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0278・第三回公式イベント02




 外を歩きつつ、出てくる魔物と戦い排除する。スライムなので然して強くもなく、魔法を使えばあっさり勝てるので出てきても問題無い。それ自体は良いのだが、木が見当たらない。もう少し前にと思った時に見えてきた。


 段々と前方に見えてきたものの、一面木だらけで森のようにも見える。周りは荒地のようになっているが、白くなっている壁があり、あそこに触れると一撃で死ぬとイベント説明にあった。おそらくフィールド外の判定になるんだろう。ある意味で最強武器だと言える。


 そんな事を考えつつ道を完全に塞ぐ森へと近付く。僕達が居るのは五芒星の右上だ。頂点の場所が剣の聖人で、そこから右回りに槍、斧、槌、棍となっている。なので僕達は右上の頂点近くにいる。


 しかし中央へ出て行く為の道が森で埋まってるっていうのは厄介だなぁ。敵が進軍してきても木々で見えない。もしかしてこういうのも伐採して見通しを良くしないとダメなんだろうか? 何となくそんな気もするし、このイベント時間が掛かりそう。


 集めた石で石斧を作り、ユウヤに木を伐ってもらう。その間も僕達は近くで石を集めたり、魔物を倒して素材を得ていく。ちなみにスライムを倒して得られるのは魔石だったりする。城の鍛冶場で使うんだと思うけど、これが持ち運べないんだ。


 インベントリ禁止がこれほどツライとは思わなかったよ。まさか手で持ち運ぶしかないとなった瞬間、ここまで碌に荷物を持ち運べないとは……。呆れてくると言うか、これ程までにインベントリに依存していたとはね、本当に驚くしかない。


 石斧が壊れる事も無く、ユウヤは木を伐るのに成功したみたい。僕はユウヤが伐ってくれた木を加工して組み合わせていくんだけど、作っているのはリヤカーだ。何となくでそれっぽい物をでっちあげていくのは、詳しい構造なんて知らないから。そこは諦めてほしい。



 「心配ない。道具なんて使えれば何でもいい。たまに妙に拘るのが居るけど、使える方が重要。インベントリが使えない以上、荷物をどう運ぶかは大事になっていく。もしかしたらこのイベント、一週間は続くかも?」


 「イルが言うのも分かる。これ絶対に今日中には終わらないよ。だって武器が無いんだもん。更には、お城の中にも何も無いって掲示板に書かれてる。鍛冶場とかはあるけど魔石も素材も無いんだって」


 「まず武器から作らなきゃいけないイベントって斬新だよなー。何をさせたいのか分からないけど、何かしらの意味はあるような、無いような……。それで俺はいつまで木を伐ればいいんだ?」


 「ずっとじゃない? そもそも木が全然足りてないし、少なくとも人数分のリヤカーがないと運べないわよ? 何より1本の木じゃ足りないみたいだし、頑張って伐っていってね。私【伐採】スキル持ってないから、当てにしないで」


 「おいおい。もしかしてこの中で【伐採】スキルを持ってるのって、俺とコトブキとイルか? そのうちコトブキはリヤカーの作成だから、イル、手伝ってくれよ」


 「石斧が無いから無理。今も石を集めてるけど、まだ石斧に出来るだけの石がみつかってない。今はユウヤしか伐れないから頑張れ」


 「仕方ねーなー」



 そう言ってユウヤは伐ってくれたけど、3本めの途中で石斧が壊れて消えた。僕は2本めの木で木斧を作り、刃の部分に石を被覆した斧を作る。この方が石を消費しなくて済むからだ。森があるので木は沢山あるんだけど、石がなかなか見つからない所為でもある。



 「それでも石だけの石斧より軽いから助かるぜ。重くて壊れそうで使いにくかったんだよなー、石だけ斧。何か力を篭めすぎるとバキッといきそうでさ」


 「分からなくもない。この石木斧? は木の部分があるからか力を篭めてもマシだと思う。あと【変形】で硬く締めてあるからか、思ってるよりも丈夫。それは感触で分かる」


 「それはそれでスゲーな。俺はどっちかっていうと、斧を叩きつけて返ってくる反動で分かるわ。持った感触では分からねえな」


 「私が言ってる感触は、反動の感触であって持った時のじゃない。持って分かるなら、それは達人か変態。そのどちらかでしかない」


 「言いたい事は分かるんだが、達人と変態は紙一重じゃね? 達人ってもう武器マニアって言っていいからな。刀を使うなら刀マニアだし、斧を使うなら斧マニアだろ。そこまで行かないと達人にはなれないらしいし」


