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0323・臭い対策




 「………どうするよ、コトブキ?」


 「いや、どうするって言われても、今行けば臭いのが確定してるんだけど? しかも2人分しか聞こえなかったって事は、相変わらずトモエは<泡のネックレス>を使ってるんだね」


 「まあ、あるなら使うだろ。あんな<オーク玉>さえ防げる超優良防具、使わない方がどうかしてる。それよりにおいを防ぐ物なんて用意してなかったぞ、どうするんだ?」


 「昨日戦った時には【クリーン】を使いながら戦ってたんだ。【クリーン】は使った後も効果がちょっと残るんだけど、魔力を多く篭めればその時間を延長出来る。その間にボコボコにすればにおい無しで倒せるよ」


 「………先に教えなかったのはワザとか? 絶対に2人から問い詰められるぞ?」


 「いや、僕程度でもあっさり閃いたんだし、普通は分かるでしょ。特にナツは神官だよ?」


 「その言い訳が通用するといいな?」


 「………」



 ま、まあ。ウダウダしてても仕方ないから行こうか。しっかし気付くと思うし、皆で一緒に戦ってた時にも【クリーン】で臭いにおいを解除してたから覚えてると思うんだけどなぁ。


 3人の近くまで行き、吐き気を催している2人に【クリーン】を使う。すると即座ににおいが消えたのか、2人は安堵した顔をしながら話し掛けてきた。



 「コトブキ君、助かったよ。ありがとう! 本当に鼻が死んじゃうかと思った、臭すぎて!」


 「それはそうだけど、ナツは神官なんだから、さっさと【クリーン】を使ってほしかった。何で一緒になって吐きそうになってるのか分からない」


 「そんな事言ったって臭いものは臭いんだよ。あんな臭いのが鼻に来たら、魔法なんて使えなくて当然! むしろトモエが使うべきでしょ!!」


 「まあ、言いたい事は分かるけど、私はまだ【クリーン】使えないし、使えるのはナツだけなんだから頑張ってよ。【浄化魔法】も頑張って使ってるんだけどね、すぐには上がらないわ。使うの忘れてる事もあるし」


 「あー、んー……【クリーン】ってさ、使った後も少しの間は効果が残るんだよ」


 「? ……それがどうかしたの?」


 「いや、だからさ。魔力を多めに篭めれば効果は延長されるから、グリーントレントに使って、効果がある内に倒せば臭くないんだよ。毒は防げないんだけどね」


 「「!!!」」



 その後、理不尽にも長い間怒られた。そもそも神官であるナツが魔法の効果を理解していれば僕より先に気付く筈だし、僕よりも効果が高いんだから上手くいった筈なんだよね。


 他の職業が使うより、神官が使った方が【浄化魔法】の効果は強い。これは明らかな違いがあるくらい違うらしいので、おそらく職業補正だろうと掲示板に書かれていた。


 魔法使いも他の職業より補正値は高いんだろうけど、魔法全体の可能性が高く、それ故に個々の魔法に対する補正は抑えられているんじゃないか? とも書かれていた。何だか不憫な気もしないでもないね。


 ある程度文句を言ってスッキリしたらしく、その後は順調にグリーントレントを倒していく。【クリーン】の魔法を絶やさなければにおいにやられる事もないので、絶やさないようにナツが頑張っている、過剰なくらい。



 「少しでも漏れてきたら困るでしょ! だから効果が無くなる前に使ってるの!」


 「そもそも上手く行かなかったのはナツのメイスが壊れたから。途端に攻撃力が低下して臭いにおいを浴びる羽目になった。最初からトモエの支配モンスターに任せていれば良かったと思う」


 「言いたい事は分からなくもないけど、うちの子達だって臭いのはイヤよ?」


 「ソウデス」 「メェ」 「ニャ!」 「グォ!」 「クア」


 「むう……」


 「まあ、今は臭くないんだから良いだろう。それよりもグリーントレントを倒して素材をゲットしとこうぜ? それにウェルズベアーの毛皮もな」


 「僕はジャケットとズボンに加工したんだけど、錬金術師か皮革師じゃないと、魔力抵抗を残したまま加工出来ないんだってさ。実際、説明文に書かれてたし、魔法防御力12って出たよ」


