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0309・スケルトン・バード




 ファルが呼びに来たので食堂に行き、夕食を食べる。その席で師匠から今日の事について話しかけられた。



 「今日は城砦都市へ行った筈じゃがどうであった? あの近くにはウェルズベアーという魔力抵抗の高い熊の魔物が出る。それなり以上の値で毛皮は売れるが、簡単には得られんからの。上手く倒さねば魔力抵抗を維持した状態の毛皮が手に入らん」


 「成る程ね、それでなかなかドロップしなかったんだ。結局手に入れられたのはコトブキとユウヤだけだし、次に行った時には私達でも手に入れられるでしょ。威嚇状態の時に一撃で倒せば手に入るみたいだから」


 「とりあえず手に入れる方法は分かってる。もっと簡単にする為の検証は必要かもしれないけど、手に入るなら要らない?」


 「要らないんじゃないかなぁ……。だって牙とか爪とか要らないし、ましてや肝なんてもっと要らないよ。私は料理人であって薬師じゃないし」


 「ほう? ウェルズベアーの肝が出たのなら妾が買うてやるぞ。あれはなかなか良い素材ながら、あまり出回らんからの。それはそうと、お主ら頭にきたのではないか? あそこの領主は確か吸血鬼であろう?」


 「まあ、頭にくる程ではありませんでしたけど、面倒臭そうな感じはしましたね。いちいち影に沈んで僕達の会話を盗み聞きさせたりとかも含めて、関わりたくない感じでした」


 「最後には変な牽制とかしてくるしね? 帰ろうと思ったら敷地内に入ってくるな、とかさ。そもそもその敷地内に転移魔法陣があるのよ。そこに行かなきゃ帰れないっての!」


 「コトブキも言ってましたしね。この国の女王がここに作ったんだから、文句は女王に言えって。当たり前の事なんですけど、女王の名前を出せば通ると思ってるのか、とか的外れな事を言ってましたよ」


 「ほんに的外れじゃの。マリアがやらせておる以上は、それを邪魔するという事は叛意ありと疑われる元じゃがな? それとも本当に叛意を持っておるのか? ダークフォレストと結託しても潰されるだけじゃぞ」


 「そうなの?」


 「うむ。そもそもダークフォレスト、というよりダークエルフじゃの。きゃつらは軽そうに見えてもエルフであるゆえ、変わる事をあまり喜ばん。そもそもダークフォレストにとっては、あの状態で構わんのだ。国の拡張も縮小も望んでおらぬ」


 「拡張すると維持するのに手間が掛かり、縮小すると……農地が減る?」


 「コトブキの言う通りでな、あの国はあれで一種完成しておるとも言える。それゆえに他国に売る事はしても、それ以上は望んでおらんのだ。他国に農作物を売る為に噂を流す、そのくらいしかせん国でもある。叛意のある他国の貴族と組むなど、あの国にとっては甚だ迷惑な筈だ」


 「何というか、非常にプライドが高い感じだったし、王権の奪取でも考えてるのかしら? でもねー、あの親衛隊がそれを許すとは思えないのよねえ。それに始祖以上のカリスマなんて無さそうだったし」


 「それは無いでしょう。自分達の種族を象徴する者こそが始祖です。先祖返りではない本当の始祖。それが持つカリスマは、残念ながら後に生まれた者には絶対に持ち得ないものですよ」


 「まだ叛逆の意思があるかどうかは決まってませんけど、何となく関わりたくない感じはするので、最低限まで関わりを落としたいところです。そもそも影に沈んでいた者にもワザと言いましたけど、僕達の仕事は領主の御機嫌伺いじゃないんですよね」


