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0329・とある双子と一般人の違い




 2000年 10月24日 火曜日



 本日も元気にログインだ。今日やるべき事は、いつも通りの素材集めとダンジョン攻略。ただし運営ダンジョンの攻略だ。あそこも40階が限界だとしても、後10階層も先がある。


 特に落ちる危険性の高い場所だから注意して攻略しなきゃいけない。落ちてみようかと思っていたけど、結局試す事は無かった。今はそれで良かったのかもしれないと思っている。


 敢えて落ちるなんていう自殺行為をしなくても、エストに調べてもらえば何かあるかは分かるし、自分から落ちるって何か重大なデメリットがあるかもしれない。


 ログインし囲炉裏部屋に転移した僕は、プレイヤーマーケットから売り上げを回収する。ここ最近はコンスタントに安い物が売れているが、もうそろそろ石木製の武器は卒業かな?。


 いや、僕も長く使ってたし、お金が無い人は貯める為にも使うか。もうちょっと流して市場の動向を確認しておこう。キャスティの野菜はいつでも需要があるから問題無い。何より品質が高いし。


 ラスティアとキャスティに声を掛けた後で、師匠の家のソファー部屋へと飛ぶ。今日はトモエと僕しか居ないので自由行動だ。素材を全力で回収してこなくちゃいけないし。



 「んー……私も一緒について行くから、スライムの抜け殻とか銅とか鉄とか買う? 私としては色々とお金が掛かるから、買ってくれるなら掘りに行っても良いのよね」


 「あー、売ってくれるなら買うかな。今のところ必要なのは銅と鉄、スライムの抜け殻と牙や爪だね。ただし魔力の篭もってる牙や爪じゃないといけないから、スマッシュタイガーとかフリーズベアぐらいのが要るんだけど」


 「まあ、手に入ったら出しておく。あんまり出る確率高くないけど、スマッシュタイガーの方はそれなりに出るか……。私的にはありがたいんだけど、フリーズベアは皮が多いのよね」


 「ウェルズベアーの爪や牙でも良いんだけど、あれはそもそも毛皮が足りてないしね。そっちの方が先だから、まだまだかなぁ……」



 ラスティアとキャスティにファルを呼び出し、いつも通りファルを朝食作りへと送り出す。ラスティアとキャスティは早速トモエとお喋りを開始したので、僕は掲示板などで情報を収集する。


 ある程度の時間が経つと呼ばれたので、食堂に行って朝食を済ませた。その後、豪雪山、バイゼル山、ウェズベア森を回り素材をゲットしていく。


 ウェズベア森ではドースに【ウィンドウォール】を使わせたが大失敗で、周り中に臭いが巻き散らかされてしまい、逆に酷い目に遭ってしまった。皆から睨まれるし、散々な結果だったよ。



 「とはいえ、風の壁で防げば臭いは来ないと思うでしょ、普通。それが、まさか撒き散らされる結果になるとは……。僕だって予想もしてなかったよ」


 「まあ、言いたい事は分からなくもないけど、そんな簡単な方法で済むなら断トツで嫌われたりしないでしょ。結局【クリーン】が一番優秀なのよ、【クリーン】が」


 「それはそれでレベルの低い魔法なんだけど、何で【クリーン】の魔法を使えば済むのに断トツで嫌われるんだろう」


 「失敗したら地獄だからじゃない?」



 まあ……それは、そっか。【ウィンドウォール】の失敗も地獄のような悪臭を撒き散らす結果になっただけだし。【クリーン】を使って臭いを消したけど、もう2度と使わせまいと心に誓ったね。


 それぐらいだったから、断トツで嫌われるのは当然か。しっかし、本当に臭いけど何故か木材には臭いが無いんだよね。アレはいったい何の臭いなんだろうか? ………考えなくてもいいか。答えが出ても意味無いし。


 師匠の家に戻ると、すぐにファルの拠点変更を行い昼食のお手伝いに。僕はマイルームへと戻って倉庫に素材を預け、トモエが優先権付きで売り出した素材を購入した。結構な量があるな。


