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0317・裁き?




 随分と敵の数が減ってきた。あれからも順調に敵の首を刎ねているからだろう。ここまでしないと回復されて戦線に復帰されるんだから始末に負えない。高位の【回復魔法】って相当厄介だ。


 今回はそれが分かっただけ良かったとも言えるけど、騎士達の実力が高い所為か、相当の魔力や闘気を篭めないと切り裂けないし貫けない。実際、僕の武器もそうだけど、皆の武器にもかなりの負担が掛かっている。


 このままだと、いつ壊れてもおかしくないんだけど……残りは後7人。この辺りで一気に崩したいところだ。



 「セロンヴラドの正騎士達がここまでやられるとは、予想以上に強かったようですね。見縊っていましたよ。流石に見せたくはなかったのですが、本気で行くしかないようだ。【グランドボム】」



 執事長はそう言うと、大きな岩の塊が現れ僕達に真っ直ぐ飛んできた。慌ててユウヤ、シグマ、リーダが盾で防ぐも、3人とも吹き飛ばされてしまう。そのうえ周りに石の塊が飛び散り、僕達まで大きな傷を受けてしまった。


 攻撃魔法が使えたのに意図的に【回復魔法】しか使わなったみたいだ。再び【グランドボム】を使ってきたので、慌てて【ダークジャベリン】を放ち、こちらに来るまでに潰す。


 すると、その爆発の余波を受け、敵の騎士達が結構なダメージを受けた。



 「やはり対応しますか。だからこそ初めから使わなかったのですが、仕方ありません。こちらにしましょう、【ストームウェーブ】」


 「!? 【ダークウェーブ】!!」



 ウェーブ系魔法だったうえに速い所為で殆ど相殺できなかったけど、それでも多少は威力を減らす事が出来た。それでもかなりのダメージを受けたけど、今だ誰も死んではいない。そして、そんな隙を見逃す僕らじゃない。



 「グォッ!? ガッ、やってくれる!!」



 ウェーブ系魔法を使う以上、味方に当たるようには使えない。当然ながら騎士が散開するか、騎士より前に出なければ巻き込んでしまう。執事長は一時的に前に出てたんだけど、その隙を見逃さずイルが矢を当ててくれた。


 毒矢なんかは持ってないけど、それでもこれで相手の魔法を止める事は出来るだろう。【回復魔法】を持つキャスティやナツが回復して回ってくれてるけど、もう少し時間が掛かる。盾も壊されてるし、このままだとジリ貧に陥るかも。


 そんな事を考えていると、執事長の向こう側、つまり森側から複数の反応がやってくるのが分かった。この状態で敵の増援? 勘弁してよ。


 そのまま構えていると音が近付いて来て、その姿が視認出来るようになった。しかし、何故こんなところに領主が来るんだか。もしかしてセロンヴラドの領主が<闇の花>のトップなのかな。違うとは思うんだけど……。



 「双方剣を引け!! この場はヴィッシュ・セロン・ドラコが預かる! 双方剣を引け!!」



 その声で騎士達も剣を仕舞ったので、僕達も一応は槍を立てる。しかし中立と決まった訳でもない。領主が執事長と同じ勢力だった場合、僕達は不利な立場に追いやられるからね。いつでも戦えるようにしておかないと。


 後、召喚モンスター達も転移魔法陣に近づけておこう。出来れば向こうから見えないように、壁になる感じで立っててくれる? うん、そう。



 「いったいここで何故争っておる! そして何故騎士が死んでおるのだ!」


 「ご報告を。怪しい者達が徒党を組んでアルトラス山の方に移動しているという報告があり、家令のルードボーグ殿より調べて参れと言われここまで参りました」


 「ふむ。それで執事長のファルデスはここにおる訳か。……して、その方らは何故ここにおる。納得のいく説明が出来るのであろうな?」


 「女王陛下からの依頼だからですよ。アルトラス山を詳しく調べろという依頼を請けたので僕達はここに居るだけです。そもそも問答無用で攻撃してきたのは、そちらの執事長殿ですしね」