 「それはそうでしょ。女王からの依頼なのに領主の御機嫌伺いなんてしてたら、激怒して暗殺に来るんじゃない? 親衛隊が」


 「無いとは言い切れないのがアレだけど、やってきそうで怖いよねー。まあ、明日はコトブキ君だけで探ってもらうという事で」


 「明日は私達が来れない日だし、コトブキだけで何とかしてほしい。とはいえ、今日や明日にいきなり動くという事も無いと思う。叛意があったとしても、女王が動いてる時点で動きようが無い。もし叛意ありと認定されれば潰されるのは確実」


 「だからこそ私達にイヤミったらしくしてるって事? ……その可能性もありそうねえ」



 結局は結論なんて出る筈も無く、夕食時の雑談の一つとして終わった。


 夕食後はソファーの部屋に行き、そこからマイルームへと飛ぶ。ファルの拠点を変更したらログアウト。現実へと戻る。


 リアルでの食事やらお風呂やらを終わらせ、部屋に戻ってきたら再びログイン。マイルームでスケルトンバードを召喚する。召喚魔法陣が輝き地面からせり出して……ちっさ! インコだよ、コレ!。



 「流石にここまで小さい鳥だとは思わなかったよ。挙句の果てにはバード、つまり鳥としか分からなかったし。固有名詞じゃない時点で気付くべきだったかもしれない」


 「カタ?」


 「ああ、うん。骨だからね。まあ、いいや。君はエイス・スケルトンバードだから……うーん………エスト……かなぁ。なかなか良い感じの名前が出ないから、これで決定」


 「カタ!」


 「まあ、とりあえず訓練場に行こうか。鳥系なら何を覚えるのが良いのかな? 飛行系の仲間は始めてだから分からないし、どうしよう」



 訓練場へと行き、皆にエストを紹介する。何故かセナの目が光ったような気がしたら、早速翼の骨を広げたりして遊び始めた。あんまり嫌がられる事はしないようにね。そう言って、僕は囲炉裏部屋に戻りロググアウト。本日はここまで。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 2000年 10月20日 金曜日 AM8:23



 本日はトモエもログインしないので僕一人だ。とはいっても昨日の続きをするくらいなので、そこまでどうこうという事は無い。それとエストのレベル上げぐらいだろうか?。



 ―――――――――――――――


 使い魔:ラスティアのサブ職業:踊り子・下級のレベルが上がりました


 使い魔:キャスティのサブ職業:農家・下級のレベルが上がりました


 召喚モンスター:エストが【魔力感知】を習得しました

 召喚モンスター:エストの【魔力感知】が【精密魔力感知】に変更されます

 召喚モンスター:エストが【魔力操作】を習得しました

 召喚モンスター:エストの【飛行】が【飛翔】に変更されます

 召喚モンスター:エストの【魔力操作】が【精密魔力操作】に変更されます

 召喚モンスター:エストが【浮遊】を習得しました

 召喚モンスター:エストが【浄化魔法】を習得しました


 ―――――――――――――――



 魔力系スキルは分かるんだけど、【飛行】スキルが【飛翔】スキルに変更されたのは地味にありがたい。最初の【飛行】スキルだと高く飛べない感じだったんだよね。【飛翔】スキルになったって事は、ある程度の高さから偵察できる筈だ。


 確認は後回しにして、まずは売り上げを倉庫に入れて、倉庫から売り物をプレイヤーマーケットに流す。これを忘れると折角作った物が倉庫に眠ったままになっちゃうしね。売れる時に売っておかないと。


 ラスティアとキャスティに声を掛け、それから師匠の家のソファーの部屋へと移動する。ファルの拠点を変更し、他の皆も呼び出した。


 ファルが台所に手伝いに行くのを見送り、僕は適当にプレイヤーマーケットを確認する。そこまでの何かがある訳じゃないけど、ちょこちょこと知らないアイテムを出している人がいる。おそらく天使の星で手に入る素材だと思うんだけど……。


 そういえば運営ダンジョンも途中で放ってるし、近くのダンジョンも放置したままか。あそこもハイフォレストチキンの階層を突破しなきゃいけないし、やる事が多いなぁ。今日の予定は豪雪山とウェズベア森だけど。


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