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0294・第三回公式イベント18




 僕達は森の中のボスへと近付いていく。するとその巨大な姿が見えてきた。遠くからでも若干見えていたが、黒い人型のモノがレイドボスらしい。物凄く濃い黒いオーラを立ち昇らせながら暴れまわっている。


 何を考えているのか、近くのプレイヤーが足や黒い爆発で吹き飛ばされて死んでいく。その度にボスの黒いオーラは濃くなっていると思われる。大きすぎてちょっと分からないが、ビッグハンマークラブと同じ可能性が高い。



 「あの黒いオーラを減らして弱体化させないと駄目だ! 【浄化魔法】を使って弱体化させろ!! 【浄化魔法】を使ってボスを弱体化させるんだ!!」



 僕が大きな声を出して呼びかけると、ユウヤ達も周りに呼びかけてくれた。その周りも呼びかけてくれて周囲に情報が波及していく。とにかくあのボスは弱体化させないと駄目だ。それと、死ぬとボスが強化される。その事は情報として広めなきゃいけない。


 周りの人達に説明しつつ、僕も【浄化魔法】を使って削っていく。どうやら5人の聖人達は最前線で戦っているらしい。彼らの援護としてもボスの弱体化は必須だ。


 僕達は遠くだが、それでもボスが巨大な為に十分魔法は届く。段々と【浄化魔法】を使う者が増えたんだろう、其処彼処そこかしこから【浄化魔法】の魔法陣が見える。一気に受けているボスだが、そう簡単には黒いオーラが減らない。


 それでもゆっくりと減っていっているのか嫌がっている気がする。このまま連続して魔法を使い、ボスを弱めていきたいところだ。



 「いいぞ、お前達! <死王の欠片>の力は確実に落ちている! このまま続けろ!!」


 「とにかく稀人達は【浄化魔法】を元に援護を頼む! 君達が戦うには、まだ早い!!」


 「うむ、前で戦いたかろうがここは我慢せよ! 迂闊にやられれば<死王の欠片>が強化されるだけだ!!」


 「出来得る限り倒されないように! 【浄化魔法】を持つ者は魔力が無くなれば、後ろで休んでいても構いません!」


 「その分オレ達が何とかしなきゃいけないけどなぁ! 気合い入れろ、お前ら!! 情けない姿ぁ晒すんじゃねえぞ!!」



 5人の聖人が声を上げてくれた御蔭で、【浄化魔法】で戦う事が間違いじゃないって証明されたね。あまりにも変化が無ければ、嘘を吐いたとか言われて【浄化魔法】を使うのを止められる可能性があった。それが無くなっただけでも良かったよ。


 僕はビッグハンマークラブの挙動で知ってるからいいけど、他の人が実際に知ってる訳じゃない。特に槍の陣営以外の人は本当に知ってるのか分からないし、黒いオーラの魔物は出ていたけど、どうも攻撃だけでも倒せない訳じゃないみたいなんだよね。


 おそらくは魔力か闘気を篭めればダメージが与えられるんだと思う。魔法は吸収されてたから闘気だろうか? 普通に戦って倒している姿も見たし。


 多くの人の【浄化魔法】を受けたからだろうか、明らかにボスの姿が小さくなってきた。最初は5メートルほどの大きさだったのに、今じゃ2メートル程にまで小さくなっている。しかし、その分素早くもなっているようだ。


 ただし聖人達にとっては遅いのか、難なく回避しつつも反撃している。たまに聖人達の武器や体が白く光るのは何なんだろう? その白く光る体や武器で攻撃すると、明らかに<死王の欠片>に大きなダメージを与えている。


 聖人達の体の中を流れるモノに、魔力と闘気以外のものがあるんだ。それを活性化させてる? それとも消費してるのか? そしてそれは僕の中にもある………これってまさかHP? 生命力じゃないか!?。


 僕は【浄化魔法】を使いながらも、聖人達の生命力の使い方を注視する。石と木の槍に聖人のように流そうとして失敗し、再び流そうとする。それらを繰り返していたからだろう、魔法が少々おざなりになっておりイルに怒られた。