 派手に散財する結果になったが、御蔭で結構な物が作れそうだ。今までお金は貯め込むだけだったし、たまには散財したって構わないだろう。


 再びソファーの部屋に戻ると、ちょうどトモエもマイルームから転移してきた。



 「いやー、売った私も私だけど、買うコトブキもコトブキよ。よくもあの量を全て買うお金を持ってるわねえ」


 「今まで殆ど使う事もなかったから、それだけ貯まってたんだよ。武器は自分で作るし、防具は少し前に買い変えたぐらいに買わなかったし、薬系は買わないしさ。お金を使うところが殆ど無い」


 「まあ、確かにね。私もポーション系って買ったりしないし、特に無くても戦っていけてる。そんなに魔法も大量に使う訳じゃないし、弱点っていうか、急所狙いで戦うから?」


 「でしょうね。コトブキは当然ですけど、トモエも結構な技量をしてますよ。実際には相当程度の腕前ですし、急所を正しくしっかり狙えるというのは、それだけで優秀なのですよ」


 「あんたもコトブキの姉だけあって、自分の事を正しく理解してないわよね。少なくとも、ある程度の腕前の暗殺者と同じくらいには、あんたの腕前も高いのよ? コトブキを基準にして狂ってない?」


 「………」



 なんで愕然とするのさ。後、僕が基準で狂うっておかしくない? 別に僕は変な基準を持ったりしてないよ。



 「コトブキが変なのではなく、コトブキを基準にすると狂うのです。そもそも貴方のやっている事の水準が高すぎるのですよ。ナツとイルとユウヤだって、普通の者に比べたら優秀なんですし」


 「そうそう。あんた達2人が異常なんだと自覚しなさい。1人は高水準で纏まっているハイスペックな女、もう1人は戦闘に関して<破滅>と肩を並べる程の異常者。あんた達は自分達を正しく理解するべきよ」


 「「………」」



 何だろう、あの師匠と同じぐらい異常だと言われると、思っていたよりもショックだな? 何故かは分からないけど、それは確かに異常だと分かるというか、納得できる。本当に何故なんだろう?。


 首を傾げながらもファルが呼びに来たので食堂に行く。ラスティアとキャスティが師匠に先ほどの話をすると、師匠は反論してきた。



 「何をバカな事を言うておるのか。妾のオリ、ゴホン! 妾はコトブキほどおかしくは無い。多少似ておるところは無いではないが、そこまでのものは妾でも持っておらぬわ」


 「私から見ても、どっちもどっちにしか思えませんが?」


 「そうよね? この師匠にして、この弟子ありって感じ。知ってる奴なら、誰に聞いても同じ事を言うでしょうね」


 「そのような事は断じて無い。妾は容赦が無いだけであって、戦闘狂ではないわ!」



 それは裏を返せば、僕が戦闘狂という事になるんですが? そもそもプレイヤーはゲームをしている訳で、戦闘狂になるのは一種、当たり前の事なんだよね。それを言う訳にはいかないけど、ちょっと納得できない。


 幾らNPCとはいえ、様々な敵を<破滅>させてきたっていう師匠に言われたくはないね。自分が<破滅の魔女>なのを忘れてるんじゃないだろうか。



 「コトブキも不服そうですが、貴方も同じですよ? 本当に自覚しなさい。体力という意味ではなく、精神的におかしいのです。当たり前のように戦闘行為をし、自然に急所を狙って戦うなど」


 「容赦が無いのもあるけど、それ以上に自然なのよね。何の思考もなく、無造作に急所を攻撃するし、それが当たり前だと思ってるもの。普通はドン引きされるわよ? 一定レベル以上の者なら理解もするけど」



 分かる人には分かるなら、それで良い気もするけどね? 別に誰にでも分かってほしいとは思ってないし。無駄に戦闘時間を掛けても良い事なんて何一つ無い。


 それが戦闘ってものだしね。


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