表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/450

0003・草掘りへ




 「【魔力操作】と【魔力感知】を覚えたか。【魔力感知】は他者の魔力を知る事が出来るが当てにするな。誤魔化す方法なぞ幾らでもある。そのスキルはな、自分の魔力を把握する為に使うのだ。それが最も大事な事ぞ」


 「自分の魔力ですか……魔力が殆ど残ってないんですが、思っているより早く回復している……? これってどういう事なんでしょう」



 このゲームではHPは緑色のゲージ、MPは青色のゲージで表示されている。黄色はスタミナだ。これ等のゲージしかなく数値で表されない為、最大値が不明で分かりづらい。これも意図的にレトロなゲームっぽくしてあるそうだ。洋ゲーのレトロなヤツかな?。



 「ここ<屍人の森>は魔力の篭もりやすい場所での、それ故に魔力が回復しやすいのだ。反面、魔力が少なく回復しづらい場所もある。その辺りは自分のおる場所を【魔力感知】で調べれば分かろう。……それより、ほれ」


 「うわっ!! あ、あっぶな!! 急に何ですか!?」


 「ほう、そなた思っている以上に反応が良いな。それに何らかの武術のような歩き方をしておる。それは習ったものであろう?」


 「え、ええ。(ゲームの中で)師となる方から色々習いました。とはいえ、僕は真似するのは得意なんですが、それ以外が全く駄目で……。覚えた事しか出来ないんです」


 「たまにおるのう、そのようなヤツ。難儀な事じゃが、教えた事を組み合わせるくらいは出来よう。魔力が回復するまで、回避し続けるがよい」


 「へっ?」



 突如、師匠が猛烈な速さで杖を振ってきた。このゲームでは杖を装備しても魔法攻撃力が増えたりはしない。魔法攻撃力などを増やすのはアクセサリーだ。杖は鈍器の扱いであり、あまり持つ意味は無い。


 師匠がそれを持っているという事は、間違いなく鈍器として持っている訳だが……先が膨れている魔法使いっぽい杖。鈍器として考えたら怖すぎる。なので必死に回避しているが、音がおかしい。


 耳の横を通る時に「シュッ!」とか、目の前を通過する時に「ボッ!」って音がして気が気じゃない。そのうえ段々速くなってるし、そろそろ限界を超えそうな……! あぶな!! 助かっ「ゴツ」、あいてっ!!。



 「ほほほほほ。まあ、こんなものであろう。真剣に必死になってかわしておったが、この程度ではいかんぞ。もっと速く余裕を持ってかわせるようにならねば。まあ、今の能力では上出来な方か。最後は闘気が使えておったからのう」


 「……闘気、ですか?」



 闘気なんてベータ時代には聞いた事が無「ポーン」いんだけど……出るんだね。という事は隠しパラメータ的なもので作ってあったのかー。ベータ時代には実装されてなかったか、もしくは誰も見つけられなかったと。



 ―――――――――――――――


 ※スキル:【闘気操作】を習得しました

 ※スキル:【闘気感知】を習得しました


 おめでとうございます。隠しステータス、闘気ゲージを解禁します


 ―――――――――――――――



 そのウィンドウと共に、黄色いスタミナゲージの下に赤色のゲージが表示された。どうやらコレが闘気ゲージらしい。



 「えっと、【闘気操作】と【闘気感知】を習得しました。けど、闘気なんてあるんですね。聞いた事がなかったです」


 「一部の者は知っておる事じゃ。至れぬ者は知る必要もないのでな。魔力と闘気を基本として、その2つを練り合わせるのだ。魔力を多めに篭めて練れば【心力】に、闘気を多く篭めて練れば【仙力】となる」


 「【心力】? 【仙力】?」


 「【心力】とは意志の力を現実に作用させる力の事、そして【仙力】は【仙術】という特殊な術を扱うのに必要となる。どちらも下地に高度な【魔力操作】と【闘気操作】が必要になる。知識として教えてやるが、今のお主では無理な事よ」


 「何というか、物凄く強い力ながら、猛烈に扱い難そうですね。練り合わせるなんて事が、果たして本当に出来るのか疑問なほどです」


 「お主はまだまだよ。ただし魔法を扱う職業とはいえ、体を鍛えぬというのは話にならぬ。魔力だけ鍛えた頭の悪い者にはなるなよ。闘気も肉体も鍛えねば強くはなれぬぞ」


 「分かりました」


 「うむ。今のところ教えるのはこの程度じゃ。この紙に書いてある所まで行って、書いてある草だけを採ってきてくれ。根ごと持ってくるようにの。スケルトンからスコップを借りていき、それで掘るのじゃ。魔物が出るが、鍛える為にも全て倒してこい」