 「どうなのだ、ファルデス」


 「私めは誰何すいかいたしたのですが、この者らは何も言う事なく一方的に攻撃してきましたので、応戦した次第でございます」


 「ふむ。ファルデスとそなたらの意見は随分食い違っておるが?」


 「どちらかが嘘を付いているという事でしょう。それしかないと思いますが?」


 「そうか。では騎士達よ、こやつらを捕らえよ!」


 「「「「「「「「「「ハッ!」」」」」」」」」」


 「皆、構えろ! こいつらは種族主義の連中だ! 捕まったら絶対に碌な事にならないぞ!!」



 全員が武器を構える。執事長が後ろの方でニヤニヤしているが、そんな事は知った事じゃない。こいつらは他種族をナチュラルに見下すからね、ユウヤの言う通り碌な事にならない。


 構えた僕達と騎士達の双方がぶつかりかけたその時、いきなり大きな声が響き渡る。



 「双方控えい!!! 女王陛下の御前である! 双方控えよ!!!」



 僕達は慌てて地面に片膝をついて、それっぽく振舞う。っていうかマリアさんが何で居るのさ、絶対におかしいでしょ。もしかして僕達の戦闘を隠れて見てたんじゃ……。



 「さて、まず話しておかねばならぬ事がある。私は先ほどの戦いをずっと隠れて見守っていた。これがどういう事か分かるな? そのうえで問おう、そこなファルデスと申す者。そなたは何故ここに来た?」


 「私めがここに来ましたのは、怪しい者どもがカ、ルトラ、ス山に」



 マリアさんから執事長に対し、凄まじいプレッシャーが放たれている。そのプレッシャーが強すぎて、まともに話せなくなってるね。



 「先ほど言わなかったか? 戦闘を見ていた、と。そなたが問答無用で襲っておった事は知っている。何よりカルトラス山の調査依頼を出したのは私なのだ。お前は私を舐めているのか?」


 「い、いえ! 左様な事は決して! 決して!」


 「ならば事実だけを言え」



 マリアさんも怒ってるなぁ。怒ると口調が変わるって初めて知ったけど、別に知りたくはなかった。というか、これって茶番でしょ。時代劇のお白州みたいじゃん。



 「私めは、その……あの……」


 「そもそも私が最初に調査依頼を出したのは、伯爵の種族主義が目に余ると報告を受けたからだ。初日から私の依頼を請けた者に協力もせぬという失態を犯して呆れたがな」


 「そ、それは違います陛下。か「言い訳は要らぬ」れらが……」


 「報告など何重にも受けている、彼らだけが情報源だと思っているのか? 頭の悪い事を申すな。それよりもグリーントレントを増やし、何やら良からぬ事を企んでいたらしいな?」


 「うっ!?」


 「既に<闇の花>という組織の者など城で拷問を終えている。私が知らぬ筈あるまい。そのうえで、もう一度だけ聞いてやる。何故ここに来た?」


 「………昨夜、<闇の花>の研究員が捕まったと聞き、このままでは全てが明るみに出てしまうと思い、調査している者を亡き者にする為に参りました」


 「なっ!? ファルデス、貴様!!」


 「喚くな!! 元は貴様の失態であろうが! 下の者の悪事を知っていればこの様な事になどなっていない。同じ吸血鬼族というだけで疑わなかったのであろう?」


 「うっ、……そ、それは」


 「影よ、そこの者も城に連れて行け。そして徹底的に調べあげよ」


 「御意」



 影からいつもの人が出てきて執事長を捕縛、そして影に沈んでいった。それを見た伯爵は顔を引き攣らせている。親衛隊という狂信者を知っているからだろう。



 「ヴィッシュ・セロン・ドラコ伯爵。種族主義などという愚かなモノを振り翳していると、いつの間にか、そなたはそなたでなくなっているかもしれぬ。気を付けるようにな?」


 「ハッ!! 胆に銘じておきます!!」



 その返事を聞き、マリアさんは影に沈んで消えていった。余程怖ろしかったのか、伯爵の顔が真っ青になってるよ。


314話の誤字報告、ありがとうございました

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