0322・素材回収中
ログインして囲炉裏部屋。プレイヤーマーケットの売り上げを倉庫に入れ、倉庫の中の売り物をプレイヤーマーケットに流す。昨日出しておいた氷熊のジャケットなどは売れたようだ。
需要はあると思ったけど、防御力の割には値段が高いから3陣や4陣は買ってないと思う。お金に余裕のある1陣……かなぁ。
ラスティアとキャスティに話し掛けて挨拶し、僕はソファーの部屋に飛ぶ。転移して最初に見たのは、女性4人の姦しい姿だった。今日はアマロさんもログインしているようだ。
「おはようございます。最近はログインされてなかったのですか? お会いする事もありませんでしたけど……」
「おはよう。いや、僕は夕方からは殆どログインしないから居ないよ? 朝から夕方までだね、いつも居るのは」
「おはよう。コトブキは授業の殆どを既に終わらせてる。ゲームの為に1学期の時間の大半を授業に充てたような人間。その御蔭で朝からゲーム三昧」
「おはよう。イルの言い方は流石に酷いけど、分からなくもないよ。とはいえ私達だって一気に終わらせる為に頑張ってるんだけどね。残りは三分の一を既に切ってるし」
「そこまで進んだの? 私も殆ど終わりまで来たから、今日から連続ログインを再開するけどね。コトブキ程じゃないとはいえ、早めに終わらせておいて良かったわよ」
「裏切り者がここに居る。まさかそこまで終わってるなんて……! と言いつつ、私も後少しで終わりが近い」
「えっ!? ちょっと待って、私が一番遅いの? 何で!?」
「効率の問題。授業は聞かなきゃいけないけど、要点さえ覚えておけばいい。更に睡眠時間を削ってやれば、その分進むのは当たり前。勉強は効率よくやればそこまで難しくない」
「イルの場合は高い集中力もあるんだろうけどね。弓道経験者は違うって事でしょ。精神統一とか色々しなきゃならないらしいし」
「むー……」
ナツは納得いってないらしいけど、おそらくユウヤが一番遅いと思うよ? ユウヤの場合テストでしくじって余計に時間が掛かってると思うんだよね。っと、今のうちにファルと2人を呼び出しておこう。
……ファルには朝食を頼んだんだけど、女性が2人追加されて更に姦しくなった。それが良いか悪いかは別にして、僕が入る隙間が無くなったのは却って良かったよ。あのパワーにはついていけない。
適当に掲示板を見ているとファルが来たので、食堂に行って朝食を食べる。その席でアマロさんは色々師匠からアドバイスを受けてたけど、僕はそこまでのアドバイスを受けなかったなーと思う。
おそらくは早くに模倣してしまったから、教える必要がなかったんだろうね。それはともかく、朝食が終わったらユウヤと合流して豪雪山に行かないと。皆はどうするんだろう?。
「いつも通りに行くよ? ……ああ、経験値が低くなってレベルが上がりにくくなったからなんだね。別に気にしなくていいよ? 良い値段で売れるし、スキルも使わなくちゃいけないし」
トモエもイルも同じ意見だったので、皆で豪雪山へと行く事に。途中でユウヤと合流し、豪雪山で戦いつつ昨日の話しをする。
「魔銅の品質8? 十分じゃねえかと思うけど、錬金術師なら10が出せるからなあ。コトブキの言いたい事も分からなくはない。品質10が出せると言われておきながら、8で止まるのは悔しいよな」
「ユウヤの場合は、作った武具で品質10が出ないといけないんだけどね。僕はそっちの方がキツいと思うけども」
「それを言ってくれるなよ。マジで今から憂鬱なんだからさ。武具の依頼も来るかもしれないし、俺が作らないと最高品質にならないかもしれない。金属を作る側も大変だろうけど、加工する側も大変だよ」
