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0321・魔力金属の作成




 まずは昨日も作ったジャケットとズボンだけど、セナが五月蝿そうなのでセナの分から作っていく。その後、セスの分までは足りたがこれ以上は無理だった。それでも2人増えて4人分は確保できた。


 次に貰ってきた魔炭を板状にして床に置き、その上に精錬した銅と、フリーズベアの爪を【粉砕】した物と、アイススライムの抜け殻を置いて、ゆっくりと【合成】していく。していくのだが……。



 「いやいやいやいや。何なのさ、今の? 急に魔力の流れが「ギュン」って変わったんだけど? あんなジェットコースターみたいなのに対応しろと?」



 僕が魔力の流れを上手くコントロール出来なかったからだろう、あっさりと失敗した。失敗しても素材が残っているので助かるが、よくよく調べてみると品質が下がっている。まあ、失敗後の物だから当然だけども。


 何か納得できないものを感じつつも、大人しく再度チャレンジする。これで上手くいってほしいんだけど……。再び「ギュン」とする瞬間が訪れたので、その流れに沿うように【合成】の魔力を流す。


 これで正解だったのだろう。合成状態はゆっくりと続き……勘弁してよ。次は物凄く遅くなったんだけど? 何なのさ、コレは。ギュンって速くなったり、ビックリするほど遅くなったり。本当、何度も繰り返すしかないんだね。


 まだ素材は残っているので再度挑戦する。師匠も何度も行ってコツを掴むしかないって言ってたしね。



 ―――――――――――――――


 <金属> 魔銅 品質:1 レア度:4


 魔力金属の銅。魔力の流れがスムーズであり、更に魔力に対する耐性を持つ。闘気に対する耐性も多少持つが、魔鉄ほどではない。


 ―――――――――――――――



 「品質1……仕方ないけど、凹むなぁ。まだ素材はあるから、今度は一発成功を目指そう」



 再び魔炭の上に銅と、フリーズベアの爪と、アイススライムの抜け殻を置き、【合成】していく。先ほどの反応と何も変わらなかったので、今回は一発成功した。これなら品質は良い筈。



 ―――――――――――――――


 <金属> 魔銅 品質:7 レア度:4


 魔力金属の銅。魔力の流れがスムーズであり、更に魔力に対する耐性を持つ。闘気に対する耐性も多少持つが、魔鉄ほどではない。


 ―――――――――――――――



 「品質7か……一気に上がったのは良いんだけど、10には届かないんだね。フリーズベアの爪が8、アイススライムの抜け殻が7。この辺りが原因かなぁ。銅と魔炭の板は品質10だから除外できるし……」



 やはり最高品質を作るには、それぞれの素材の品質も高くなくちゃいけない。でも、爪や抜け殻の品質10なんて手に入るの? 僕としてはそこが疑問だ。そんな物が本当にあるんだろうか?。


 実際に魔物から手に入る物で品質10なんて見た事あったっけ? もし無いんだとすれば、どうやって品質10を作るんだろう?。


 とりあえず、なるべく上手くいくように【合成】の魔力と変化する魔力の流れをピッタリ合わせてみよう。そういう事でしか品質を上げるのは無理だと思うんだよね。ま、頑張ろう。



 ―――――――――――――――


 サブ職業:錬金術師・下級のレベルが上がりました

 サブ職業:錬金術師・下級のレベルが上がりました


 ―――――――――――――――



 「………うーん、思っているよりも上手くいってる気はするんだけど、何か違うような……」



 品質8は出せたんだけど、それ以上にならない。もちろん抜け殻が品質7だから、出来上がる魔銅の品質が8な時点で十分だとは思う。思うんだけど……魔力金属の品質10が出せるのは錬金術師だけ。


 という事は、少なくとも僕は品質10が出せる筈なんだ。それがなぁ……納得いかない。いったいどうやって品質10を出すんだろう? このままじゃ幾らやっても出そうに無い。


 ある程度の時間になっていたので物作りを止め、ソファーの部屋に行きファルを呼び出す。夕食の手伝いを任せて、僕はソファーの部屋で少しボーッとする事にした。


 どうやっても品質10が作れるヴィジョンが浮かばない。何というか、このまま続けていても頂点には届かない。何かそんな感じがする。感覚的な事だけど、何かが足りないような……。


 ファルが呼びに来るまで考えていたけど答えは出ず、マイルームのラスティアとキャスティに声を掛けてから、師匠の家に呼び出す。夕食の席で思い切って師匠に聞く事にした。



 「師匠。今日、魔力金属を作ってみたのですが……どうにも品質10が出そうにないんです。何か理由があるんでしょうか? このままやっていても品質10が出来なさそうな……何と言うか手応えがないんです」


 「さあ、のう。何とも言えんところだ。品質の低い素材を使って品質10は作れぬし、お主の腕がそこまで到達しておらぬとも言える。手応えが無いのもその所為であろう」


 「ああ、そういう事だったんですか。すみません。ありがとうございます」


 「いや、構わん。急ぐ気持ちは分からぬでもないし、稀人は成長が早いと聞くからのう。ただ、それでも根本的な腕が足りぬとどうしようもあるまい。むしろ品質8が作れただけ十分であろう」


 「まあ、魔銅の品質8って十分だと思うわよ。鉄の方はどうしたのか知らないけど」


 「魔鉄は作ってないね。爪とかの素材とスライムの抜け殻が心許ないからさ。アレらの素材が必要だなんて知らなかったから、今までは売っちゃってたし。その所為で多くは無いんだよ」


 「それなら仕方ありません。1つ1つ丁寧に作っていくしかないでしょうが、何処かで大きく稼いでおきたいところですね?」


 「そうだけど、スライムが出てくる場所なんてあまり知らないし、魔力金属の高品質が作れる抜け殻となると……弱いスライムじゃ駄目だと思うんだよね」


 「そうじゃの。アレらの素材は魔力が多く篭もっている物ほど良い。そしてそれは強いスライムほど顕著となる。まあ、ゆっくりと探せばよいであろう」



 夕食後、ソファーの部屋からマイルームへと戻り、全員を呼び戻したらログアウト。リアルへと戻る。今日はここまでで終わり。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 2000年 10月23日 月曜日 AM8:24



 昨日、学校で体育祭があったらしい。内容は今日からVRで見れるけど、僕は特に興味もないので見ない。昔は学校の全員で参加だったらしいけど、順位を争うなんてけしからん、イジメの原因になる! 等という指導が昔、各学校にあったらしい。


 バカバカしいとは思うけど、上から言われたら逆らえぬと一律でそうなったんだって。その後、学校はVR授業が当たり前になり、スポーツ自体、得意な人しかしなくなった。その状態だと問題無いらしく、今では順位を競っている。


 まあ、彼らからすれば将来に関わる事だから、そりゃ上の順位を目指すだろうね。更に今ではVRでトップアスリートから指導を受けるなんて当たり前だし、そういうスポーツ専用授業もある。


 それでも外国選手との差は埋まらないんだから、アスリートの世界って大変だと思う。VRで練習してリアルでも練習し、体をイジメぬいては体を作る為に食べる。何が彼らをあそこまで駆り立てるのか、僕には本当に分からない。


 僕には縁遠いから横に置いといて、今日は皆がログインする日だけど、どうしようかな? 午前はともかく、午後から何処へ行くのかを考えておかないといけない。とはいえ……。


 スカルモンド地方のダンジョンかな? それとも自由行動か? どっちかは悩むところだけど、それは皆と相談すればいいか。とりあえず悩んでないで、さっさとログインしよう。


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