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0281・第三回公式イベント05




 会話をしながらも様々な物を作っていると、ユウヤとイルが木を持ってやってきた。リヤカーに載る量しか持って来れないけど、それでも伐り倒した木の丸太が4本載っている。流石にこれ以上を積載するとリヤカーが壊れる恐れがあるらしい。



 「流石に鉄や鋼鉄で出来てるならまだしも、ただの石と木だからな。幾らなんでも普通のリヤカーみたいに物は載らねーよ。しかも壊れたら消えるんだから、ある程度は安全を担保して使う必要があるだろ?」


 「それが4本って事だね。まあ、伐っただけの丸太が4本載っただけマシかな。1本ずつの2本に比べたら倍の数が載ってるんだし、それだけ効率も良くなったと考えよう。人が運ぶなら身体強化を使っても1本が限度なんだし」



 そんな話をしているとトモエとナツも帰ってきた。なにやら興奮しているようだけど、何かあったかな?。



 「コレ見て! 鉄が採れたんだよ! オーガを倒したら手に入るみたい。魔法を使って無理矢理にでも倒せたら、それだけでオーガから鉄が手に入るよ。先へ行ったら出てくるけど、今のところ魔法使いじゃないと難しいかもしれない」


 「イベントオーガだからなのか分からないけど、思ってるよりHPが高い気がするわ。もしくは魔法防御が高いのかも。その所為か、魔法使いでもなければ倒すのに時間がかかる感じ。それとオーガ近辺で争いが起こり始めてる」


 「何処の拠点の奴等も鉄が欲しいって訳か。オーガ程度だったら簡単にリポップするだろうけど、取り合いとなると話は変わるな。あんまり取られてばっかだと、こっちの装備が良くならないし……困ったもんだ、重要なのは俺達じゃねえか」


 「そう。私達が木を伐って道を切り開くのが一番手っ取り早い。そして前線にどんどん人を送り込んで輸送しなきゃ駄目。敵陣営と戦う者と、オーガを倒して鉄を回収するのを分けるべき。でないと死んだら持ち物が消える」


 「むしろ敵さんはそれを狙ってくるだろうから、俺達が作った道が役に立ちそうだな。問題は敵も使えるって事だけど、それは我慢するしかない。ついでに敵の所まで道を繋げてやろうか。リスクをとってでもリターンを得ないと、ここから先の強化は難しいだろう」


 「だね。自陣営の領域といえる浅い部分で手に入るのは、おそらく青銅までなんだと思う。それ以降の物は、それぞれの陣営が奪い合いをするであろう中央付近に集められてる。そう考えると、奪い合いに勝たないと先は無いって事になるぜ?」


 「実際のところ無いんだと思うわよ? 鉄以上の物が出てくるなら別だけど、今のところは鉄が一番良い物だしね。仮にそれ以上が出てくるとしても、何処かが脱落してからじゃない?」


 「ああ、どこかが負けると決着を加速させる為に介入してくる可能性は高いな。逆に言うと、どこがが負けるまで介入はしてこない可能性が高い訳だが……」


 「最初のうちに鉄を集めておくのは重要。伐採用の斧もリヤカーも鉄の方が良いし、その方が短時間で切れる。相手の多くは盾も無いから、石と木の武器でも戦えなくはない。後方の道具を優先させるのが一番」


 「それは俺も賛成だけど、絶対に不満を言うバカが現れるぜ? それはどうする? 無視しても良いが、味方に嫌がらせしてくる可能性が否定できない。自分が活躍できないなら味方を潰すっていうバカはマジで居るし」


 「そういうバカは前線で使い潰せばいいよ。敵が来るから鉄の装備は持たせられないって言えばいいさ、実際にそういう面もあるんだしね。死んだら消える以上は、なるべく作りやすい武器で、後は自由に戦ってもらえばいい」



 僕以外の皆が掲示板に書き込みをしているらしく、ウィンドウを見たままだ。基本的にゲーム中の掲示板は思考入力なのでタイピングをする必要は無い。何故かVRキーボードも付いていて使えるけど、使ってる人は殆ど居ないそうだ。


