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0279・第三回公式イベント03




 ちょっとした揉め事はあったものの、それ以降は何も無く、順調にリヤカーは増えていった。とにかく城に沢山の物資を運び、向こうの設備を使って武器を作らないと話にならない。武器も無しに攻め込んでも、魔法で戦うしかないからね。


 森が思ってるよりも広いみたいだけど、もしかして五芒星の中心部分って完全に森なんだろうか? そんな事を考えつつ物作りをしていると、また斧が壊れたユウヤが新しい斧を取りに来た。



 「とにかく道を作るように木を伐っていってるけどよ、この森は何処まで続いているんだろうな? 正直にいって五芒星の大部分は森じゃねえのって気がしてるんだよ。武器作りと並行して、敵陣への道作りもしなきゃいけないかもな」


 「ユウヤの予想は間違ってないんじゃないかな。自陣営の掲示板しか使えないけど、先行して見に行ってる人達も森しか見えないって書いてる。開拓と戦争とを両方しなきゃいけない。それとビッグフロッグはパンをドロップするって新たに書かれた」


 「前の公式イベントと同じく、魔物を倒すと食料が出る形か。ついでに出てくる魔物も種類が多いみたいだし、大変だな。まずはどの魔物がどういうアイテムを落とすかも調べなきゃいけないし、本当に時間の掛かるイベントだ」


 「これはこれで楽しいから構わない。今回の公式イベントは何かの実験っぽい感じもするけど、私は悪くないと思う。これだと戦闘力のみじゃなく生産系のスキルとかも活きるし、特に隠しパラメータが相当影響する」


 「城取りに見せかけた、生産系のイベントって事か。まあ、誰もが生産系職業を持つゲームならではのイベントってところかね。それにしても、木を伐るのに飽きた。まだまだ伐らなきゃならないんだけど、流石にずっとだとなー……」


 「愚痴を言わずに伐る。私だってやってるし運んでる。魔物と戦う方だって大変で、ドロップを持って戻ってこなきゃいけない。毎回いちいち戻ってくるのも面倒臭いし、コトブキに鞄を作ってもらっても限度がある」


 「そりゃなー。背負い鞄の中に入る量で限界だからな。どのみち戻ってくるしかなくなるだろうさ。確かに考えてみりゃ、それはそれでイラつくだろう。木を伐る方がマシかもな」



 そう言って伐った木を運んできていたユウヤとイルは、再び伐採場所まで歩いていった。今は森の中に一本道が出来るように木を伐っている。その方が森の中の魔物とも戦いやすいし、ドロップを運びやすいんだ。


 道の上ならリヤカーも牽きやすいし運びやすい。その御蔭で城では鍛冶師が武器の作成を始めたようだ。とりあえずは青銅だけど、それでも無いよりはマシだし、そこまで魔物も強くない。石と木の武器も作られているから、素材の余裕も少しずつは生まれている。


 石と木に関しては<石工師>と<木工師>が協力しているらしく、ここでリヤカーの加工をしつつ武器の作成もやっている。僕はリヤカー作りと鞄作りに専念しているんだけど、思っている以上に鞄の需要が大きい。


 <皮革師>が少ないという事もあるんだけど、それ以上にいちいち戻るのが面倒臭いという人が多いんだ。当たり前ではあるんだけど、もうちょっと持てる量を増やせないだろうか? 背負い鞄といっても限度があるし、現状では少なすぎる。


 だからこそ1陣営に4000人も居るんだと言われたら返す言葉も無いんだけど、城から出てこずに何をしてるかよく分からない人達も居るんだよね。どうにもやる気が無さそうで面倒なのがさ。


 鍛冶師が炉を使って武器を作ってるなら分かるんだけど、掲示板にも何もしていない連中の事が書かれているらしく、憤っていたり怒ってたりする人も居るみたい。妙な揉め事にならなきゃいいけど。


 そうやって物作りをしていると、お昼に近くなってきたので一度帰る事にした。このイベント中は特殊なルールに変わっていて、イベントフィールドでログアウト及びマイルームへの退避を行うと死亡する。


