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0303・アイストレウッド




 「くっせえなぁ、オイ!! コイツは嫌がらせ用モンスターかよ! 初めての魔物だけど、幾らなんでも酷すぎるぞ!!」


 「弓矢の距離でも臭いのが来てる。ある意味では強敵……!」


 「そういう意味の強敵なんて要らないよ。【セイントバレット】! 【セイントバレット】! さっさと沈んでよ、もう!!」


 「こういう搦め手というか面倒な相手って出てくるけど、臭いで攻めてくるってなかなか無いわよね?」


 「その泡を外してから言ってほしいんだけど? 1人だけ臭いを感じずに済んでるのは卑怯じゃないかな」


 「えっ!? それ臭い感じないの? トモエがズルしてるー! それ私にも貸してよー!!」


 「駄目に決まってるでしょ! これは私の装備品だってのに、こら! まさぐるのを止めなさい。どこ触ってるの、ナツ!」


 「おーい。それはいいから手伝ってくんね? まともに戦ってくれてるのコトブキだけじ、あっ、勝った」



 臭いにおいを我慢して戦っていたユウヤの前でアイストレントは倒れて消えていく。ドロップは……アイストレウッドか。たいして変わってないけど、良い木材だろうから、これはこれで助かるね。


 特に木材関係は良い物がなかなか無いから、スノートレウッドからアップデート出来てなかったし。今度は氷属性に強いんだろうけど、そこは僕にとってどうでもいい所だ。別に火属性とかが弱点って訳でもないし。



 「アイストレウッドが出たけど、敵の数自体が少ないからレア物だな。スノートレウッドが大量で、アイストレウッド狙いに変わっていきそうだ。こいつは流石に薪にするのは勿体ないか」


 「そもそもトレント系の木材を薪にするのも、炭にするのも勿体ない。もちろん鍛冶師にとっては必要な事なんだろうけど」


 「そうなんだよ。鍛冶師の俺だってイルの言いたい事は分かるんだが、実際に必要なんでどうにもならない訳だ。せっせと優良な木材とってきては炭にしないといけないって、結構キツイんだぜ?」


 「まあ、何となく言いたい事は分かる。でも金属の武具に関しては鍛冶師だし、僕の場合はおそらく品質10は出ないと思うんだよね。金属作りは錬金術師、武具は鍛冶師って言われたからさ。そろそろ品質10は出ないんじゃないかな」


 「この辺りなら品質10が出せるって時点で驚きだけどな。錬金術師と鍛冶師じゃ、同じ物を作るにしたって掛かる時間は勝てないからなぁ。圧倒的に鍛冶師の方が遅いし」


 「それは仕方ないんじゃない? 魔力でやっちゃう方と、カンカンする方じゃ違って当たり前だよ。カンカン叩いて出来ました、なんてあり得ないでしょう?」


 「いや、ナツ。それがな、カンカン叩いて出来ましたーっていうゲームは実際にあるんだよ。何言ってるのか分かんねーだろうけど、俺も何言ってるのか分かんねーぐらいのがあるんだ、マジで」


 「僕もやってたから分かるけど、ユウヤが言ってるのは事実だよ。髭もじゃの渋い鍛冶師のお爺さんが、カンカン出来ましたーってやってるのは、完全にギャグだったよね。挙句、素晴らしい逸品が出来たと言うんだよ? カンカンのどこに技術があったの? って言いたくなる」


 「それ、私もやってた<ナイト&スミス・オンライン>? ああ、あれはギャグ鍛冶師として殿堂入りしてるゲーム。刀匠とか熟練の鍛冶師が全員、カンカン出来ましたーするゲーム」


 「………」


 「それって<神速の鍛冶師>の事? ……ああ、やっぱり。一度目のカンで半分の工程を終わらせ、二度目のカンで残りの工程を終わらせる。だから<神速の鍛冶師>と言われてるヤツ。理解出来たらゲームクリアとか言われてるわよ」