「とりあえず作った魔銅を後で渡すから、適当に何か作ってよ」
「適当って……それこそ適当だろうよ。せめて作る物はそっちで決めてもらわなきゃ困るぜ」
「うーん……じゃあ、鍋とか? あと玉子焼き用のフライパンとかって銅で出来ているイメージあるから、それ系で」
「魔銅使って作る物がそれかよ。別にいいけど、ある意味で予想外だわ。包丁とかも……と思ったけど、それは魔鉄で作るべきか? ビックリするほど贅沢だなぁ、おい」
「ユウヤの練習にもなるんだから、気にしない、気にしない」
「それは、そうだけどさぁ……」
若干納得いってなさそうなユウヤの意見も捨てておき、僕は目の前のアイストレントを【闘刃】で貫いた。それを最後に槍は壊れてしまい、遂に役目を終える。
ここ最近、正騎士と戦ったりとか色々あったから保たなかったかぁ。六角棒の方を取り出して持ち、感触を確かめる。問題ない事も確認したし、洞窟の方へと戻ろう。
「最近も色んな奴等と戦ってたからなぁ。そろそろガタが来てるかも。俺の棍棒も結構ヤバめだし、早めにコトブキに作っておいてもらうか」
「私の武器も結構ヤバめだからお願いね。前に作ってもらわなきゃって思ってて忘れてた。ギリギリまで待ってたら壊れて武器が無くなるよ。それに盾の方も結構厳しい」
「思っているより正騎士が強かったかったから仕方ない。ハイクラスの他にグレータークラスも混じってた。国の正騎士があのレベルなら、戦争に関わっても役に立てないかも……」
「戦争自体が起きてないからアレだけど、戦争って真正面から戦うだけじゃないからねえ。荷物というか食料を運んだり、敵国内に侵入してそれを妨害したりと、戦争中は色々なのが入り乱れるのよ」
「ですね。なので簡単にどうこうとはなりません。お互いに搦め手を使いますし、それで終わる場合もあります。正騎士は抑止力に近い部分がありますから……」
「睨み合いをさせる為の正騎士って感じか。お互いの国の正騎士が睨み合ってる後方で、別の奴等が自軍を有利にするべく色々やってる訳だ」
「それが戦争というものです。実際にぶつかれば多くの正騎士が死にますが、それも無く戦争が終わる事もあります。どちらの国にとっても、正騎士は育てるまでに時間が掛かりますし」
「使うなら傭兵とか冒険者とか、失っても国にとっては痛手にならない連中よ。その連中もお金を稼ぐ為に参加してるんだから、死んでも自己責任ってヤツで終わるわ」
「まあ、自分から参加してるんだから仕方ないよ。死ぬのが嫌なら参加しなきゃいいんだし」
素材も採り終わったので僕達は戻っていく。僕はこの後でバイゼル山へファルとシグマを連れて行くんだけど、皆はどうする? そう聞くと、皆は悩んでいた。
僕はバイゼル山が終わったらウェズベア森に行く事を伝えると、トモエ、ナツ、イルの三人は先にウェズベア森に行くそうだ。ユウヤは僕と同じく金属掘りだね。
そんな感じで分かれる事になったので、僕は師匠の家に戻り、ドースとファルを交代させ、3人で鉱石掘りに向かう。バイゼル山でユウヤと合流し、3ヶ所を回って銅や鉄を手に入れてきた。
戻ってマイルームに行き、倉庫に全て預けたらファルとドースを交代。ウェズベア森に出発する。転移魔法陣の前で待っているとユウヤが来たので、もう1つの転移魔法陣でウェズベア森へと転移。
【精密魔力感知・下級】や【練気感知・下級】に【精神感知】を使って調べると、人間らしい3人の反応を感知。見つけたのでユウヤに言い、一緒にトモエ達の方へと向かう。
その時、遠くから「「オェェエェーッ!!」」という声が聞こえてきて、思わずユウヤと顔を見合わせた。
この場合、僕達はどうするべきなんだろうか?。