 「はい、分かりました」



 ―――――――――――――――


 師である<破滅のエンリエッタ>との模擬戦が終了しました

 敏捷が1ポイント

 感覚が1ポイント

 能力値が上昇しました


 ―――――――――――――――



 このゲームではレベルアップ以外にも、体を鍛えて能力値を上昇させる事が出来る。その増加はゆっくりで相当難しいと言われてるけど、それでもレベルアップ以外での能力値の向上はありがたい。ただし、それには師匠を持つ必要がある。


 ベータでも検証班が調べていたが、師匠持ちの人が師匠と訓練している時しか能力値の上昇は確認されなかった。つまり、師匠持ちへのボーナスという事になる。もちろん師匠のいないプレイヤーは怒ったが、だったら師匠を持てばいいだけだと運営に返されていた。


 このゲームにおいて師匠は何人でも持てるのだが、師匠を持つのはかなり難しい。僕もそうだが、運が良くないと師匠を持てない。僕がエンリエッタさんを師匠にする事を即座に了承した理由でもある。チャンスは自分から掴みに行かないといけないからね。


 どんな形であろうとも弟子入りのチャンスは見逃せない。<ホーリースケルトン>からスコップを借りた僕は、屍人の森の中へと踏み出す。師匠のトライボーンウルフが居たから魔物が近寄ってこなかったのだろう、近くに魔力の塊を感じる。


 【魔力感知】があるおかげで敵の位置が丸分かりだ。隠蔽するような敵はこんな序盤には出ないだろうし、今の内に召喚しておこう。



 「【屍命召喚】、スケルトン!!」



 僕が地面に自らの魔力で作り出した魔法陣が輝くと、魔法陣の中心からスケルトンがせり上がってきた。………細っ!! 骨が細い! 改めて師匠のスケルトンと比べると、猛烈に細くてパキッと折れそう。


 老人がカタカタ震えるが如き姿で震えているスケルトンを連れ、僕は始めての敵と相対する。こちらが道の上で待ち構えていたら、右の茂みからそいつは出てきた。……その名はゾンビ。


 色々内臓とか出てるけど、それは横に置いておくとして、<屍人の森>っていうぐらいだから出てくるのはこういう奴等だよねー。ネクロマンスの魔法陣はレベルが上がらないと覚えられないので、こいつを仲間にするとかは出来ない。僕テイマー系じゃないし。


 なので倒すんだが、ゾンビってネクロマンサーの系統ではタンクなんだよね。だからスケルトンとは相性が悪い。こっちは武器も無いし、簡単に殺される未来しか見えないな。だからこそ、こうするんだけど。



 「たあっ!! ……よし、上手くいった。ファル、ストンピングだ!!」


 「カタカタ」



 ファースト・スケルトン。だからファル。安直だけど、僕はネーミングセンスが無いのだからしょうがない。無難万歳!。


 それはともかくとして、水面蹴りで転倒させたゾンビを、ファルと一緒にストンピングでボコボコにする。その甲斐あってノーダメで倒す事が出来た。なかなか上手くいったと自画自賛したいところだけど、ゾンビって足が遅いからなあ。誰でも出来る事か。


 それより師匠に頼まれている草を採りに行かないと。どうも師匠は薬草から薬を作って小銭を稼いでいるらしい。ちなみに本人が小銭と言っていたので、たぶん小銭なんだろう。それ以上は聞くのもアレなので聞かなかった。嫌な予感がしたんだ。


 おっと、またゾンビが出てきた。「うーうー」言いながら出てくるが、何故か臭くないんだよねー。理由が分からないけど、ゲームだからで終わる話か。ではファルを囮にして……そうりゃあ!!。


 再び目の前で転倒したゾンビをファルと共にボコっていく。今回もノーダメだし、この戦法はうま……何か出た。倒した魔物は消えるんだけど、何か赤黒い石が残ってる。手を翳してインベントリに仕舞うと<魔石>って出てるな。


 どうやらゾンビが落とすのは魔石らしい。腐った肉とかじゃなくて良かった。そんなの出ても使い道ないよ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