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0324・ヒーロー?




 僕達が危惧していたのと違い、割とスムーズにダンジョン内に入っていってるようだ。妙な揉め事も無いみたいだし助かる。稀人が全員揉め事を起こすような奴だとは思われたくないしね。おそらく買い物をしている者が多いのだろう、


 僕達の番が来たので36階を選択しようとして出来なかった。何故ならエストが居たからだ。慌てて僕達は横に移動し、マイルームに飛んでエストを呼ぶ。ゴメンだけど今日はお留守番ね。


 再び戻ってきた僕は、エストが攻略していない事を説明すると、皆は一斉に理解してくれた。



 「コトブキとかトモエはそれが面倒臭いよなー。新しい仲間が出来たら必ず1からスタートさせなきゃいけないし」


 「でも、それが無くなったら、テイマーとかサマナー? に有利すぎって怒る人が出てくると思う。だから仕方ないんじゃないかな?」


 「悪魔を召喚する人じゃない、だからサモナー。それは横に置いておくけど、仲間込みのテイマーやサモナーだし、仲間枠はちゃんと消費してるから問題ないと思う」


 「確かにね。プレイヤー8人か、プレイヤー1人とモンスター7人。その違いだし、枠はキッチリ消費してるもの。運営ダンジョンについては卑怯と言われるかもしれないけど、その分の難易度は上がってるしねえ」


 「そろそろ順番が来たから行こうか。ゴメンね、僕の所為でちょっと遅くなったけど」


 「気にすんなよ。別に大した待ち時間でもないし、特にイラつく事も無かったしな」



 全員で36階に飛び、そこからダンジョン攻略を再開する。久しぶりのハイフォレストチキンの階だけど、やるべき事は1つ。先手必勝で闘気バインドを喰らわせることだ。それしか上手く突破する方法は無い。


 【精密魔力感知・下級】【練気感知・下級】【精神感知】を使い、徹底的に敵の反応を見逃さないようにして進んで行く。敵の反応があれば止まり、先制して闘気バインドを食らわせ、どんな敵であっても一撃で倒す。


 それを繰り返して進み、37階へ。この階層もやる事は変わらない、先制で喰らわせていくだけだ。そうやってウロウロしつつ、次の階への階段を探す。


 慎重に且つ一気に進んで行き、ようやく辿り着いた40階。随分と長かった気がする。大人数なので、とにかく見つからないようにしつつも先制攻撃で倒していく。皆が緊張しながら周囲の警戒をする。


 何だか別のゲームをやっている気分にもなったけど、ようやくボス戦の前の休憩ゾーンにやって来れた。何だかんだと言って素材も得られたし、【昏睡眠】での回復も終わったので起きよう。



 「そろそろボス戦に行こうと思うんだけど、準備は大丈夫?」


 「予備の武器も持ってるし、予備の盾も持ってる。帰ったら本格的にコトブキに作って貰うしかねえけど、この1戦ぐらいなら保つだろ。多分」


 「私の方は特に問題ない。弓を使う気だし、強いて言えば新しい弓を作ってもらうか、矢の量産を手伝ってもらうくらい」


 「私は作ってもらったところだから、簡単に壊れたりはしないよ。だから問題なし」


 「私の方も特に問題ないと思う。リナの装備とリーダの装備だけど……まあ、いけるでしょ」


 「僕の方は問題なし。武器の素材に関しては、同じ物を作るなら十分にストックがあるから大丈夫。……じゃあ、そろそろ行こうか」



 そう言って全員立ち上がり、40階のボス戦へと挑む。中に入り、地面に魔法陣が現れて輝くと、大きな鶏が現れた。どう見ても完全無欠にブロイラーなんだけど……どういう事?。



 ―――――――――――――――


 <ブレイブ・ブロイラー> ボス Lv58


 鶏系ヒーローの1匹。ブレイブキックと、嘴を使うブレイブピアースを必殺技としている。普段は唯のブロイラーのフリをしているが、一度ピンチに出くわせばヒーローに変身し、悪を打ち倒す勇気の戦士として立ち上がる