 「魔法防御力かぁ……服に魔法防御力が付くって優秀だな。鎧やらが変わっても、服の方である程度は防いでくれるみたいだし、魔法は絶対喰らうタイプが幾つかあるからな」


 「ウェーブ系魔法ね。あれ系って貫通しながら広がるから厄介なのよねえ、代わりにボム系は威力が高いんだけど」


 「でも潰せるだけマシ。ウェーブ系は潰せないから、コトブキがやっていたようにウェーブ系で相殺するしかない。相手の魔法の威力が高いと、殆ど効果が無かった」


 「あれは仕方ないだろ。相手のは【ウィンドウェーブ】じゃなくて【ストームウェーブ】とか言ってたしな。明らかに中級か上級の魔法だろうし、あれを下級で相殺は無理があるぞ」


 「あんた達、余裕ねえ……。魔法は絶やさないようにしてよ? 臭いにおいを嗅ぐなんて御免なんだから」


 「大丈夫ではないですか? 割とコトブキがフォローしているみたいですし」


 「それが既に駄目な気もするけどね」



 それでも結果として、臭い目に遭わずに狩りを続ける事は出来た。グリーントレウッドやウェルズベアーの毛皮を手に入れて戻り、ファルを呼び出して昼食を頼む。


 既に昼に近い時間なのでナツのメイスを作る事しか出来なかったものの、それは渡す事が出来た。昼食の席で午後からどうするかという話になり、午後は全員でダンジョンを突破する事に決まる。


 あの地獄の階層が突破出来ていないので仕方ない。出来ればフォレストチキンの階層はそろそろ抜けておかないと、後々まで回しても面倒臭いだけだ。あんまり行く気にもならないし。


 昼食が終わるとマイルームへと移動し、ファルの拠点を変更しておいてログアウト。リアルに戻る。


 リアルでの昼食と雑事を終えたら再びログイン。今度はスカルモンド地方のダンジョンへと行く。これも久しぶりだが、第4陣加入後は行った事がない。


 師匠の家の前でユウヤと合流し、ダンジョンまで歩いていく。たまには長閑な景色でも……そう思っていた時期が僕にもありました。プレイヤーが戦闘しているのをよく見るというか、今までより頻度が格段に多い。


 ブラッディアってアンデッドの国だから、初期地点には選ばれ難いとか掲示板に書いてあったのに……思ってるより多くないかな? もしかして他の国はもっと多い?。


 ダンジョンに行くまでにも結構目撃したんだけど、その多くが吸血鬼だったような? スケルトンとかゾンビの人は数える程しか見なかった。とはいえ僕は、吸血鬼ってそこまで優秀だとは思えない。


 流石に弱体化が入ってるというか、天使の星だと弱まる気がしてる。ここは悪魔の星だから薄暗くて問題は無いんだろうけど、天使の星との戦争の際に果たして役に立つのか? とか色々考えられるし。



 「アマロも言ってたけど、そこまで吸血鬼で有利って事もないらしいわね。とどのつまり結局はアンデッドだし、瘴気の影響は受けるそうだから浄化しなきゃいけないし、【血式魔法】は使い勝手が良くないんだって」


 「たしか、物凄く感覚に左右される魔法? だって言ってた。だからセンスが無いと多分使い熟せないタイプ。能力としては悪くないけど、そこまで魅力があるかと言うと難しい」


 「他にもリザードマンとかフロッグマンとか追加されてたらしいよ。熊とか虎とかは天使の星だって。悪魔の星ってマニアックなの多い?」


 「そろそろダンジョン街だって言いたかったんだが、何だあの人の多さは? 今までとは比べ物にならないほど多いぞ。これが8万人増えた効果か?」



 本当に多いね。これは予想外だったよ。ダンジョンに入るまでに時間掛かりそう。


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― 新着の感想 ―
分散していないならダンジョン内部も混んでて横取りトラブル頻発してそう
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