0316・建物内の戦い
昼食を終えてログインした僕達はマイルームで準備を整える。フレンドコールをしようにも現在ログインしているのは僕とトモエだけだ。なので皆がログインするまでは、準備を整えたら待つ事しか出来ない。
囲炉裏部屋でラスティアやキャスティと話していると、イルからフレンドコールがあり、その後にナツとユウヤからも来た。全員が揃ったのでタイミングを合わせてカルトラス山へと転移。
僕達は建物の端に出現すると、すぐに行動を開始。【精密魔力感知・下級】【練気感知・下級】【精神感知】の3つを使用しつつ、素早く建物へと入る。入り口すら施錠されていなかったので至極あっさりと侵入できた。
そのまま中へと踏み込んで進むと、僕達の侵入に気づいたのだろう、敵が動き始めた。真っ直ぐに僕達の所に来ているので、向こうも感知系スキル持ちだというのが分かる。
曲がり角に敵が隠れているので、僕は【セイントバレット】を曲がるように撃つ。すると僕のイメージ通りに曲がり、隠れた敵に直撃した。敵は慌てて出てきたが、どう見てもチンピラという感じの風貌だ。
「くそっ、てめぇら何処の奴等だ! オレ達を<闇の花>と分かって攻めてきてんのか? あぁん?」
「おおー、マジもんのチンピラだなぁ。面白いものも見れたし、もういいぞ、おっさん」
「あん?」
ゴシャッ!! という音と共に頭蓋が潰れ、チンピラのおっさんは死んだ。意外……でも何でもないが、ユウヤも遠慮したりとかはしない。割と容赦ない一撃であっさりと終わらせたけど、やる時はやるのがユウヤでもある。
今は研究者っぽい奴か、組織の幹部っぽい奴を確保できればいいので、下っ端のチンピラとかは容赦なく殺す。どうせ活かしても邪魔しかしない連中だし、だったら殺してしまった方が早い。
僕達は敵を殺しつつ進んでいき、奥へと進んでいく。中には研究者っぽい奴とか居るかなと思ってたんだけど、実際には全くいないみたいだ。研究をしていたのは麓だけなんだろうか?。
それなりに色々な物を探りながら進んでいると、ようやく2階の奥にまで辿り着いた。ここまでに殺したのは11人で全員がチンピラだ。流石にこの奥には何かを知っている奴が居るだろう。
そう思ってシグマを先頭にして踏み込む。すると、部屋の奥から大量の魔法が飛んできた。シグマは盾を闘気強化しながら進んでいるからいいが、厄介な事をしてくれる。
「チッ! 碌に効いておらん、止めろ! ……お前らがワシの研究室に踏み込んできたバカ者どもか。研究棟を土足で荒らしおって。ワシの研究が完成した暁には、世界中の樹木をグリーントレントに変えられるのだぞ」
「何でそんな事すんだよ、唯の迷惑じゃねえか。色んな木があって色んな使われ方してるだろうに、グリーントレントだけだと自然じゃなくなるだろうが」
「何をバカな事を! 貴様らここまで来たのならばウェズベア森を見たろう? あそこには新たに薬草が生えておった筈だ。グリーントレントに任せれば、森は有用な物の宝庫となる。その素晴らしさに気がつかんとは」
「言いたい事は分からなくもないけど、そもそもグリーントレントが魔物。貴方がやろうとしてる事は、普通の森を魔物の巣にする事と同じ。その時点で自然ではなく、魔物を繁殖させてるだけ」
「だからどうした! 森に有用な植物が生えれば、それだけ多くの薬が作り出せるのだ! そうすればより多くの者の命が助かる。それに代えられる物など無いわ!!」
再び魔法を撃ってくる研究者であろう4人。レベルが高いのか結構魔法を連射してくるが、僕達はそれを盾で押し込み、1人1人を引き摺り倒して枷を付ける。ここで使う枷は<弱体の枷>だ。
流石に<煉獄の枷>は色々マズいので、捕縛用の枷なら大丈夫だろう。そういう思いで着けていく。流石に4人をこのまま置いては行けないので、僕、シグマ、リーダ、ユウヤの4人で背負って外まで連れて行く。