 そして死亡すると全てをロストするので、何も持っていない状況になってしまう。それを回避する為には城でログアウトや退避を行うしかないんだ。イベントフィールド上でログアウトやマイルームへの退避を悪用させないための措置みたい。


 実際その方法で逃げる事を考えていたのも居るみたいだし、運営としては逃げ道を塞いでおくのは当たり前なんだろうね。門は閉じられているけど、横の小さな扉から出入りが出来る。大名屋敷の門みたいな物を想像すると分かりやすいと思う。


 小さい扉から中に入り、城の隅の方に行ってからマイルームへと退避した僕は、マイルームの倉庫から昼食を出して食べた後ログアウト。リアルへと戻る。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 雑事を熟した後で昼食を作っていると、トモエが2階から下りてきた。どうもサブロウタが部屋から出してきてくれたらしい。今日の昼はナポリタンだけど、シズは好き嫌い無く何でも食べるから適当で良いんだよね。僕も似たようなものだから変わらないけど。



 「それにしても、本当に変わったイベントよねえ。もっと大規模に争うんだと思ってたら、まさかの開拓っぽい事をしてるし。にも関わらず、城取りの公式イベントなのよ。訳が分からなくなってくるわね」


 「このイベントが終わったら10万人規模に増えるらしいから、その時間を稼ぐ意味でもプレイヤーを隔離して長丁場にしたいんじゃない? テストしたりとか色々しなきゃいけないだろうし、また商品増やしたりとかしなきゃいけないだろうし」


 「NPCの店ね。確かに色々増えてるし、最初と比べれば多少武具は増えたって聞くけど、あんまり見に行ってないのよねえ。このゲーム上手く戦えばダメージ受けずに勝てるのと、防具が装備出来ない子が多いから」


 「その辺りはサモナー系やテイマー系の宿命だよね。そして装備できる者にお金が掛かるのも同じだし。今日はあのまま木を伐って道を作るしかないと思う。そもそも他の城までどれだけの距離があるのかすら分かってないしさ」


 「それを考えると本当に始まったばかりって感じよね。魔物も色々と居ると思うし、せめて鉄製の武器ぐらいまでは作らないと攻められないかしら? それとも小競り合いぐらいは起きてたりして……」


 「相手を倒すと武器とか持ってる物は無くせるみたいだし、倒せば倒すほど相手陣営は不利になっていくだろうからなるべく倒したいよね。幾らでも復活出来る代わりに、デスペナは普通に受けるらしいし」


 「そうよね。復活されても能力値1割なら敵にもならないし、一気に雪崩れ込む感じで勝利したいわよねー。出来るだけ早く他の城を落とさないと、何処かが城を落とした時点で均衡が崩れるわ」


 「落とした城のプレイヤーも城取りに回せば、守備の人員を除いても7割は攻めに使える。攻め手だけで4200だからね、これを防ぐのは厳しい。今回の城取りは確かに城だけど、大きな城じゃないからね。砦よりマシって感じなだけだし」


 「本当に城というより砦よね。どこがどう城なのかしら?」


 「4000人も居るけど、そもそも普通に宿舎が居る訳でもないしね。4000人が一時的に収容できればいいだけってなったら、あんなものだと思う。そもそも個人にマイルームがあるんだし」


 「そっか、マイルームで寝泊りする以上、必要な物って少ないのよね。だから空き地みたいな場所ばっかりなんだけども。それと生産職が使う場所と、聖人さんが生活する屋敷ね。何故か防犯ゴーレムが守ってるという」


 「変な事を考える輩とか居そうだしね。それは仕方ないんじゃないかな。本当にやったら一発でアカウント凍結だろうけど」


 「当然でしょ。槍の聖人と槌の聖人は女性だからね。余計に守らないといけないわよ。世の中には本当におかしなのが居るから」



 本当にね。今見てるニュースでも、おかしな事件の話をしてるよ。どうしてこういう事件が後を立たないんだろう?。


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