 僕は現実でもゲームでも読み専だから書き込まないけど、今やリアルでも思考入力が基本だから、タイピングが遅い人が増えたらしい。昔のPC黎明期のように、片手の人差し指だけでポチポチする人の割合が増えてるってニュースになっていた。


 スマコンでさえ音声入力か思考入力だし、ゲームでは思考入力。今やソフトキーボードどころかフリック入力すら使う人は殆どいないけど、一応機能としては残っている。僕も使った事は殆ど無いけどね、わざわざ面倒な方法を使う理由も無いし。


 掲示板への書き込みが終わったのか、トモエとナツは再び前線へ。ユウヤとイルは木を伐りに行った。道を作ると攻められやすくなるけど、その反面、早く前線に行けるし迷う事も無くなる。


 どっちが良いかと議論してるらしいけど、ユウヤとイルは伐る事に決めて動いている。理由は先ほども言っていた通り、早めに鉄を確保する為だ。素材の良し悪しで武器の攻撃力も耐久度も変わってくる。


 つまり良い素材を確保しないと戦争に勝てない。ただ、前線に居る者には良い武器を渡すべきだという意見は根強くあるんだって。死んだらどうする? という反論も根強いみたいだけど。



 「どっちも正論といえば正論ですからね。敵の前線を多く倒せばそれだけ狩り場を長く確保できますし、相手に持ち帰らせずに済みます。その為にも良い武器を持たせるべきだ、というのも一定の説得力を持ちますしね」


 「相手に勝つには良い武器が必要だけど、負けて死んだら失われる。せっかく作った物がすぐに失われる可能性もある訳で……オレでも悩むだろうなぁ」


 「………どうやら最終的に聖人に任せたみたいですよ。そしてオルテーさんも悩んだ結果、前線の者達に一度は鉄の武器を渡すようにと言われたそうです。でも、これって……」


 「どう考えても、失くした後に貰ってないとか言い出すヤツが出るよね? こういう時は折衷案じゃなくて、どっちかハッキリ決めた方がいいのに……」


 「本当にコトブキ君の言う通りね。こういう中途半端な対応は後で困る事になるんだけど……少なくとも聖人様が決めた以上は仕方ないかー」


 「仕方ない、掲示板に鉄の武器を渡したヤツの名を書いていってもらおう。それなら皆も納得すると思う。鉄の武器を渡した証拠にもなるし」


 「ああ、そうですね。僕の方から掲示板にあげておきますよ。おそらく誰も拒否しないと思います。何度も鉄の武器を受け取ろうとするバカが出る。少し考えれば誰でも分かる事ですし」



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 その後は黙々と作業を続けるが、ちょうど1人分ぐらいの鉄を持って来た奴等が面倒な事を始めた。



 「先にオレの武器だっつってんだろうが!!」


 「はぁ!? てめぇは役に立ってねえんだから、オレが先に決まってんだろうが!!」


 「何をぬかしてやがる。前で敵の攻撃を止めてるのはオレだろうが! 盾を鉄にしなきゃ駄目に決まってんだろ!!」



 どうでもいいから早く決めてくれ、いちいち騒ぐな。そう思っているけど、注意すればバカは更に大声で騒ぐに決まってる。まったくもって面倒臭い連中だよ、本当。



 「あんた達さあ、邪魔だから城まで戻ってくんない? ここで騒がれたら拠点がありますよってバレバレじゃないの。幾ら前線から離れてるからって、大声で騒がないでほしいわね」


 「あぁ!? なんだとてめぇ!! オレ達のように前線で活躍してる奴が居るから、てめぇらみたガッ!?」



 大声で喚いてる最中に、急に攻撃を受けたように倒れた。背中を見ると短剣が刺さっており、誰かが投擲した事は明白だ。ガサガサ音が鳴っているので、間違いなく近くの森から投げつけられた物だろう。


 僕達が使っている拠点は森に近すぎたのかもしれない。


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