外に居たドースに1人乗せ、ユウヤを先頭に帰り道を急ぐ。この連中をマリアさんというか親衛隊に渡すのが先だからね。魔物が出てきてもさっさと叩きのめし、僕達は足早に麓まで下りていく。
麓の建物に近付くと、20人以上の騎士達が待ち構えていた。いったい何だと思ったら、その後ろから出てきたのはモノクルを付けた人物。つまり執事長だった。
「全くもって面倒な事をしてくれますね。何の成果も無しとして、さっさと帰ればいいものを。いちいち余計な手間を掛けさせる。お前達、さっさと始末しろ」
「「「「「「「「「「ハッ!!」」」」」」」」」」
「成る程、お前が<闇の花>の正体か。とはいえ、そう簡単に俺達も負ける訳にはいかないんだよ!!」
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<ファルデス> NPC Lv26
種族:吸血鬼・優級
メイン職業:執事
サブ職業:算術師
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吸血鬼の優級って事はグレータークラスか。これはちょっとマズい気がするなぁ、エストにはコソっと師匠の所へ戻ってもらおう。もしかしたら師匠を応援で呼べるかもしれない。まあ来てくれる可能性は低いだろうけど。
僕はエストにコッソリ転移魔法陣で戻るように言い、先頭で戦ってるユウヤに加勢に行く。ユウヤは敵の騎士と戦っているけど、数が多い所為で防ぐのが精一杯らしい。僕はその横から出て【ダークウェーブ】を敵の騎士達に向けて放つ。
大して効いてないみたいだけど牽制にはなったらしく、動きが多少止まる。その間にセスが【サンダーウェブ】などを放ち、更に身動きし辛くしていくものの、執事長が治していく。地味に面倒臭い戦いになりそうだ。
隙を見て【魔刃】や【闘刃】を使うも、突きだと【ハイヒール】や【グレーターヒール】で回復されてしまう。まさかグレータークラスの【回復魔法】まで使えるとは思わなかったので、首を刎ねるしか数を減らせなくなってしまった。
膠着状態とはいってもギリギリだし、イルが弓矢で執事長を狙っているけど、やはり簡単には当たってくれない。何よりそっちにも騎士が居て守られている為、簡単には攻撃が届かないんだ。
僕も隙があれば首を刈るんだけど、1人が首を刎ねられてから連携をキッチリ行われていて、隙がなかなか見出せない。何といっても正規の騎士っぽくて、能力だけじゃなく連携も上手く、間違いなく今までで一番の騎士達だ。
その所為もあって……よし! 上手くいった! 【ダークジャベリン】の後に続いて【ダークウェーブ】を放ち硬直したところの首を刈ってやった。これで2人目。心理的には多少楽になったね。
「チッ! いつまでこの程度の奴等に掛かっているんです。さっさと始末しなさい」
「「「「「「「「「「ハッ!」」」」」」」」」」
相手も改めて本気で攻めてくるが、僕達は簡単には崩せない。そもそも簡単に崩せるなら僕達はとっくに殺されている。ここまで曲がりなりにも頑張ってこれてる以上、そう簡単には負けたりしないよ。
横のセスが【闘刃】で攻撃するも、向こうも闘気を使って強化した盾で防ぐ。その隙を狙って首を刎ねてやった。今までなら流していたのに、受けとめて防ぐなんてね。相手は思っている以上に焦っているのかもしれない。
ここは一気に畳み掛けたいところだ。そう思っていると、シグマがセナとの連携で首を刎ね飛ばした。こうなってくると、俄然こちらが有利になっていく。執事長の顔から余裕が無くなってきたのが、その証拠だ。
誠に申し訳ありませんが、これからは毎日1話更新となります。悪しからずご了承下さい。
代わりと言っては何ですが、新作として、前回とは違いエロを極力排した形で、ミクを復活させる事と致しました。
タイトルは「ミク ~喰らうもの~」となります。宜しければ御一読下さい。