 「ただいまー。森の中で出てくるのは蜘蛛と猪とゴブリンだね。ドロップは蜘蛛が糸束と綿、猪が肉と皮、ゴブリンが銅と錫。ゴブリンだけ訳が分からないけど、他はそれっぽい物が落ちるみたい」


 「とりあえず銅と錫で青銅にして、それで斧を作ってもらった方が良いんじゃない? リヤカーも青銅の方が良い?」


 「いや、リヤカーは補修しやすいように石と木の方がいいと思う。<石工師>や<木工師>も居るだろうし、他の人が補修できないと意味が無いからね。とりあえず青銅の量は……これだけかぁ。刃だけ青銅にするかな?」



 そう言って僕は木で斧を作り、刃の部分に青銅を被覆する。何ともおかしな見た目の斧が出来たけど、2人には壊れるまで石木斧を使ってもらおう。皮が手に入っていたので、トモエの要望通りに木の取っ手の鞭を作って渡した。


 ナツが使う用のメイスも作って渡すと、ちょうど誰か来たみたいだ。僕達はすぐに城を出たけど、大部分の人は城に残って調べたり、城の近くを入念に調べていたらしい。掲示板を読んでたトモエがそう言っていたからね。



 「おっと、すまねえ! 遅れちまったようだな! オレ達も【伐採】スキル持ちだから手伝うぜ!!」



 そう言ってくれたので石木斧を作って渡し、木を伐っていってもらう。勝つ為には味方で協力しなきゃならないし、下らない事をしている人は間違いなくハブられる。こういうイベントは我を通しても良い事なんて無いから。


 皆が木を切る音で五月蝿くなってきたが、僕は黙々とリヤカー作りを進めつつ、その横で石木斧を量産する。今は武器を作る余裕なんてなく、まずは素材を得る為の道具が先だ。そもそも槍の聖人でさえ武器を持ってなかったんだし。


 掲示板で情報が流れたからか、続々と人が集まり始めてきた。【伐採】スキルを持たない人は森に入って魔物退治。ドロップを拾って森の入り口に持ってくるという事を繰り返している。


 リヤカーは何台か完成したけど、今は城への素材運びに使われていて、森の中へは使えない。一応暇な時に猪がドロップする皮を使って背負い鞄は作ったけど、それが限度だね。それ以上はちょっと難しい。


 <錬金術師>の人も来てくれたんだけど、僕よりも遅いうえに品質が良くないみたいだ。おそらく石と木に慣れてないか、スキルで作成しているからだろう。僕は常に品質10を出し続けているけど、これは称号の効果もあると思う。誰にも言わないけどね。


 ゴブリンのドロップである銅と錫も集まるから合金化して青銅にしてるけど、早速自分の武器を作れっていう輩が現れたよ。周りの意見も踏まえて一蹴したけどさ、今は素材集めの時間だって分からないものかな?。



 「今は武器よりも素材を集めるのが先に決まってるでしょ。武器を作り出したら「自分も、自分も」っていうバカが後を立たないんだからさ。本当に武器が欲しいなら城に戻って鍛冶師に言いなさい」


 「何だと!? 何でオレ達がわざわざ戻らなきゃなんねーんだよ! ここで作れるなら今すぐ作れや!!」


 「いちいち他人に強制すんじゃないわよ。<検証班>として、あんた達の名前を掲示板に晒してあげようか?」


 「おい、マズイぞ。検証班は流石にシャレになってねえって!」


 「チッ!」



 そう言って彼らは森の方に去っていったけど、検証班らしき女性は早速空中に向かって色々してる。あれ掲示板で情報共有してるね? 名前は出してないのかもしれないけど、こういう時にハブられると後々まで響くんだよ。


 彼らは知らないのかな?。


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