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0315・山の中の建物




 「あー、くっそ! 思いっきり目がやられちまったぜ。やっと回復してきたけどコトブキも気を付けろよ、割と素早く発動するぞ。ライトウルフを見てたら目の前に光の玉が出てきて炸裂するからな」


 「流石にユウヤみたいに一番前じゃないから、僕が受ける可能性は低いけどね。それでも可能性はあるから警戒してるよ。それに【精密魔力感知】で調べてるから、敵の魔力の高まりは分かるし」


 「ああ! そうすりゃ相手が魔法を使おうとしてるかが分かるのか! 今まで敵の居場所を調べるくらいにしか使ってなかったぜ」


 「それはどうなの? 不慣れな私でさえ使ってるのに、慣れてるユウヤが使ってないのは流石に駄目でしょ。しかもそれで気付かずに受けるって……」


 「お約束のように失敗するユウヤはいつもの事だから、私達からすればもう怒る事ですらない。ああ、またやったか……ていうぐらい?」


 「そうね。いつもの事すぎて気にもしないかな? ナツもそのうちに怒らなくなって、またやってる、くらいにしか思わなくなるわよ」


 「お前ら、幾らなんでも酷くないか!?」


 「そこまで失敗するユウヤが悪い。とにかく目の前の事に集中すると失敗する。いつも集中し過ぎないように言ってるのに、集中し過ぎて他がおざなりになって失敗。あまりにも、いつものパターン過ぎる」


 「うっ!?」


 「今まで何度も同じ事やってきたからねえ、この辺りで一旦深呼吸して落ち着こうか。集中し過ぎないと妙な失敗はしないんだから、集中しそうになったら意識を切り替えればいいのにね。他を見たりとか」


 「それが出来れば苦労はしないって……」



 そんな事を話しながらも程よくリラックス出来てきたらしいので、再び山を進んで行く。カラストル山はそこまで高い山でもないし、道がずっと続いているので進みやすい。


 別に誰かが道を作っている訳でもないのに、木々が無く歩いていける道になっている。そんな場所を進んでいると新たな魔物が姿を現した。



 ―――――――――――――――


 <水狐> 魔物 Lv37


 【水魔法】を使ってくる狐。噛みつきや爪などで病気を受ける可能性もあるので、魔法よりも物理攻撃を警戒しよう


 ―――――――――――――――



 「噛みつかれたりすると病気になる可能性があるから気を付けて! この魔物は遠距離で戦った方が良いかもしれない。もしくは一撃で倒すか」


 「言いたい事は分かるけど、普通の大きさの狐だから棍棒は当てにくいんだよなー。むしろコトブキの槍で何とかしてくれねーか?」


 「了解。……だけど、トモエはどうなの?」


 「んー………要らないかな? 流石に病気持ちっていうのがちょっとねえ。抱いてる時に噛まれたりしたらアウトじゃない? 後、狐って寄生虫のエキノコックスが問題だしさ。まあ、持ってないとは思うけど」


 「流石にエキノコックスは持ってないと思う。でも病気は確かに心配だし、捕まえない方が良い。見境なく捕まえるのは大きな問題」


 「流石に私も見境なく捕まえて、適当に放し飼いとかは無いわよ。捕まえた以上は責任を持つけど、だからこそ病気持ちは無理」


 「さっさとコトブキが倒してくれたからいいけど、話をするだけじゃなく少しは戦ってくれねえか?」



 ユウヤも盾で守ってただけではあるんだけど、引っ掛かれたら病気になるっていうんじゃ怖いよねえ。僕は槍で近付く事なく倒したからいいけど、近くで暴れられると怖いとは思う。特にかすっても駄目なのは厳しい。


 皆に声を掛けて先へと進んでいると、またも初めて見るモンスターが現れた。



 ―――――――――――――――


 <ツインホーンヘッド> 魔物 Lv41


 頭から2本の角が出たウサギ。もっとも厄介なのは脚力であり、その足から繰り出される跳躍力で、2本の角を刺しに来る。極めて危険な速度で突っ込んでくる為、細心の注意を払って戦おう