 「ごめん、ごめん。ちょっと気になる事があってね。大丈夫、ちゃんと集中するよ」



 聖人達の動きにね。そう心の中で付け足しながら、聖人達の体を巡る力を注視する。一番上手いのはおそらくカムラン氏だ。ノリがアレな人物だが、力の使い方は研ぎ澄まされている気がする。次に上手いのはオルテーさんだ。


 この2人の力の使い方を比べ、どこにどういう風に力を流しているのかを知る。何度も何度もお手本の真似をしながら失敗し、そして一番大事なタイミングで成功した。



 ―――――――――――――――


 ※スキル【生命力操作】を習得しました


 ―――――――――――――――



 「そぉい!!」



 僕は右手に持った槍を槍投げ選手のように持ち、その”白く輝く”槍を一直線に投げつけた。足場が悪く足を滑らせてしまっていたオルテーさん、そのオルテーさんを殺そうと迫っていた<死王の欠片>の体に直撃。胸に当たって貫通していった。


 僕の槍が突きぬけた<死王の欠片>は硬直し、誰が見てもチャンスな瞬間、白く輝く武器で殴りつけたのはカムラン氏だった。



 「うはははは、お前かよ!! まさかそんな低レベルで【生命力操作】を使うとはな! 相変わらず真似が上手い奴だぜ、はははははは!!」


 「我らも一気に攻めるぞ! 少年があそこまで生命力を篭めたというのに、我ら聖人がこの程度と思われるは恥でしかないわ!!」



 今度は斧の聖人であるアスクード氏が白く輝く斧で攻撃し、その後は白く輝く槌、白く輝く剣と続き、最後に立ち上がったオルテーさんが白く輝く槍で真っ直ぐに<死王の欠片>を貫いた。


 その瞬間、内側から白い光が溢れた<死王の欠片>は、その大量の光の筋に沿って砕け散り消えていく。おそらくはこれで終わりだろう。



 ▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼


 <死王の欠片>を打ち倒しました。これにて第三回公式イベント<あの城を落とせ!>を終了いたします。皆様、お疲れ様でした。ただいま計算中ですので、集計結果をお待ち下さい


 ▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼



 「終わったー!! お疲れ様だ、コトブキ。でもな、最後のアレはなんだ? お前また訳の分からない事をやってたろ!?」


 「いやいや、訳の分からない事なんてやってないよ。ただ聖人の人達の力の使い方を真似してただけ」


 「ははははは。小僧、それは簡単な事じゃないんだぞ。本当にオレの弟子にしてえ奴だ。<破滅の魔女>の弟子じゃなきゃ、問答無用でオレが弟子にするんだがな!!」



 それは勘弁してほしいなぁ……。そう思っていると集計結果が出たようだ。



 ―――――――――――――――


 イベントモンスター討伐:142体 142ポイント

 武器製作:116個        448ポイント

 その他製作:241個       723ポイント

 死王のオーラ持ち討伐:34体   680ポイント

 <死王の欠片>討伐貢献      2000ポイント

 所属陣営の城の防衛:成功     10000ポイント


 総計:13993ポイント


 ―――――――――――――――



 しょ、所属陣営の城の防衛……。危なかったー、いや、本当。横でユウヤも安堵してる。あの時、僕達が城を守っていなかったら、この10000ポイントが無かった事になってた。本当に遅れてログインして良かったよ。



 「私達が城を守ってなかったら、大した事がないポイントで終わってた。おそらく色々な所でポイントを得られたんだとは思うけど、私達の動きじゃ大して得られなかった筈。本当にコトブキと同じ陣営にして良かった」


 「そうだなー。このリザルトで燦然と輝く城の防衛よ……マジでシャレになってねえ。前もそうだったけど、何かしらを仕掛けてくるよなー、ここの運営は。普通のイベントだったのって最初だけじゃねえか」



 ―――――――――――――――


 集計結果の確認は出来ましたか? 出来ていなくとも、全ての方をマイルームへと転送します。お疲れ様でした。


 明日は1日中メンテナンスの為ログインできません。あしからず御了承下さい。


 では30秒後、強制的に転送します


 ―――――――――――――――



 そのメッセージの後、大して余韻に浸る事もなく転送された。運営は情緒というものが無いのだろうか?。


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