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0292・第三回公式イベント16




 同じ陣営になったからか、遠慮なく<般若衆>や<金剛騎士団>が僕に武器を注文してくる。それ自体は仕方ないとも思うんだけど、意外に注文が細かくて大変だ。特に<アーシュラ>と<仁王>。


 僕が割と細かな注文にも対応するからだけど、遠慮の欠片も無く自分の望む武器を言ってくる。それを見ていたからか、他のメンバーはそこまで拘りを言わなかったくらいだ。


 もう終わったから笑い話で済むけど、微調整を繰り返していた間は本当に大変だった。一応言われた通りにロングソードと2メートルの棒も作っておき、片鎌槍も作って自陣営の人に託す。オルテーさんの所に持っていてくれるだろう。ファンみたいだし。



 ▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼


 槌の聖人の陣営が、斧の聖人の陣営に攻め込みました。これ以降は城取りフェーズに以降します。両陣営は頑張って下さい


 ▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼



 おっと、向こうで戦争が始まってしまった。これでこちらが攻める事は出来なくなったね。本当なら今の内にどちらかに攻めて勝ち、圧倒的に有利な状況を作りたかったんだけど……。まあ、そうそう上手くはいかないか。


 向こうの決着がつくまで、こっちは素材集めと装備作りに励まないと。魔物が強くなってるから3陣は大変みたいだけど、そこは1陣と2陣がフォローしてるみたい。これが運営の思っていた形かな?。


 1陣にも2陣にも3陣にも好き勝手する奴が居るから上手く纏まらなかったけど、今は同じ陣営になったから好き勝手は減ってるね。ホワイトゴブリンだから3陣には大変だし、自分達で勝てないとなれば大人しくもなるか。


 で、3陣が大人しくなったのに君達は好き勝手するの? って見られたら、彼らのプライドは大層傷付くだろう。それでも勝手をする奴等は居るだろうけど、そいつらは多くのプレイヤーのブラックリストに入ったと思う。僕もちょこちょこ入れてるし。


 そんな話をしつつ狩りを行っているんだけど、周りに多くのプレイヤーが居るのでポップした瞬間プレイヤーが殺到してる。これじゃあ狩りにもならないので、僕達は諦めて自陣営に引っ込む事にした。適当に物作りでもしてようっと。



 ―――――――――――――――


 サブ職業:錬金術師・下級のレベルが上がりました


 ―――――――――――――――



 あれだけ物作りしてやっとレベルが上がった。やっぱり素材によって経験値の取得量が左右されてるなぁ。おそらく普通の木や石じゃ、殆ど経験値は貰えてないね。前々から分かってた事だけど、この調子ならカッパーウッドや白曜石も多くないかも。


 少し前まで白曜石で武器とか作ってたのに、気付いたら経験値の取得が悪くなってるなんて……本当に早いなぁ。サブ職業のレベルを効率よく上げるには、どんどんと新しい物に挑戦するしかないみたいだね。特に錬金術師は素材の幅が広いから、余計に大変なのかも。


 そんな嫌な予感を感じつつも、せっせと役に立ちそうな物を作っていく。現在は木の盾だ。防御というより破壊力を減らしたり流すのが、このゲームでの盾の本質とも言える。少しでも受けるダメージを減らしたり、凌いだりする為の物。


 レトロゲームにそんなのあったね。盾のレベルが上がったりすると敵の攻撃回数を減らせるっていうの。他にも回避レベルが上がらなきゃ駄目だったけど、あんな感じかな? 4回ヒットが1回になったらダメージは当然減る。その結果がダメージの低減。……うん、しっくりくる。


 僕もユウヤに借りてやった事あるけど、あんな感じに思えば納得は出来るかな?。



 「あー、あれな。ラスボスが「ウボァー」って言うゲーム。確かに片手に盾を持ってると被ダメが大幅に減るんだよな、あとブ○ンク。あれさえ使ってりゃ、物理攻撃をほぼ封殺できるゲームだ。確かに似てると言えば似てるか」