 ―――――――――――――――



 「跳躍力が非常に高いらしいから、ユウヤが前に出て盾で防ぐ。その後、僕が素早く前に出て倒すよ。とにかく物凄い速さらしいから注意して」


 「頼むゼコトブキ! 何かスゲー嫌な予感がするんだよ、このウサギ!」



 ユウヤが大きな盾を構えてにじり寄っていく。ある程度の距離まで近付いた直後、ドォン! という音がして、ユウヤが少し後退した。どんな威力なんだと言いたくなるけど、素早く前に出た僕は呆れて脱力した。



 「ユウヤの盾にツインホーンヘッドが刺さってるよ。むしろこの盾に突き刺さる威力っていうのがヤバイけど、とりあえず刺し殺しとく」



 そう言って僕は横からツインホーンヘッドを刺し殺し、消えていく魔物を見つつユウヤの盾を確認する。綺麗に穴が空いていて、とてもじゃないけど盾としてはマズい状況だ。


 なによりツインホーンヘッドの角と跳躍の威力が高すぎる。ある程度奥に進まないと出てこないのがありがたいが、それも絶対とは限らない。いきなり草むらから突撃してくる可能性も否定出来ないし、急に怖い場所になったな。


 弾丸のように跳んでくるウサギが居るなんて、流石に思ってもみなかった。僕のところのシグマやセス、トモエのところのリナやリーダを出しつつ進むしかないね。まずはシグマに頼もう。


 そう言ってユウヤを下げ、シグマを先頭に立たせて進む。次の戦闘ではしっかりシグマが防ぎ切ったどころか、シールドバッシュで角を圧し折りゲットした。どうもユウヤと違い、しっかり闘気強化をして防いだようだ。


 ユウヤも強化していれば壊される事もなかっただろうに、あの時は強化していなかったらしい。それは駄目だと全員から言われて凹んでいる。まあ、強化さえしていれば壊れなかったんだし、凹むのは仕方ないか。


 あんまり凹んでいられても困るんだけどなぁ。そう思いながらも進むと、何やらおかしな建物を発見した。森との境界にあった建物と同じく、結界魔法陣の上に建てられているのが見える。


 【精密魔力感知】と【練気感知】に【精神感知】を使うと、中に誰か居るのが分かった。僕達は顔を見合わせて中へと侵入……する前に結界魔法陣の中に入ってマイルームへと飛び、戻ってこれるかを確認する。


 確認はナツがする事になったが問題なく戻って来れたので、一旦休憩する事にした。建物よりも結界魔法陣の方が広いので、建物に入らずともマイルームに飛べる。


 マイルームに移動し全員を呼び出したら、倉庫の中から食べ物を取り出して昼食にする。マイルームから出るのはフレンドコールでタイミングを合わせる為、誰かが先に出て見つかるという危険は冒さない。


 昼食を食べ終わったら一旦ログアウト。リアルの方でも早い昼食にする。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 昼食を作っているとシズが降りてきたので、皿を出すなどは手伝ってもらい、出来たら配膳して昼食にする。早めに食べて戻らなきゃいけないので、今日のお昼はうどんだ。



 「それにしても、あの建物は何かしら? 何か怪しい建物だったし秘密研究所かもね」


 「グリーントレントを大繁殖させた研究もあった訳だし、実際、可能性としてはゼロじゃないのが何とも言えない」


 「となると中にいる奴を捕まえて連れ帰れば、女王からの依頼は達成ね。ここまですれば勲章は貰えるでしょう。私だって<資格>欲しいし」


 「今いるのはブラッディアだけど、サキュリアの方の資格はいいの? そもそもシズはサキュリアがスタート地点なのにさ」


 「向こうは別にいいかなー。師匠からは特に何も言われてないし、こっちで勲章を手に入れたら向こうも何か言ってくるかもね」



 まあ、確かにそういう風にイベントは進んで行くのかも。でもこれ元々師匠つながりだから、単体のイベントとも言えるのかなぁ……となると、<支配の魔女>の方にも一度行った方が良いかも。


 実際、転移札もらってるわけだし。


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