来ないでしょう。これはソフトレザーですらない皮ですからね。なめしていないのでアレですが、代わりに柔らかくて動きに制限をあまり受けません」


 「それでこの防御力と魔法防御力なら十分ね。普段は着たりはしないけど、戦闘となると頼りにはなりそう。この上から鎧を着けたりする訳だし」


 「ですね。ウェルズベアーの皮というのも、思っていたよりは優秀なのかもしれません。天使の星には魔力抵抗の高い熊の魔物なんて、何処を探しても居ませんから。……多分ですけど」


 「多分なんだね?」


 「私も全てのダンジョンを知っている訳ではありませんからね。もしかしたらダンジョンには出現するかもしれません。少なくとも天然では存在しませんね。それは確実です」


 「まあ、とにかく作り終わったんで、【生命力操作】の練習をお願いしたいんだけど?」


 「分かりました。訓練場に行きましょう」



 そうして2人と一緒に訓練場に行ったんだけど、セナがライダースーツを見て五月蝿かった。自分もあっちの方が良いと言い出したので、明日ウェルズベアーの毛皮をゲットしてからだと言っておく。


 何というか、今よりも更に「考えるな、感じろ……」っていう人に近付くけど、いいのかなぁ……。まあ本人が望んでるんだから、僕が気にするのは止めよう。


 キャスティのお手本を真似つつ【生命力操作】を練習した僕は、満足して囲炉裏部屋に戻りログアウトする。明日はナツ、イル、ユウヤのログイン日だ。素材集めからだけど、物作りもする事になるだろうなぁ。


 そろそろログアウトしよう。本日はここまで。



 ―――――――――――――――


 召喚モンスター:セナが【器用な指先】を習得しました


 召喚モンスター:シグマが【器用な指先】を習得しました


 召喚モンスター:セスが【器用な指先】を習得しました


 召喚モンスター:エストが【光魔法】を習得しました

 召喚モンスター:エストの【精密魔力感知】がランクアップし【精密魔力感知・下級】になりました

 召喚モンスター:エストの【精密魔力操作】がランクアップし【精密魔力操作・下級】になりました


 ―――――――――――――――


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