 「しかもあのゲーム、重装備をすればするほど回避率が落ちてダメージを受けるんだよね。大した鎧を着てなくても戦えるこのゲームは、ちょっと似てるかもしれない。そう思うんだ」


 「まあ、コトブキがよく言ってる事よね。戦場では動けなきゃ死ぬって。もちろん防御力の高さは魅力なんだろうけど、隙間から突き刺されたりしたら死ぬんだし、鈍重なのは高防御でもマズいっていうのは簡単に分かるわ」


 「確かにね。イルがグサッと刺してたし、あんなのでも殺されるんだから、動きが遅いのはマズいよ。しかもゲームだから魔法もあるし、ただの的にしかならないと思う」


 「それはそう。でも高防御力と軽さを実現するのは難しい。今のところ、そういう皮は見つかっていないから、高防御力の革鎧は無い。ゲーム的にはドラゴンの皮?」


 「どちらの星にもドラゴンは居るらしいけど、ドラゴン自体は大悪魔が創ったんだってさ。悪魔の星には原初のドラゴンが居るらしいけど、話は聞かないね」


 「流石にドラゴンが登場するには早すぎるんじゃねえの? まだまだレベルは上がるけど止められてるしな、ある程度でまた止められたままになると思うぜ? そう簡単にレベルがポンポン上がっても楽しくないだろ」



 これから先も変わらず僕達は重装備にはしないだろう。今は無いけど、スケイルアーマーでも過剰かな? と思ってるくらいだし。あれも元の革鎧よりは当然ながら重いわけで……とはいえ動きを妨げる程には重くない。スタミナは減りやすくなったけど。


 その辺りはゲームでも現実でも変わらないけどね。重い物を着けてたら体力を使うのは当たり前だし、防御力との兼ねあい的にはセーフってところだろう。それにしても暇だなーと思うのは、カムラン氏との稽古が忙しすぎたからだろうか?。



 ▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼


 槌の聖人の陣営の総大将<メイディア>が、斧の聖人の陣営の総大将<アスクード>に討ち取られました。これ以降、槌の陣営は斧の聖人の陣営の傘下となります。槌と斧の陣営は通常フェーズへと戻ります


 ▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼



 おっと、向こうの戦争は割と早く終わったみたい。5陣営のうち3対2に分かれたから、あとは2つの陣営としてぶつかるだけか。とりあえず夕方だから一旦城に戻って夕食にしよう。


 ユウヤ達にも言って城へと戻り、僕は城の片隅でマイルームへ飛ぶ。囲炉裏部屋で倉庫からハンバーガーを出して食べていると、ラスティアとキャスティが来た。どうも戦いの事を聞きたいらしい。



 「向こうに行ったら、剣と棍の陣営と争いになって勝ったよ。棍の聖人であるカムラン氏に絡まれて無理矢理に稽古をつけられたけどね。その間に戦争は終わってて、剣の聖人は槍の聖人であるオルテーさんに討ち取られてた」


 「あらら、剣のヤツ討ち取られたの? 情けないわねえ。ま、そもそもアイツって腹黒いからいい気味ではあるけどねー」


 「ですね。顔は良いですけど、常に怪しい笑顔を張り付けている人物でもありますから、知っている者はあまり信用しません。そこまで悪い者ではないのですが、胡散臭いといったところでしょうか? もちろん聖人ですので悪人ではありませんけど……」


 「カムラン氏は一対一だと言っていたのに卑怯な事をされたと言ってたけど? まあ、それを素直に信じるのもどうか思うけど……」


 「まあねえ。戦争なんて何でもアリなんだし、ルールなんて作っても平気で破るものよ。騙された方が馬鹿なのが戦争なんだもの。騙された方が悪いのは当然の事」


 「それが事実ですからねえ。流石にカムランは迂闊だったとしか思えません」



 それが戦争であり合戦だから、どうしようもないね。徹底的に非道に徹さないと勝てないし守れない。それが戦争ってものだ。


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