 ―――――――――――――――



 「いや、そんな事を言われても知らないよ! そもそも体高3メートルの鶏って何さ!?」


 「……あぁ、鑑定したら俺も出たわ。何だよ鶏系ヒーローって? 意味分かんねえ。コイツ! って危ねえ!? こいつ思っている以上に素早く突いてくるぞ!! 気を付けろ!!」


 「鶏系なんだから嘴での突っつきが速いのは当然。むしろ遅い方がおかしい。鶏の蹴りも強力だし、タンクは流して防ぐのを基本にした方が良い。それと体重も重いからし掛かりに注意」


 「あんなのにし掛かられたら、ぺちゃんこになっちゃうよ。すっごく重そうだし近寄りたくないね」


 「私達は魔法で攻撃するけど、リナとリーダは気を付けるようにして。流すか回避するのが基本で、決して前に出すぎないように!」


 「こっちもそれは変わらないよ。シグマは十分に注意して、セスは後ろで魔法を連打。他の皆もそれは変わらず、近付くものは減らすよ。じゃないとタンクの邪魔になる」



 ボスが1体という事もあり、盾を持つ者が全員で囲むと邪魔にしかならない。なので近接戦闘メインの者に限定するんだけど、思っている以上にボスが厄介だ。


 とにかく動き回るのだが、その度にドスンドスンと地面から音が鳴っている。あれだけの音がする以上、し掛かりは致命的な一撃になりかねない。なので接近しすぎないように何度も注意する。


 僕は【ダークジャベリン】を、他の皆も思い思いの魔法を撃ちこんでいくが、そう簡単には動きを止めてくれない。


 少しでも動きが止まるなら効いていると思えるんだけど、まったく動きが止まらないので効いていないんじゃないかと思えてくる。それでも繰り返し攻撃し続けると、段々と動きの速さが落ちてきた。


 しかしその時、鶏の足が光ったので慌てて前衛が下がろうとするも、凄い速さで蹴りを放ってきた。おそらくあれが【ブレイブキック】なのだろうが、シグマの盾と斧が一撃で破壊されてしまった。


 それでもシグマ自身は後ろに跳んで逃げたので無事だったが、跳び上がった後に何発か連続で蹴られていたので、相当程度の威力と連打を受けてしまうスキルだ。あれは受けちゃいけない。



 「もう1つ【ブレイブピアース】とかいう嘴攻撃もあるから注意! とにかく敵の足か嘴が光ったら逃げるんだ!!」



 全員が緊張感を高めて慎重に攻撃をしていく。必殺技の威力がシャレにならないので、シグマは後ろで見ている事しか出来なくなった。まだ鉈は残っているけど、盾が無いので参戦させられない。


 シグマには可哀想だが、それでも戦闘不能となるよりはマシだ。皆と共に魔法攻撃を重ねていると、今度は嘴が光った。すぐに直線上から退避したが、その御蔭で全員が殆どダメージを受けずに済んだ。


 【ブレイブピアース】というスキルは、クチバシを前方に突き出しての突撃であり、真っ直ぐに突っ込んでくる大技だった。あんなもの喰らったら、轢き殺されるのは確定だろう。


 敵陣をピアースするという意味の必殺技だろうか? とにかくヒーローが必殺技を持つのは当たり前だけど、厄介に過ぎる。本当に勘弁してもらいたい。


 ある程度の距離を進んでから止まり、こっちを向こうとしているボスに対し、すぐさま僕達も陣形を整える。そして何度も魔法を叩き込み続け、最後は再び【ブレイブピアース】を使われたものの勝利した。


 それにしても初めて出てきたヒーローだけど、異常なまでに強いので勘弁してほしい。流石にソロで攻略するのは無理だと言わざるを得ない。それとも人数が多い分、強化されてるんだろうか?。


 その可能性もありそうだけど、おかしなボスが出る人数じゃなければ、そこまで強化されたりはしない筈。


 それとも今回のアップデートで変わったのかな?。


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