 「そうなんだ……あれ? 言われてるって、トモエは知らないの?」


 「あのゲームにはモフモフ成分が全く無いからね。私はそのころ<アニマルハンター5G>をやってたわ。あれも昔から人気のあるゲームで、狩場に行って巨大な動物を狩るのよ。狩るって言っても、殺すんじゃなくて捕獲するんだけどね」


 「狩り場の中に出てくる動物を狩るんだけど、正気を失ってる動物を弱らせて捕獲する。その後の治療は自動でされるけど、捕獲するまでは凶暴化してる動物と戦う、そんなゲーム。私はだいたいランスかガンランス」


 「俺はハンマーか大剣だなぁ。安定してるし使い慣れてるから、新しいのとかはお遊びで使うくらいだわ。あのゲームの捕獲した動物って、運が良ければプレイヤーの動物園に来てくれるんだよ。その所為だ、毎回トモエがやりこむのは」


 「当然でしょ。全種色違いまでコンプリートするに決まってるじゃない」


 「それはいいけど、ショッキングピンクのライオンとかいう、ゲーム会社の悪乗りまで集めようとするのはどうかと思うよ?」



 そんな話をしつつ反対側へ行き、掘った後に森へ【ダークウェーブ】。再びトレントが動き出すけど、どうやらアイストレントが2体居るようだ。僕達も流石に理解しているので、遠間から魔法を連打して倒す。


 そこまでイルの【火魔法】が効かなかったけど、魔力が低いからか、それとも【火属性】があまり効かないのかは分からない。このゲーム属性相性が謎な部分があるから、よくあるゲームっぽく考えてると間違ってたりするかもしれないし。


 再びアイストレウッドが1本出たけど、運がいいのか普通なのか……出現数が微妙でよく分からない。まあ、続けて戦っていれば分かるか。戻った僕達は洞窟でフリーズベアを倒し、そのまま転移して戻る。


 一旦解散して昼食を食べる事になり、僕達は師匠の家に戻った。ソファーの部屋へ行ってマイルームに飛び、ブラックトータスの甲羅を持って戻る。ソファーの部屋で物作りをしつつ、ファルに昼食を頼んでおく。


 ……出来たけど、予想通りすぎて何とも言えないなぁ。



 ―――――――――――――――


 <槍> 氷怪木と黒亀甲羅の笹穂槍 品質:7 レア度:3 耐久600


 アイストレウッドとブラックトータスの甲羅を使って作られた槍。闘気に強く耐久力も高い一品であり、魔法使いが好んで使う品の1つ。闘気が扱えないと駄目ではあるものの、魔力を使用せずに強化出来るのが魅力。ただし修理は出来ない

 攻撃力26 破壊力1


 ―――――――――――――――


 ―――――――――――――――


 <棒> 氷怪木と黒亀甲羅の六角棒 品質:8 レア度:3 耐久640


 アイストレウッドとブラックトータスの甲羅を使って作られた棒。闘気で強化しても劣化は少なく、なかなか優秀な一品。ただの六角形の棒である為、歩く際の補助から殴打武器まで幅広く使える

 攻撃力24 破壊力5


 ―――――――――――――――



 優秀なのはスノートレントの上位種だから分かってたけど、地味な底上げにしかなっていない。地味でもなんでも優秀になっているから問題ないと言えばそうなんだけど、思っている以上にパッとしない性能アップだね。


 説明文も殆ど変わってないし、性能が上がっただけって感じ。それでも耐久が上がったのは素直にありがたい。武器強化や【闘刃】で容赦なく削れていくから、武器の攻撃力よりは耐久の方が重要になってきている。


 もちろん攻撃力や破壊力は必要なんだけど、敵が堅くなってきている事もあって、耐久の減りが予想以上なんだよね。武器の素材によっても削れ方が違うみたいだし、そこのところは使ってみないと分からない。


 おそらくブラックトータスの甲羅に【闘刃】を使うのが一番分かりやすいと思う。今度ダンジョンに行った時に試してみよう。


 ……皆の分も作るの? ファルが呼びに来たから後でね。


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